【連載:クマでも読めるブックレビュー】「GE帝国盛衰史」~GEの失敗は組織の失敗である | ページ 6 | ゲヲログ2.0

【連載:クマでも読めるブックレビュー】「GE帝国盛衰史」~GEの失敗は組織の失敗である



Chapter11 ブランド再構築

ブランドの再構築、つまり買収案ではなく(その部分はChapter12で述べられている)、既存事業の強化ということをイメルトは主張しだす。アイデアを募って、成果を約束させる。このあたりはいいんじゃないかなぁと思う。でもGEほどの巨大な企業が新しい価値を作ることによって、辿ってきた道を刷新することができるのか?ジレンマに陥ることがないのか?ITは肥大化しているからいいけど、こういう発想でGEがこれからも成長するかというと難しいんじゃないかな…買収もダメだし事業刷新も無理。資本性が低減していくってのは他の会社でも同じですしねぇ…。MSの株価・Appleの株価・Googleの株価が上がるのはIT分野・ビッグテックだからこそであって、GEのような大企業・ハコモノの売り上げでやっていくのは難しいでしょうね。いわば、アメリカで新しく工場を増設するようなもので、かなりきっつきつな印象を受けますね。なんにせよ、この書は、GEがダメになった理由でなく、GEがダメになった結果論的な軌跡に焦点を当てているってことっすね。つまりマクロ的な資本主義の抱えている根本的な問題ではないかと思うんです。一方的にGEをこき下ろすのはあまりよくない。かつての企業でもこういった現象が見受けられました。そしてそののち、ITでも同じことが言えるようになるのだと思う(現にValveもそうなのかもしれない)。

Chapter12 買収による拡大

企業規模がでかくなればなるほど、買収案だのみってのは意味をなさなくなっていく。これを担保するのは民間企業であっても銀行だとかそういうものであってね、GEのような立ち位置ではなおのこと難しいと思うんです。ユニコーンといえども、新規事業の振れ幅は、爆発的に伸びても資本的な限界がありますから。そのうち成長性の問題は顕在化し、肥大化した金融事業は他の事業の足かせになっていく…GEの場合はそうでした。その結果、エリート主義・官僚機構がより強く育ち、かせはかせの強化に落ち着いてしまう。重ねて言いますが、GEの失敗は組織の失敗なんですね。つまり、企業家の失敗ではない。合成された、巨大な権力がどのようにして資本低減性を呈してしまうか?を追った傾向にある書だと、自分はこの時点で判断しました。もっと言えば、失敗学の実践書であって、起業家や企業家のための書にはなってない。現にGEの失敗している具体的な理由ってのは成功もしている企業にも当てはまる主張だからです。既存事業の強化や、得意部門の牽引、あるいはリストラクション経営効率化とキャッシュフローの改善…GEは当たり前のことをやってきました。でも失敗してるんです。常識的に有能な人々を多く集めそれらを育成してきた実績がしっかりとあるのにも関わらず、ね。