メタル音楽系煉獄FPS「Metal: Hellsinger」を今更レビューする | ゲヲログ2.0

メタル音楽系煉獄FPS「Metal: Hellsinger」を今更レビューする



メタル+FPSというだけでは済まない一作。

ビートに沿って敵を撃て!

このFPSは、ビートのリズムに沿って射撃すると、攻撃力がインフレするタイプのFPSであり、あくまでローグライトゲームではないです。例えば、「BPM: BULLETS PER MINUTE」はビート型のFPSであり、ローグライトゲームでもある。紛れもなく、この分野を代表する相性抜群の傑作のうちのひとつです。似たタイプのゲームとしてよく挙げられるこのゲーム「Metal: Hellsinger」ですが、このゲームがローグライトではないからといって、ローグライトヲタが落胆する必要はまったくなく、ローグライト好きが買ってもフツーに楽しめるタイプの面切タイプのFPSゲームになっています。それはなぜか?

ローグライトではないがそこを気にする必要はない

一因は間違いなく、今作が絶妙なインフレ型バランスFPSであるがゆえのことと思われます。「Metal: Hellsinger」には、難易度設定があり、かつ、面切タイプのタスククリア型のシステムもある。あたしはどーしてもローグライト+自在な難易度設定というと忌避してしまうタイプなのですが、そこに関して言えばまったく心配はいりません。自在に難易度調整が出来てしかもローグライトものだと、やりがいが減衰してしまう恐れがある。少なくともローグライト+難易度調整という組み合わせはあまり良くない。というのも、難易度が調整・設定できるタイプのローグライトはプレイヤーの好みに合わせて難易度を選択出来てしまい、ローグライトとしての課せられた限定条件下でのタスク処理という面で齟齬が生じるからだと思います。

リーダーズボードをはじめとする絶妙な設計

本ゲームは難易度調整選択の要素こそあるものの、リーダーズボードも選択する難易度ごとにに区切って作られてますし、そもそもローグライトでもない。かといってローグライト要素が皆無なのか?というと微妙な匙加減でそこらを誤魔化せています。武器に関して言えば、ローグライトみたいにアンロックされる仕組みだし、面切タイプというゲームであり、かつ、ローグライトではないことは明らかなものの、エッセンスのところではローグライトのようなシステムをちょこっとだけ組み込んでいて、かなり興味深いタイトルに仕上がっている。

音楽という新しい次元からFPSを再定義

なにより、ステージクリア型FPSという一見単調そうなゲーム種であっても、音楽という別次元の切り口からFPSを再定義しているので、ゲームやっててつまらんとか退屈だとかそういうことがない。フツーのFPSには音楽という主要素はないので、新しい次元として音楽、しかもメタル的音響というディメンジョンで従来から存在するFPSへのカウンターアタックが出来ている。さらに言えば、よくあるSTGのゲーム的問題点として、撃ち込みの爽快感・音的エフェクトという問題提起が存在しますが、実はこのゲーム、撃ち込み感覚のあるFPSで、音響エフェクト・効果音の類も素晴らしい設計になっているので、飽きにくいシューターに仕上がっている。

基礎体力も優れたFPS

そして煉獄の描き方・ポップクラシカルな悪魔的デザインは魅力的です。見ていて飽きないデザインの要素が確固として存在する。また、純粋なシューターとしてもかなり良く出来ているので、その意味で基礎体力のあるFPSだとも思います。雑魚戦からボス戦にまでわたってバランスが良く、うまく立ち回ることは最低限要求されますが、そのプレイ感覚は「DOOM」に近い。様々な武器を手に取って、雑魚を一掃、その後、ボスに相対してステージをどんどんとクリアしていく。すると先に書いたように、そのプロセスの中で武装がアンロックされ装備可能になり、次のステージも選択できるようになっていく。通常のFPSとしても完成度が高いどころか、音楽という新しい次元で再定義も出来ているので、より一層興味深い設計思想をもったゲームに仕上がっている。

アプデやDLCについて

新しいDLCもちょくちょく出てますし、レビューもかなり高評価。メタル界の御大がけっこうな楽曲を提供してくれているらしく、相当豪華な音楽を味わえるのもイイです。しかも、開発がお金を払っている(と思われる)ので、権利上の問題も発生しないそうです。惜しむべきは、サントラが出てないことのみ(おそらく権利関係を幅広くクリアーしているとはいえども、サントラを出すまでには大人の理由が通っていないのだと思われる)。あとの出来は間違いなく神レベルです。