なぜアニソンにはこれほど名曲が多いのか?

これについては、fhánaへのインタビューを読むのが一番わかりやすいだろう。CINRAという芸術系のメディアで彼らが答えているものだ。「なぜアニソンは愛される? fhánaに訊く現代アニソン事情」…この記事、2014年11月と今から8年以上前の”過去記事”だが、fhánaのアニソンに対する高い理解力が示されていると思う。インタビューを箇条書きでまとめてみます。


①作ったアーティストを知らなくてもアニメの曲目を知っているだけで盛り上がる.

②かってJ-POPはそうだったのではないか?今はアニソンがそうである.

③アニソンはアニメと曲がリンクしていてその両方を好きになるファンが多い.

④アニメとタイアップで売られるため曲自体だけでなく様々な切り口から入り込む余地がある.

⑤つまるところアニソンはハブ(集約点)でありプラットフォーム(基盤)でもある.


①については理解が示せる方が多いだろう。良い曲ならばアーティストの出自にはあまり気にせず受け入れる傾向がある、ということはアニソンファンならばよくわかることだ。

②については微妙なところかもしれない。J-POPがかってそうで、アニソンが今そうだ、と結論付けるのは性急な気もする。ここだけはfhánaの言っているインタビューの回答で批判できそうなところだと思う。

③についてはどうだろうか?アニメと曲の世界観が一致しているので、双方を好きになるファンが多い…となると、アニメの世界観にあった曲、というものがやはりあるということになる。現に我々はその曲らを知覚しよく知っている。例えば、切ないバラードが流れるシーンで過激なロックが流れるということはアニソンではない。曲目だけの印象、という一面だけではなく、アニメとのリンクも含めた多面的な良い印象をアニソンは我々に与えている。

④がその典型例である。様々な側面を持っていて、物語性とリンクしているので、多様なアニソンへの接し方が許されている。つまり、いわば、推しという主目のあるアイドル産業を永続化したようなコンテンツの性質がある。アニメ―ションはそれだけ多様性を象徴とする産業なのかもしれない。

⑤はその結論である。ハブ(嚙ませ機…といったほうがいいかもしれない)やプラットフォームという表現は極めて適切だ。もしこの議題(アニソンにはなぜ名曲が多いのか?)を一言で言い表せと言われたならば、このハブ・プラットフォーム、という言葉を選び呼称することになるだろう。

かって大塚英志は物語消費という概念を提唱した。つまり、物事を消費する、ということは、その物事の背後にある物語を消費しているわけだ。そこに込められた世界観や価値観を買い求めている…大塚はそう言い、これは後、東浩紀によってデータベース消費という概念にとって代われた。人々はモノではなくコトを消費しているのだ。

さらに簡潔に結果論で言っちまえば、桃井はるこ(東海大学文学部広報メディア学科出身)が言うように、アニソンにはほぼブレがない。物語性と強くリンクしているので、大きく外れる、ということがないのだ。これはfhánaの言っていることと根本的にはまったく同じ論の構図だろう。

だからこそ言えるだろう。やはり、アニソンには名曲が多い、と。