レビュー

評論
NEW

アニメ「推しの子」は不謹慎なのか?

あたしも見ている、今季から放映が始まった人気アニメ「推しの子」(漫画原作有)で、アニメ内で表現された恋愛リアリティショーの自殺未遂事件を巡り、実在した恋愛リアリティショーにまつわる自殺事件となぞらえ、当アニメが不謹慎である、という見方がある。【はたしてこれは本当なのだろうか?】結論:ぶっちゃけて言えば、『白黒はつけられない問題』だろう。この問題はムズカシイです。自殺されたかたの家族・当事者にしてみれば、そうとらえられても仕方がない面があるでしょう。ですが、こういった事件事例の似ている面、という点は社会の中でも散々散見されるものであって、これだけが特に該当する、とまでは言えないとあたしは思います。例えば、アニメ「名探偵コナン」(こっちは青山先生の漫画原作有)で作品内での架空の事件事故を実際に起きた事件事故となぞらえて、批判する人がいてもそれはおかしくはなく、ままあっていいことだと思うのです。当事者としては、いかに客観に徹しようとしてもそこには主観が介在してくるわけで、連想を想起させてしまう...という理論は心理学にもありますね。これはこれらのアニメーションだけには限りません。例えば、午後...
レビュー

高校時代、SteamやPCゲームのハナシをすると友人たちは驚いた【2023年の今だからこそ振り返れる中卒のハイスクール・オブ・スチーム物語】

高校時代、Steamの話をすると、周囲のゲーム仲間はみな驚いた。彼らはいったい何に驚いたのだろうか?セールがあることタイトルの大型セールがあることを知らない友人が多かった。大型セールでは、90%オフが軒並み出そろうSteam登録ゲームのことを言うと、驚かれた。ご存じの通り、その他、種々のジャンルに沿ったものなどセールは多々ある。今やスプリングセールが実装されて、四季を通じてセールタイトルが変えるようになった。高校時代は、そもそもSteamの存在自体知らない、つまりはSteamセールのことも知らないゲーマが多かった。『君ら損しすぎですよ』って言ってやったのはいい思い出w。反応の例:『90%オフ?ふつーワンタイトル少なくとも5000円ぐらいしない?』アカウントと決済情報さえあればタダでできるゲームがあることいわゆるF2P(Free to Play)ゲームがあることを挙げたら、驚かれた。タダでできるゲームがある...この事実に頑なに彼らはそれを否定してきた。『そんなゲームあるわけないじゃんwww』ってわけだ。『事実、TF2(チームフォートレスのこと)は無料(になった)じゃないか?』っていうと...
書評アニメ評

中卒が今更「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(第1クール)を見終わったので足りない学力と脳力を振り絞ってレビューしてみる

ハサウェイ論に続く中卒解説シリーズ第二幕です。姉妹記事☟「水星の魔女」に見るエキセントリックな側面とベーシカルな側面まず、画期的なのは舞台設定や、キャラクターの魅力ですよね。舞台設定はずばり”学園”。ガンダムシリーズにしては、何分ぶっ飛んでるように見えるけど、実際見てみると現実離れしすぎていなく、ガンダムモノの枠内に留まりながら、特異点となるポイントポイントではイレギュラーな工夫が見え隠れしている。例えば、”決闘”というぶっ飛んだ設定がその工夫のうちのひとつ。けんども、あくまでガンダムらしさのある人物の暗黒面、人物のたくらみの在り方をリアルに描いていて、人間個人個人の判断の結果で物語が進む...というガンダムシリーズらしい特徴を、その舞台設定の点で持っている。ではキャラ造りはどうか。スレッタとミオリネに代表されるように、むしろ本作の主人公はまず女性である点が特徴ですね。キーポイントになってくる登場人物も実は女性主体で描かれており、決して男性基準でなにか物差しを図る...ということではない。これまでのガンダム作品の場合、男性主体で描かれるシーンが多すぎた感がありますが、あくまで本作の場合...
書評アニメ評

中卒が今更「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」(第一作目)を見終わったので足りない学力と脳力を振り絞ってレビューしてみる

今しがたネトフリで「機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ」(第一作目)を見終わったので...ハサウェイ原作を知らない方が楽しめる映像化作品小説 機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ※書影:版元ドットコムより.見よう見ようと思っていて、今日見るべき時が来たと直感で感じたので見てみました。「閃光のハサウェイ」については、小説版をガンダムおじじ(富野)の著作で読んでたので、この名作を随分と”分かった気”になっていました。じじいの小説はよく世間で知られている通り、ちょっと読みにくいところがあるので、把握しにくいこともあってか、自分の場合だとあくまで”読んだフリ”になっていたというのが事実です。速読で流しただけだった...っていう。やはり映像化作品を見てみて、そこから小説版に移った方が詳細までが把握しやすいですね。結論から言うと、特段ひねりはなく、「閃光ハサウェイ」のありのままが映像化されている作品でした。ハサウェイはエリンなのか?を追及するミステリー劇場版を見て分かったのは、元ネタ知らない方が幸せになって本作を鑑賞できる、ということです。もともと劇場版ではハサウェイがエリンであることは冒頭からはまった...
ゲーム関係

漫画家がゲームを作る立場につくのは当然の帰結である

序論:漫画家がゲーム作ってる事例漫画家がゲーム作りに奔走するようになることを最近よくよく見かけます。例えば、真島ヒロがゲーム制作の様子をつべで公開してたり、ご自身の大人気漫画である「FAIRY TAIL」のゲーム化案を募ったり、萩原一至(伝説の漫画家・冨樫義博と「セーラームーン」で知られる武内直子の結婚に至るまでの互いの紹介人として知られる)がSteamで独立系のインディーゲームブランドからゲームリリースしたり、あるいは漫画家のアシがゲーム制作会社にフリーから転籍するということがまま業界で見られたりと、かなり具体的な事例がありそうです。思えば漫画家ってのはゲーム制作に親和性が高いんだと思うんですよ。なぜ漫画ではなくゲームなのか?これは当然のことなんですが、漫画描きが漫画家として成功するのは当然めっちゃくちゃムズカシイはずで、どっちかというとゲーム制作に向いている・特にプランナーに向いているというのはあながち間違っている論理ではない気がします。漫画は統合的なエンターテインメントで、複雑怪奇な世界だと思うのです。例えば、絵が上手いだけではだめで、話の作り方が上手いとか登場人物の描きかたが、...
ゲーム関係

ナラティブゲームとは何か?またナラティブゲームに必要なものとは何か?

今、SteamでもLudoNarraCon(副題:ナラティブゲームのデジタルフェスティバル)が開かれているので、疑問に思った方も多いかと思う。今回はナラティブゲームとは何か?というお題で一記事書いてみる。英語で直に置き換えると、narrative gameだから、直訳すると【物語性あるゲーム】ということになる。では、具体的に言ってナラティブゲームの特徴とは何なのだろうか?Narrative game design is a part of the game development process in which the creative team defines the game's story structure and core emotional elements. This is where components like theme, plot, character, and dialogue come to life.テキトー訳:ナラティブゲームデザインとはゲーム開発のプロセスの一部であり、開発チームがゲームストーリーの構造や感情の核となる部分を定義することである。テーマ...
ゲーム関係

ゲームにおけるフルモーションビデオとは何か?

Steamでもフルモーションビデオ(FMV:Full-motion video)のタグを見ることが多くなってきた。一体これは何のことでどういったゲームについて回るタグなのだろうか?簡単に言えばFMVとは『録画された動画ファイルを挟む形で語られる物語性あるゲームのナレーション手法』(Wikipedia)のことを示す。まず、代表的なタイトルの事例から見てみよう。例えば、今検索かけただけでも、その特徴は大雑把に把握できる。サスペンスものとして高い評価を受けた「Late Shift」(2017年)・あるいはホラーものの「黄泉~悪夢のアイランド~」(2023年)にもFMVのタグがついて回っている。思うにホラーとかADVゲームについて回ることの多いタグで、実写系で選択肢のあるゲームはFMVに親和性が高い部門なのだろうナということが推察される。FPSでも最近その傾向を持ったゲームが出てきた。それが「Unrecord」(発売日未定)だ。デヴェロッピング・パブリッシング共にフランスのDRAMAが手掛けているタイトルで、発表当初は"これフェイクじゃねえの?"と話題になったことで記憶に新しい。4Gamer....
書評アニメ評

少年ジャンプ+連載既完結漫画「地獄楽」~そのアニメ版放送が始まる

2023年4月8日「地獄楽」のアニメ放映が始まった。原作は賀来ゆうじによる忍浪漫画。幼少期に両親を惨殺された不死の忍者・画眉丸が、愛する妻である結との再会を目的に、女剣士・佐切の提案(『不死仙薬を探し当てれば願いが叶う』)を受け入れ、旅する過程とその顛末を描く。漫画は、耽美かつ細やかなタッチで描かれており、悲壮的ながら希望をも持たせる世界観で人気を博した。連載期間は2018年1月22日~2021年1月25日の間。既刊全13巻で、完結済。原作者・賀来は秋田書店に漫画編集者として就職後、漫画主業に転身した経緯をもつ異色の漫画家。「チェーンソーマン」「ルックバック」など著名な作品で名を馳せる藤本タツキを師匠に持つ(藤本のアシスタントであった経緯を持つ)。自身のアシスタント経験者には同じく漫画家の龍幸伸がいる。Wikipediaによれば漫画制作の師匠に当たる藤本とは、趣味がよく合うらしい。自身の漫画の作風に悩んでいたところ、藤本との出会いが自信を持つきっかけになった、という。2023年4月放映開始のアニメ版は、カルト的な人気を誇る手塚漫画「どろろ」のアニメ化を手掛けたことでも知られる、MAPP...
ゲーム関係

伝説のフリーゲーム「魔壊屋姉妹。」は、ここ20年の間、なぜ傑作であり続けるのか?

~画像:魔壊屋姉妹。 - Wikipediaより.(※作者higaによる著作権放棄済みコンテンツ)~こんなこと今更書いて何言ってんだコイツって思われそうですが...まぁメモがてら書いてみます。「オクトパストラベラーⅡ」は”バトルモダニスト”のゲーム今日「オクトパストラベラーⅡ」をやっていて、ふと気が付いたんですよ。これって戦闘の√取りに様々な交絡要素を組み込んでるゲームじゃないですか。例えば、BPとか底力とか。こういう様々な、だが意図的なインシデントを多く組み込むことで、バトルシステムに可塑性をもたらしている。そしてその中で自由にコマンドを組み込み、それらのインシデントを制御することで、高い難易度のゲーム達成目標を現実的にクリアーできるようになっている。これって実は奇妙なことに感じられるけど、すごくモダンなバトルシステムのヤリクチですよね。さらに、行動順遅延攻撃などの要素もあり、バトルのスピードが、本来ターンベースバトルゲーなのにもかかわらず半手動半オートになっているという点も見逃せないです。前座1:「オクトパストラベラーⅡ」はどこが凄い(現在系)のか?「オクトパストラベラーⅡ」の場合...
書評アニメ評

アフタヌーン誌連載漫画「スキップとローファー」~そのアニメ版放送が始まる

2023年4月4日「スキップとローファー」のアニメ放映が始まった。アフタヌーンKC スキップとローファー ※書影:版元ドットコムより.原作は高松美咲によるアフタヌーン誌で連載されている漫画作品。マンガ大賞2020にノミネートされ高い評価を受けた、累計発行部数100万部突破のヒット作だ。高松の漫画作品としては「カナリアたちの舟」に続く連載第二号となる。原作の連載は2018年10月号からだから、アニメ化は連載開始から5年かけて実現となった形。Wikipediaによれば高松漫画の特徴は、”ジャンルにこだわらない作風”にあるという。東京の進学校に首席入学した、世間の感覚から大分”ズレた”俊才女子高生を主人公に据えた、スクールライフコメディーが描かれる「スキップとローファー」。『T大学法学部を首席卒業し、総務省官僚になり、官僚経験を活かした地元の有能な政治家になる』という夢を実現する”明確な目標”を持った女子高生・岩倉は高校入学早々のトラブルを抱えながら、学校生活を通じて、個性的な友人とともに成長していく。アニメはTOKYO MX他で放送されるほか、Netflixなど各種配信サイトでも配信される...