【連載:クマでも読めるブックレビュー】「かがみの孤城」~辻村深月
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確かに良く出来ています。構成もそれほど無理はないです。伏線、というほどの伏線でもありませんが、しっかり伏線らしきところ・微細なところを回収できていて良くまとまっています。文章の書き方も主人公であるこころを軸としてうまく語らせることができている。そして後半に行くに従い、多面的に人物像が描かれるので多段的かつ加速度的に面白くなっていきます。そこは評価します。
ただ、前半部・特に上巻はまどろっこしいところがあるように感じます。前述した多段的な面白さをもっと早めに持ってきたらいいんじゃあないか?とも思いますね。あと良くも悪くも文章がライトノベルみたいなんですよね。文章が薄っぺらいと感じます。例えば、この本を精読する必要があるのだろうか?とも思いました。小説とは言えども、構造主義みたいなインスピレーションを与えるような書物でない。あくまでも、大衆小説で、しかも最近のテクニカルなSFっぽさを若干混ぜているような印象を受ける。
そうだねぇ,,,例えるならば、本書の文体は綿矢さんみたいに軽いんです。描く世界観はけっして大...
2023.01.08
2023.01.11
書評アニメ評