SIE-CEOジム・ライアン~ファミ通 No.1801にてPS5戦略を語る | ゲヲログ2.0

SIE-CEOジム・ライアン~ファミ通 No.1801にてPS5戦略を語る



Amazonより引用.

SIEのCEOとして、ゲーム業界で一般的な知名度も高い、ジム・ライアンがファミ通 2023年6月22日号 No.1801にて同社の肝っ玉であるPS5の経営戦略の常識を語っている。ライアンが語っているのは、かなり一般化された、教科書のごとくの経営内容についてだが、SIEがどうゲームに対応してきたかのここ2・3年のことがうまくまとめられている。今一度、そのライアンに対するファミ通インタビューの内容を振り返ってみよう。


・サプライチェーンの問題解決

2022年はSIEにとって苦渋の年だった。なぜかというと期待の新ハードPS5の消費者への供給が途絶えがちだったからだ。ただし、ほかの多くのハードウェアメーカも同じ苦しみを味わったはずだ。半導体をはじめとするサプライチェーンの問題は2022年終盤(第4四半期)から2023年に入り解決しつつある。多くの消費者にPS5という最高のハードウェアを提供できはじめたことは、SIEにとってこの上ない喜びである。

・日本市場は大切

日本市場は世界第二位(※記事ではどの分野で世界第二位かは伝えていないのでどの統計上の値のことかは不明)の市場規模を誇る。人気タイトルは日本発のものも多く、グローバル化が進んだとはいえ、日本のゲーム関係者との関係性は地理的な情勢も含め間違いなく深い。グローバルに対応することは当然重要だが、日本との関係性の深いIPを世に送り出すことも重要視している。

・パートナーとの関係性重視

「Marvel’s Spider-Man 2」「ファイナルファンタジーXVI」「Stellar Blade」「Horizon Forbidden West」「Rise of the Ronin」「デス・ストランディング2」など具体的なIPを保持するパートナーとの関係性を重要視することでタイトルをヒットさせていきたい。グローバル市場と日本との地域差はあって当たり前で、だからこそやりがいのある仕事ができる。

・グローバル化に対応

2013年以降、グローバル化をSIEでも進めてきた。日本の消費者も変化してきていて、海外のゲームメーカの作ったIPも楽しむようになってきた。もちろん、地域ごとにインフルエンサーとのタイアップの方法も変わることは当然である。その中で日本のカルチャーに適応したローカルコンテンツも重要視している。

・謹製VR機器をプッシュ

PS VR2はよりパワーアップされて帰ってきたVR機器である。「グランツーリスモ7」をはじめとして、既存の人気IPもVR対応させている。まだ評価は時期尚早だが、いずれにせよ謹製VR機器のタイトルサポートは長期的に猛プッシュしていく。

・PC市場も含め多様性を確保

多様性を重要視する姿勢には変わりがない。それはゲームIPの映像化も含めてのことである。例えば、「アンチャーテッド」「The Last of Us」の映像化は大成功だった。事実、「The Last of Us」のセールスをトラッキングしてみると、映像化に伴いゲーム本編の売り上げも上がっている。今後もメディア多角化の展開の姿勢は持ち続ける。もちろんハードの垣根も超えて、PC市場でも既存のPS IPを展開していくことに躊躇はない。具体的に言うと、PS5で発売したIPをPC向けに2・3年遅れてリリースすることは好意的に受け止められている。


PS5はその供給問題がかなり深刻だった。だが、ライアンも語るように、これはSwitchもXbox Series X|Sでも同じだ(ライアンは具体的な他社のハード名は述べていないが)。それらが2023年に入りかなり解決したというのはSIEにとって追い風なのは事実だろう。SIEだからこそできるグローバル化の要点とローカル化の要点が並列に述べられていることも、ゲームハード他社にはあまりない同社の強みなはずだ。一番肝要なのはPC展開も忘れておらず、共存可能だ、というところだろうか。はっきり言えることがあるとすれば、ここだけはSIEはMSに『ファクター握られてる』点な気がしてならない。

興味深いのは、多様性の尊重はもちろんのこと、SIEがメディアの駆使について踏み込んでいる文言がインタビュー中で掲載されているところだろう。これはまさにゲヲログで我々が過去記事にて述べたことと重なる。ゲームはゲームだけで完結せず、アニメやドラマ・映画化してこそ、多様な価値観にうったえることができるのだ。だからこそ、ファミ通の広告欄にアニメのアドヴァタイズメントが掲載されているというわけだね(実際、このファミ通 No.1801表紙の「Diablo Ⅳ」イラストの裏面にはアニメ「推しの子」の円盤の広告が掲載されている)。