本来神ゲーになるはずだった「Darkest Dungeon 2」はなぜコケたのか?【ローグライト超辛口批評:フルボッコ編】 | ゲヲログ2.0

本来神ゲーになるはずだった「Darkest Dungeon 2」はなぜコケたのか?【ローグライト超辛口批評:フルボッコ編】



記事の要約:手前味噌系の手のひら返しかもしれないが、DD2はコケていてローグライトの勘所がわかっていないゲームだ。リプレイ性に欠け、ロストの恐怖性に欠け、それがゆえ全体的な緊迫感にも欠ける。大局的なゲームコンテンツの作り込みがまったく為されていないと判断せざるを得ない。これでメタスコア82(笑)はどーみてもネタにしか見えない。影響を受けて作られたオマージュ作品にしか期待の道・そのオルタナティブロードは残されていない。絶賛するところどころか、批判&非難されるべき点しかないゲームになっている。

思えば、多くのゲーマから高く期待されていた「Darkest Dungeon 2」は、前作からのファンの声に到底答えられたとは言えない、残念なタイトルだった。開発・配給ともに、前作からノウハウを蓄積していたはずのRed Hook Studiosが作った正統続篇、それが本作。だが、その割にはシリーズ初作「Darkest Dungeon」と違い、蓋を開けてみるとリプレイ性の少ない矛盾したローグライトゲームであるに過ぎなかった。

あたしは、本作をEpicの先行販売では買わず、Steamでの登場まで待ったクチだが、臨界点を超えられないゲーム性に飽き飽きし、すぐに返金した。なぜ、DD2は期待に答えられなかったのだろうか?それにはローグライトへの無理解があると思う。DD1が未だに”非常に好評”レビューを確保しているのに対して、DD2は”賛否両論”もしくは”やや好評”を推移しているだけのタイトルであり、その事実認識からコトは始まるだろう。これでメタスコアが82も出ているのが奇跡である(本来はどう考えても50~60ぐらいが妥当)。その単純な理由を紐解いてみる。

まず、DD1と違ってこのゲームDD2は、まったくシステムが違い、単なる外伝的作品に留まってしまっている。ロストの意味を開発はわかっているのか?と疑問投げたくなるゲームシステムを採用しているのだ。あくまでDD1のグラフィカルなデザインだけを受け継ぎ、その面だけは進化させているタイトルに成り下がっている。つまりDD2はDD1と比べて、数年経った分要求されるPCスペックだけが格段に上がった駄作である。DD2はDD1と違い、その正統続篇を名乗ってはいるものの、まったく別なローグライトゲーム。その理由の大半は、このDD2がローグライトシステムの主因として一本道を採用していることに起因する。

そもそもローグライト、というゲームジャンルは、リプレイの中で工夫や攻略を発見していき、ロストに怯えながら、その恐怖に立ち向かう緊迫感がないと良いゲームにはならないジャンルだ。馬車での移動という一本道システムを採用したDD2には、街での強化も準備も必要ないし、リソース管理に深みがなくなっている。これではローグライトゲームとは言えないだろう。むしろ本作は、ローグライト(ノンリニアなゲームプレイができるタイプのRL)ならずローグライク(基本的に全ロストである純粋な一本道のRL)になっていて、確かに強化策はままあるものの、その多様な解の求め方を自ら失ったのだ。

ゲームの主軸をRougelikeに落とし込んだ”2”には、全ロスト以外のロストがほぼほぼなく、その恐怖を味わう緊迫感に欠ける。故、キャラクターに愛着も沸かない。このローグライトとして最大の欠点を抱えた問題作であるDD2には、陰鬱(Darkest)なゲームデザインもなければ、ダンジョン(Dungeon)に潜る緊迫感も必要がない。そしてなによりも、”2”を名乗る資格がこのゲームにはない。つまりDD2はDでもDでも2でもない。初作であった、ローグライトゆえの可塑性が、”2”では皆無。これはリプレイの可能性を全否定してしまったスタッフの誤算だった。DD2はシリーズ通じての、外伝止まりなタイトルに他ならない。

どちらかというと一本道という意では、DD2のゲーム性はある種「Slay the Spire」に近い。単なるデッキ構築を模しただけの全ロストゲーム、それがDD2だ。同じアイデアでもStSは別なシステム間の、良い意味での齟齬がある。同じアイデアでも「クロノアーク」はRPG-RLという緊迫感がある。それらがなく、DD2は新味にも欠ける。DD2はDD1と同じシステムを採用せず、新たにシステムを刷新して作られたのものなのだから、それなりの工夫・ゲーマに新たに呈する工夫が最低限必要なはずなのに、スタッフはそれをまったく実装しなかった。あえて言ってしまうが、これがDD2がゴミゲーになった唯一の主因である。

だが、その失敗は受け継がれ、新しく発展していくポテンシャルもまた同時に生んだ。そここそがDD2最大の遺産になった。例えば、Steamページを見る限り少なくともリリース後しばらくは日本語対応しそうにないのが残念なのだが「Railroads & Catacombs」はDD2が盛大にコケた今、そのオルタナティブロードとなってくれそうなローグライトゲームだ。このような遺産を生むきっかけを作ったことだけがDD2の良点であり、唯一のインパクトだったと言える。

ローグライトとは、多様な解・√取りがあってこそ、リニアなゲームプレイの中に度々発見できるノンリニアな性質を持ちうるゲームジャンルなはずだ。そもそもゲームって本来こういうもんだけど、DD2はその最重要点を見失ってしまった。DDシリーズは2作目に至り、傑作が駄作に陥るパターン、その落とし穴という罠・トラップに、自ずから盛大に嵌ってしまったのだ。