まず結論から申し上げますと…
ゲーム「ブレードキメラ」は、2D横スクロールACTゲームの白眉であるに留まらない。むしろ、現段階の技術で、2Dゲームでできる表現のうちのすべてに挑んでいる、と言い表すほうが正しいだろう。デモ版で感じる可能性それ自体が、それほど未知数である。
ドットが神
まずね、このゲームはドット絵が神。これに異論を唱える人はいないと思うんだ。主人公(「シン」)も敵キャラも皆ヌルヌル動く。加えてドット絵自体を支援する周囲の要素もどれもが神。例えば、本部との通信のメカニズムとか、ステージ上に組み込まれたエレベータやフォークリフトの挙動とか、鉄道車両が走ってくるところとか。本来あるべき基本的なメトロイドヴァニアのデザインにいくつものムーブメントを意図的に組み入れていて、それをこれでもかこれでもか、というほどの勢いで、ゲーム内に詰め込んでいる。全部成功している。全部、だ。
大局的デザイン・システムも神
戦闘システムも神。ここらは、ゲームがデモ版である以上、ちょっと説明不足になるんだけど、基本的に主人公はレーザ銃で戦うことになる。遠距離武器がシームレスに攻略に組み込まれていて、その銃口に相対する敵キャラの描画も興味深い。朧気、というか、妖気というか。妖怪に着想を得ているのかなぁ、という感じなんだけど、和風の伝奇モノに留まることなく、洋風のステージデザインとそれらが絶妙にミクスチャしていて、デザイン的に無理が生じてないんだよね。
「ルクス」の具現刀
んで、途中で変幻自在の剣「妖蛍刀」(=「ルクス」の具現系、という設定)を手に入れられるんだけど、ステージ中の特定のポイントで床になったり、壁になったり、グラップルになったりする。そういう設定な武器らしいね。”空間を媒介して過去あったものを再現できる”らしいんだ。この剣は武器としても使えるほか、ドーム状のガード機能を発揮させることもできる。つまり、このひとつの武装は場面場面に相対して自由自在に変化し、主人公をサポートすることができる。ここがシステムのミソみたいだね。
RPG要素
あと、武装もカスタムできる。もちろん先に書いた、剣のオブジェクトはデフォルトで装備することになるんだが、デモ版内で鞭とか大剣(前述のものとは違う)も手に入れてスロットに割り振ることができる。攻撃システムが派生していき、広まっていくような、ちょうどRPGにおける武装のようなシステムがはめこまれている。そう、RPGっていえば、レベル制もこのゲームの肝みたいなんだよな。敵を倒していくとレベルが上がっていく。2Dメトヴァニに、RPGのシステムをうまく食い込ませることに挑戦しているんだよな。
あえて苦言を呈するとすれば…
もちろん現状素晴らしいゲームなんだけど、あえて自分なりに苦言を呈するとすれば、打撃感・射撃感に欠ける、っていうのは気になった。2DACTだとキャラを動かしていて、気持ちよさがあることは重要なものだと思うけど、それと同時に攻撃の感覚に爽快性があんまりないかな?って思ったんだ。銃は実弾じゃないだけあって、リコイル感に欠けるね。もうちょい重厚さが欲しかったな。あと打撃感ももっとエフェクト強くしていいと思う。こうすることで、”敵に攻撃を加えている”という感覚を操作者=プレイヤーのなかで増幅させることができるはず。まぁ、ここらはきっちりと製品版では実装してくれるだろうからそんな心配ではないです。
再び結論
素晴らしいポテンシャルを感じるゲーム。これまでいくつものメトヴァニを数多く見てきたが、間違いなく、世界最高峰の出来になる可能性が高い。もう任天堂とかマリオとかそういうレベルじゃなああああああああああい。しいて言えば、デモ版が短すぎる(30分ぐらいでおkなボリューム)のが悔やまれる。