Disneyは”ウナギコンテンツ”の親玉になったのか? | ゲヲログ2.0

Disneyは”ウナギコンテンツ”の親玉になったのか?



「SW:アソーカ」について今わかる8つのこと

あたしは普段からIGN Japanの記事にはあえて酷評をすることが多いんだけど、さすがにこの記事には脱帽した。そう、今Disney+で配信中の「SW:アソーカ」について取りまとめた記事〈ルーカスフィルム次期総代・襲名の儀として見た『スター・ウォーズ:アソーカ』〉だ。確かに記事として粗がないわけではないが、シリーズに関して精緻な知識と記者としてのSWへの飽くなき熱意がないと到底書けない記事であることに間違いない。拙い力量で申し訳ないが、記事の内容をまとめてみよう。


・「SW:アソーカ」は歴戦のシリーズファンも頭を悩ますぐらい理解するのがムズカシイ.

・ジョージ(ルーカス)も認めるようにSWはいわゆる”9部作体制”を踏襲しなくなってる.

・過去のSWの歴史の中で特にアニメ展開において明らかな失敗と評価されてた時期がある.

・NHKでも放送されたアニメ「クローン・ウォーズ」がその汚名を見事に払しょくしたが,,,

・物語が劇的に面白くなるシーズン3からBSプレミアム&CSに移行”CW難民”が大量に発生.

・実はSWはジョージ(ルーカス)の私小説としての側面が強く反映されてる映像作である.

・アソーカは新キャラとしてデイブ(フィローニ)によって生み出された特別枠的キャラだ.

・生死が二転三転するアソーカというキャラクターについてはファンからも賛否両論である.


かなり強引に引用・本案したが、まぁ大体こんなもんか。実はSWというコンテンツはあたしも子供のころから見ていて好きだったので、6部作まではしっかりと見て、本作「SW:アソーカ」も時限的にDisney+に加入して見てみたんだよね(しかも結構高いサブスク料金を払って)。その結果、抱いた感想は、この記者・この記事で言われていることとほぼ同じだったわけ。ぶっちゃけて言うと、

よくわからん☆

としか言いようがない。なんかいきなりキャラクターが出てくるし、ジェダイの戦闘型以外の知らぬ設定に基づく武器も多いし、なにより映像作品として完結してないし、戦いはまだ始まったばかりだ!のところで終わるしで、まったくわからん。しかもこのIGN Japanの記者が書いている通り、難解さがところどころに散りばめられているしで、本当にわからん作品になってた。SW正史は、9とはいかないまでも6+CWの途中までは追っているので、それなり理解できるだろうと高を括っていたんだよね。

「SW:アソーカ」でわからん部分&IPとして新時代におけるありかた

そして、なによりアナキンとアナキンの弟子であるアソーカとの関係性がまったくわからない。修行が途中で終わっているのがサビーヌとアソーカとで重なるし、サビーヌはいきなり強くなるしでもうこんがらがっちまった。ただ、ひとつ明らかなことがあるとすれば、SWはもう過去のルーカスによる人間の物語中心ではなくなってしまった、ということだろうか。率直に言い換えれば、SWは壮大な物語ではなくなってしまったということである。

かつてリオタールは「ポストモダンの条件」で大いなる英雄の時代だとか、大きな物語が存在していた時代が終わり、ポストモダンの時代がやってくると主張した。つまり、簡単に言うと、リオタールはポストモダン=モダン以後、現代という時代では小粒な小さき物語が連綿と語られるだけの時代になってきていると述べたわけだ。これを現代的消費の問題としてとらえたのがほかならぬ東浩紀だったのだわけだが、SWについても同じことがいえると思う。

ルーカスとしても、たぶん同じことを感じて、物語としてのSWというよりかは、今後はコンテンツとしてのSW-IPに力点を入れ直しているようにあたしは感じてる。例えば、ボバ・フェットの外伝もそうだし、ボバのように都合よく生き返る(あるいは死んでいない)キャラクターはアソーカだけじゃないし、様々な点で小粒なゲームみたいなコンテンツがSW映像作品として出されている。9-6(減算)の分の新々3部作の評価は未だに定まらず、やはり外伝作品が多くなっている。

Disneyは”ウナギコンテンツ”の親玉になったのか?

SWファンとしてはルーカスが語れなかった部分も含めて認めていきたいのは当然だが、かつてのような壮大な物語・人間が中心としていてそうしたヒューマンのドラマとしてのSWがもう見られないのかと思うと、無念なのもまた事実。いわんやDisneyは経営状態が芳しくないらしく、Netflixに対抗できるコンテンツを出せているか?というと微妙なところ。そもそもDisney+はネトフリとは違ってスリムな体制を保ってるし、一度は撤退したゲーム事業に再び力を入れるという噂もある(EA買収のことですけど,,,)。

ライバル:ネトフリ以前の問題として、捉えどころがない”ウナギ時代”にDisneyが突入したのは時代の要請の面でも、コンテンツとしての立場の面においても、まったく同じ論理なんだなと思う。これからもSWはコンテンツとして造り込まれていくことだろう。どっちかというと評論面での支援は臨めない。むしろ消費面やセールス面でしかとらえどころがないIPになっていくだろうな。私見ではDisneyはあんまりうまく行かないだろうなと思う。Pixarは買収に応じるべきじゃあなかったんじゃないかな?20年来のニワカSWファンがIPをゲーム・アニメ・映像作品として見る分にはそう思うよ。


あのDisneyさん…落とし物ですよ。あなたのすぐ後ろに、〈夢〉という落とし物ですよ…