【連載:クマでも読めるブックレビュー】「GE帝国盛衰史」~GEの失敗は組織の失敗である | ページ 5 | ゲヲログ2.0

【連載:クマでも読めるブックレビュー】「GE帝国盛衰史」~GEの失敗は組織の失敗である



Chapter9 封じられた最後の手段

イメルトがとったもう片っぽの手法がリストラクションだった。特に金融部門の引き締め。従業員数の削減。だけども、GEキャピタルはこれまで多くの不採算を埋め合わせる効率の良い部門であり続けてきた。だからキャピタル部門の社員はイメルトのリストラクション策に疑念を抱き始める。とーぜんだ、これまでの貢献を無為にされたどころか、社員数まで削減されたのだから。さて、これが悪い手法なのか、というとあたしはそう思えない。規律を正すため、あるいは景気の動向を見て好景気の時にリストラクションをしておくというのは判断の速い証拠だし、一番効率の良い再建の手法だから。多くの会社はそのタイミング、リストラクション=経営効率化を逸して失敗するからだ。ただ、本質的な問題はGEの場合、失敗のための失敗を繰り返したことだろうな。

Chapter10 買収と売却

GEは買収と売却という策をコマに進める。これは苦肉の策にしかならず、メディア部門・水処理産業の買収と保険部門の売却の効果は限定的だったわけで、経営の効率化に失敗した。なぜ、でかい成功を収めた会社が失敗するのか?これは日本の会社にも通じていえることだと思う。例えば、日本電産の置かれている現状はGEのこの項目にかなり近いし、ソフトバンクもファーストリテイリングもそう。後継者が出てこない、とよく言われるが、経営効率化したのちどのように社の潜在的成長を確保するか、っていうのが主な問題になる。買収して効率化するってやり方は日本電産の限界を示してる現状に明らかにコントラストが当たる。ミッタルスチールもそうだよね。株価操作だけでやっていく、継続成長をどう確保するか?これはGEにだけ当てはまるものではなく、全体的な利益低減性に迎合せざるを得ない現状を象徴しているようにあたしには思えた。GEの失敗は失敗のための失敗だったこと。それはゲイツがGEに一方的に言えることだけでなく、多くの日系企業についても言えることだと思ったね。