ストリーマけんき謹製FPS「Project F」は失敗だったのか? | ゲヲログ2.0

ストリーマけんき謹製FPS「Project F」は失敗だったのか?



記事の要約:FPSとして新境地を切り開こうとするけんき謹製FPSの「Project F」は筋自体が悪いわけじゃない。むしろコンセプトは優れている。ただ詰めが甘くバグバグである点が気になる。また、忖度とコンセプト面で良い点をほめることは全く違っていて、本作の場合後者に値する。むしろ、一億円使ってゲームを作ろうだなんて夢がある。けんき自身に批判の矛先を向けるのも、また間違っている。ゲーム自身の持つダメな点を純粋に指摘し批判しろ。

あたしはね、このゲームけっこう高く評価してるんですよ。何分、他のFPSではできなかったことをやろうとしている、という点では。なんでもそうだけど、分野分野のパイオニア(草分け)って批判されることも多い。てかそれが大半。でもパイオニアはパイオニアであり続けてほしいと思うよ。一億使って、夢を売ろうとするなんてすごいことじゃないか。ま、結論から言うとこうなる。

皆さんご存じでしょうけど、FPSって今いわゆる”冬の時代”なんだよね。どっちかっていうと、マルチFPSで局所的な人気IPが新しく出てきただけで、シングルFPSは未だに再興のめどが立っていない…または、ようやっと立ち始めた、というのが現実だと思うんですよ。確かに「CS」や「R6S」や「ヴァロ」が人気を博していて、ゲーム性の行くべきの道筋も正しい。けどね、これらのマルチFPSでもう出来ることが競技レベルで限られてきてしまった、というも現実だと思う。

「STALKER」が2とか出て、シングルFPSもまた復活する予兆は感じる。でもさ、一昔前なんか、シングルFPSが完全に途絶えて、「BF」「CoD」とかに旗振り役とられてたやん。その後「BF」「CoD」はIPとしてほぼほぼ死んで、新しい波を必要としていた。流行ったりダメなったりという、FPSはゲームの大局的なエンジンとして限界性を呈してきてるんだよね。その一方で、昔のFPSブームほどの強さをゲームのジャンルとしてはあんまり感じてないです。そういう中で「Due Process」とかも出てきた。んで、けんきさんの「Project F」も出てきたわけよ。このゲームのいいところ…というより斬新なところ・二点に限ってまとめてみよう。


ローグライト風ランダムダンジョン生成システムをFPSに組み込んだところ

これはすごいいいアイデアだったと思うんだよね。リプレイ性の問題をうまく回避することができる。マップ戦略、という名目をFPSからあえて排除して、プロシージャル生成みたいにマップを再生成することがポイントになってる。固定的な研究は必要とされない点は賛否両論だろうけど、そういう側面があるからこそFPSのパイオニアだっていう理由付けはあると思う。斬新さではこのシステムは賛美するべき点だとは思う(もちろん否定的な意見もあっていいとも思う)。

ヒーローシューターの概念をマルチFPSにうまく取り入れたところ

固有能力、という個性的なFPSキャラクターを搭載してるところ、だよね。これ自体は斬新だというよりも二番禅師だろうけど、他の特徴点とうまく組み合わせることで、新しい風味をゲームプレイ通じて出そうとしている点は素直に評価すべきだと思うんだ。現に「ヴァロ」の単純なコピーが本作「Project F」だった、とは思えん。かつてスティーブは『イノベーションは不思議な技術の組み合わせだ』と述べた。新境地を切り開こうとしているパイオニアとしては、こういう試みもまた必要だったと思うんだ。


まぁ、この二点よね(特にダンジョンの生成システムが独創的だと思う)。繰り返すけど、このFPSは従来のFPSが出来なかったところをうまくカバーしようとしている点が評価できると思うんだ。でもね、評判として失敗してる理由ってのはむしろバグバグとかUIがダメダメだとかそういう面であって、アイデア自体は素晴らしいと思う。だが、作りこみが甘い…このレベルで出されても困る、というだけのことで、けんきさんが言っているようなFPSのアイデアとしては間違いなく良い面が多々あるんだよ。アプデに期待とかそういう面じゃなくて、アイデアとしてはすごくいい点を突いてる。

だから、大手のFPSdevも参考にしてくるとは思うよ。特にこの、けんきFPSは上記のような二つの特徴性を斬新なポイントとして持っている。ヒーロ能力FPSとプロシージャル生成はすごく相性がいいと思うし、本作が手厳しく評価されるのは、アイデア自体が悪いわけではない、という点こそが最重要なポイントだろうな。悪いのは間違いなく”環境”だよ。この手のストリーマ謹製ゲームが批判されるのは詰めが甘いという点だけなんだよね。バグつぶせよ、とか、UIを改善しろよ、っていう声の方がでかいと思うんだ。あとバランス調整しっかりしろとか、細かなデザインセンスがなってないとか。だが、そこだけでインディー系のゲームを評価することは、あんまりいいことじゃない。新しいことをやろうとしているFPSはこのご時世、それだけでそれなりの評価はできるんだよ。

けんきさんの周りが持ち上げているだけ、とはこれは異なっていると思う。つまり、持ち上げとか忖度のみで高評価をつけてるだけだとは思えんのよね。このFPSだからこそ、やろうとしていることってあると思うのよ。ただ、甘かった。詰めも甘かったし、細やかな点から崩れて言った形のFPSだと思うんだよね。斬新さではメジャーFPS、それこそ「ヴァロ」とかにだって負けてはいない。そこが唯一の希望であり、最大の希望であったわけだよ、「Project F」のね。忖度と純粋な期待は違うんだ、絶対にな。

けんき自身こういうことは把握してると思うんだよね、あたし。事実、EAA!!のインタビューを見る限り、ポテンシャルを感じている点もある、っていうことがけんき自身示してる。さらには、自分で自分のゲームのことを『プレイするに値しない』ってしっかり述べている。つまり、どうすればいいのか?どこがダメだったのか?ということは把握してると思うんだよ。失敗をしたこと、これを承知でなおもチャレンジするっていう姿勢は、ゲーム開発者としてはすごく良い点だと思うんだよな。ましてやこれを機にけんき自身に批判の矛先を当てるのは間違っていると思うよ。