スクエニは好景気の時にこそリストラクション(経営効率化)をすべきである | ゲヲログ2.0

スクエニは好景気の時にこそリストラクション(経営効率化)をすべきである



スクエニの経営への221億円特別損失計上がゲーム業界で話題になっている。ITmediaが報じている。この特別損失は同社のHDタイトルの見直しに伴って発表されたもの。上述のITmediaの記事によれば、具体的な開発中止タイトルや本数にスクエニ側は触れていないらしいが、同記事は、特定のIPに依存しすぎている体制が背景にある、と間接的に主張している。あたしは、素人目線ながら、もっと深くつついてみるとコトの本質が見えてくると思った。結論から言うが、スクエニの事例でさえ本質的な問題は、ゲーム会社としての経営…というよりかは、資本主義の構成員としての経営のやり方がまずいことにあるといえる。

説明するけど、もとより重要なのは、強力なIPに依存しすぎている、ということだけではない。確かに単一のIPに依存しすぎな傾向のある業界はイノベーティブさや流動性を失い、経営が立ちいかなくなる岐路に立たされることが多い。だが、これは何もスクエニに限ったことではない。国内中堅企業のケイヴの事例がまさにそうだし、同じ問題は、海外でもスタジオ単位でみれば、よくよく指摘されることが多いことだ。まず、このことが国内企業だけではなく、海外企業でもままあることを説明するための具体的な例を挙げようか。

例えば、メガヒットタイトルである「ボーダーランズ」IPを抱えるギアボだってそうだ。MSの「HALO」だってそうなっているし「Forza」シリーズもそうだ。こういった流動性のない産業構造はゲーム業界ではよくよく見受けられることで、スクエニだけに限った問題ではない。単一の強力なIPを抱えるゲーム会社は実はそのIPが売れなくなった時におのずと脆弱性を強めてしまう傾向にある。経営の柱がひとつのものに割り振られているだけだと、それを支える支柱の立場が定かではなくなってしまう。ひとつの商品が売れなくなったとき、他の商品で代替できる経営環境はゲーム産業では確かに重要だ。ハナシは元に戻って転変するけど、それよりも常識的なことがある。ゲーム産業はどうすればこういった落とし穴にはまらず、不景気を克服できるのだろうか?答えは極めて簡単だ。


好景気の時にリストラクション(経営効率化)とレイオフ(雇用解雇)をしっかりとやること。


海外のゲーム産業はもっとも、早い段階でリストラクションをしっかりとしている。これは4Gamerの奥谷も連載記事で伝えていることだ。肝心なのは不景気になってから経営効率化を図ろうとするのはもとよりおかしいことだ、という事実である。経営の効率化(リストラ)は、景気が上向きのころから始めてなければならない。投資をするのは、実は不景気のころにすべきなのだ。日本の企業は意思決定が弱く強力なリーダーシップに収まることがない会社が多いから、こうした決定に遅れがちである。ゲーム産業ではリストラクションが昨年末あたりからもう積極的に行われてきた。そうだ!景気が良かった頃だ!

理由は簡単で、景気が良い時に産業を起こしたり、投資に走ると、あいまいな業務でもいい結果を得やすいということにある。景気がいい時はむしろ経済を落ち着かせるためにリストラ・レイオフをすべきなんである。ゲーム産業のようなトレンド産業はまさにそうだ。かたや、景気が悪い時にリストラやレイオフをすると、景気が悪循環する。人材が流出し、消費も停滞する。景気が悪い時は経済を刺激する必要が絶対的にあるのに、果敢な投資を怠る企業が多いわけだ。つまり資本主義の常識からかけ離れていることを、スクエニも含めて多くのゲーム会社がしているという現状がある。

欧米の企業はトップダウンだし、雇用流動化に極めて理解があるので、こうした縦割りの経営手法に躊躇がない。本来、ゲーム産業がすべきことは、こうした資本主義的な常識の観点に立った経営観なのだが、逆のことをしている。政治経済面でも税は不景気の時に下げ、景気を刺激する必要がある。景気良い時は暴騰などのリスクを落ち着かせるために、増税するべきなのだ。人材も同じである。景気が悪いときに雇い、イノベーティブなことをやらせる。逆に好景気な時は人材を整理し、不景気に備える。よくよく考えれば、中学生レベルの政治経済のハナシなのに、スクエニはこのことを理解していないらしい。