韓国の「ゲーム産業振興計画」に思うこと | ゲヲログ2.0

韓国の「ゲーム産業振興計画」に思うこと



記事の要約:決してゲーム分野で日本もコンテンツ立国の韓国に後れを取っているわけじゃない。やっていることは基本的に間違ってないので、日本は強靭で高度な研究開発ができるSMEを多く抱えている、世界的にも稀有な環境を強みにしてこの分野にさらに力を入れるべきだ。

韓国という輸出立国

てか今更こんなこと言ってもゲヲログみたいな辺鄙なゲーム情報サイト見てるみんなは知ってるだろうけど…もともと韓国って人口が少ないんですよ。ググったら、5163万人(2022年)って出てきました。出生率は0.81人(2021年)だとな。んだから、これからも今からも内需に期待できそうにないんで、外需に答える形で戦おうということらしい。それがコンテンツ立国っていうひとつの方策として表れている。アイドル産業とか音楽産業(BTSやTWICEは有名だよね)や映画産業(Netflixで「イカゲーム」とかが話題になった)と同じようにゲームをガッツリ輸出していく。そんなだから、今回報じられた4Gamerの記事(正確に言うと游研社ってとこの記事を翻訳したもの)は妥当な内容の記事なんだね。

韓国発インディーゲーム

ここゲヲログで前レビューした「Skul: The Hero Slayer」「Chrono Ark」「デイヴ・ザ・ダイバー」「Lies of P」といった有力IPは実は韓国産なんだよね。今回の4Gamerの翻訳記事でもこうしたインディーゲーム会社の国策支援について書かれている。記事では有望なIPを抱える小規模開発者支援について述べられているね。韓国ではゲームの主流はコンソールゲームじゃないらしいんだ。PC環境でゲームやってる方が多い。コンソールゲーム機の市場が海外では相対的にでかい、ということだ。絶対的にも海外のコンソールゲーム機の市場がでかいと見込んでいるらしい。ここに標準を当てられないか?という韓国の輸出戦略を記事では伝えている。

韓国のゲームユニコーン支援プログラム

その中で、SONY/MS/任天堂などと協業していこうという方策が実際取られる、という。コンソールプラットフォームを抱える大企業と組もうってんだな。そして「K-Game Early Access」「Win-Winスタートアップ支援」といった銘が記事中では踊っているね。前者は有望なゲームのEAにまつわる方策で、後者はまさにインディーゲームの支援のことらしい。あとはこうした方法論的な支援だけではなくて、補助金とかの金銭的な支援だよね。それ及び輸出支援っていう具合に記事は伝えている。さて、ここからは日本の話だけど…

日本はSMEが強い資本社会を持っている

日本もこの分野で手をこまねいてるわけじゃないんだよな。以前ゲヲログでも伝えたけど、国策として支援しようという流れはある。そもそも日本は中小企業が多くそれらが強いことで世界的にいい環境にあるともいえる。日本のように中小企業が世界で最先端の研究開発をいっぱいやっているっていう環境は珍しいんだよね。アメリカではユニコーンが多いじゃんってイメージだけど、日本のこれお家芸には敵わない。基本、GAFAMみたいな超巨大企業が強いだけだしな。これもゲヲログでSMEの問題として伝えたことがあったね。重ねて重ねて手前味噌だけど、度々ゲヲログで伝えている通り、最近はインディーゲームも良いスタンスのゲームが日本産としていっぱい出てきた。

日本がすべきこと

ただ、もろ手を挙げて日本のこうした環境をすべてにわたって賞賛できるものでもない。イェール大学の成田悠輔が伝える通り、補助金をゾンビ企業に使いすぎかなぁとは思う。韓国はおそらくこうしたことはしないだろう。必ずヒットの実績のあるところとかヒットする見込みが強い企業に補助金出すだろうね。日本も効率化や有望なゲーム企業のマイニングのところを今後は押さえていくべきだろう。例えば、「ラ・ムラーナ」で有名なNIGOROのような会社法人を国策として支援してしまう、というのはどうだろうか?ダイレクトに有望なIPを抱えるSMEを支援してしまえば良い。たぶん韓国はトップダウンの意思決定でセールス支援をしてくるはずだ。

日本の大学法人は既に動き出している

こうした試みに対して、大学などの研究機関も動いている。東京藝術大学(芸術大学は補助金削減の流れで国立と言えどもカネがなくて苦しんでいるから改革の一角でこうしたことをするんだけど…)はゲーム産業のコースを設けるし、近畿大学は国内のSMEと組んで修士・博士を取れるコースを設けている。また、最近になって武蔵野大学など複数の大学法人が起業家コースを学部に新設するなど、”してやられたり”の一方向ではないです。現状に満足しない、いろんな試みがあるってことだね。