【連載:クマでも読めるブックレビュー】「ウクライナ戦争は世界をどう変えたか」豊島 | ゲヲログ2.0

【連載:クマでも読めるブックレビュー】「ウクライナ戦争は世界をどう変えたか」豊島



「ウクライナ戦争は世界をどう変えたか」豊島晋作著
※書影:Amazonより.

豊島さんは尊敬すべきジャーナリストだと思うのですが、単著としてあんまりいい本じゃないと思うんですよねぇ…というのもまず書題がおおっぴらで本質的でない。まずは題名が適切かどうかを問うてから、各章への批判(本投稿2ページ目)に移りたいと思います。

流れとしてはロシアの本質☞ウクライナの本質☞NATOの本質☞いま問われる日本の本質といった感じなんですが、特にウクライナ戦争にフォーカスしているがため(仕方がないとはいえ)、ロシア及びウクライナに注点が集まっていて、題目にある通り”世界をどう変えたか?”という巨大な提起はほとんどできていないです。”世界をどう変えたか?”は論じておらず、むしろ”日本が考えるべきこと”ぐらいにしかなっていないです。

NATOに関してもほどほどにしかふれておらず、むしろ日中台米の土台に乗っ取った台湾有事にどう影響するか?(というか台湾有事が起きたらどうなるか)ということを論じている本であります。なので”世界をどう変えたか?”という巨大な題目として相応しい本ではない。たしかにサイバー環境だとか新しいメメントを折り込んで、部分的には素晴らしいジャーナリスティックな箇所が多くあるんだけども、それほど大きい主題で書かれている本ではないんですよ。

発想がそこ(ジャーナリズム)に近いので学問(アカデミズム)的ではないです。例えば、これを博士論文レベルの本として出せるのか?というと出せないと思います。もちろん、単著ですから、ジャーナリスティックの本でいいのですが、やはり尼のレビューにもそんな意見がありました。アカデミックなスキルを持っているかたからすればそれほど評価できる本ではないと思うんです。

ではどこが具体的にダメか?ひとつひとつ見ていきます。