【クマでも読めるブックレビュー】「読む音楽 完全版」DJテクノウチ~音楽関係者必見の入手困難書 | ページ 2 | ゲヲログ2.0

【クマでも読めるブックレビュー】「読む音楽 完全版」DJテクノウチ~音楽関係者必見の入手困難書



まず初めに、純粋音楽並列音楽という定義をテクノウチは持ち出しますね。純粋音楽、というんは、音楽に含まれる音楽そのもの以外の要素を含まない音楽のこと。対して、並列音楽、というのは音楽に含まれる音楽以外の音楽を含む音楽のことを言っているわけよね。つまり消費の形として、音楽そのものと音楽の背後にある物語や設定というものは分割して考えることもできる…ということをテクノウチは主張するわけですよ。どっちが優れているか、という問題は別です。そして、ここで一つ矛盾する話をテクノウチは持ち出します。それは典型的な正論でもあるわけです。

『音楽なんだから好きな音楽そのものを楽しめればいいじゃん』…①

これよく聞く意見だよね。まさに正論なわけですよ。音楽なのだから好きな音楽そのものを楽しめればいい…でもこれって矛盾してる正論なんすよ。実際、テクノウチは続けて言います。

『音楽そのもの、とよく言うけれどもその背後にある物語や設定は見逃しちゃうわけ?』…②

これもまた正論ですね。音楽に付随する”運動”を”読まず”して楽しみ方の多様性が広がるのか?という問題にもなっている。①②ともに正論なのに、両者は一見対立しているように見えるし、矛盾しているようにさえ見える。つまり、ここにきて本書の主題「読む音楽」…つまり②よりのテクノウチの論、はたまたその概念にギチッとフォーカスがはまり、コトのハジマリとなっているわけですね。テクノウチによる、天才的な説明文の選び方・論旨の移行の仕方が如実に表れているに違いないですよね。そしてテクノウチは論として②の側を主に選び解説していますが、①のほうも劣等化しているものでもなんでもない旨を付記している。この辺りはマジで、すごい論旨です(※速読してるんで多少の言葉のアヤはあると思いますが大体これで内容の理解はあってるはずです)。

ただ、テクノウチの論旨としては…テクノウチ自身は②よりの意見を持っている。例えば、音楽の背後の領域をめぐる評論本などもたくさん読む、これ自体が②よりの意見であるとしてます。そして、②のようにそうすることで、実はその人は音楽そのものにも接しており、音楽そのものの魅力にも魅せられているわけであり、音楽の背後にも興味関心を示している。これがテクノウチの主張する、音楽だけ、音楽のみ、に留まらない音楽、すなわち”読む音楽”というわけですね!