【連載:クマでも読めるブックレビュー】「インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド—ゲームの沼」~テーマ性に優れたインディタイトル解説の良書 | ページ 3 | ゲヲログ2.0

【連載:クマでも読めるブックレビュー】「インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド—ゲームの沼」~テーマ性に優れたインディタイトル解説の良書



本書の最大の特徴

ゲームがどう現代性を持ち、どう社会性を持っているのか?という観点をいつでも忘れないので、書としての一体性がある。執筆陣は多種多様なバックグラウンドを持っているようだが、どれも個性を発揮しながらもワンタイトル2ページ前後でうまくまとめている。繰り返すけど、全体として一体性があるのが良い点。前著の位置づけである「インディ・ゲーム名作選」で、あたしは単純なページ割り振りに苦言を呈したけど、本書はテーマ別という特徴もあり、また、そのテーマ別そのものの割り振りが当該ゲームの社会的位置づけ・どうそのゲームタイトルが現代性を持つのか?という点にこだわって徹頭徹尾切り取られているので、違和感を感じない。ここらが多くある本書の特徴のうち最大のものじゃねえかな?

気付いたところ

深いインディゲームの評論本だけあって、上級者向けではあるものの、SteamなどのPCプラットフォームとはあまり縁のない初心者でも読みやすくまとめあげられている。ただ、プラットフォームとかゲームを巡る技術的抗争の本ではないので、そこらは期待できない。あくまで『Steam使ってるやつはそのまんま読んでいけるよ☆』的ななげやりな感じなのは仕方がないところだろうな。そのうちSteamの入門本とかも出そうだけど、STEAMっていう技術教育のワードと重なっちゃう点があったりで、なんだかんだいってこのあたりのプラットフォーム活用入門本は書きにくいことこの上ないので、あまり期待できないとは思う。そこらは排除したほうが都合が良いだろう、ということで、この手の本は(本書も含め…)書かれているとも思う。今後、本書のような書が増え、Steamの認知度がより高まっていくことに期待したい一方で、SteamプラットフォームやPCゲームの特徴をまとめたり、入門的位置づけで書く人が現れたらば、それはそれで難儀な仕事になるだろうな~。