「パーリィナイトメア」(デモ版)ゲームレビュー~”シンプルな発想によるイノベーション” | ゲヲログ2.0

「パーリィナイトメア」(デモ版)ゲームレビュー~”シンプルな発想によるイノベーション”



Steamでデモ版配布中の「パーリィナイトメア」…やってみたので、それをレビューするよ。


基軸となるシステム

まず、主人公はタマシイとホンノウの二人(とはいってもそもそも人ではないようだがw)に分かれる。どうやら、このタマシイとホンノウはナイトメア…悪夢に彷徨う、自分の意識の分離体らしい。このうち、プレイヤーがメインで操作するのがタマシイのほう。ホンノウは鬼の角を持った女性の形を象ったキャラクターで、タマシイがパリィして混乱させた敵(この敵をトラウマという)に決定的なダメージを与えるという役割を担うサポートキャラクターだ。タマシイとホンノウは協力して、この悪夢=ナイトメアを抜けるため、つまり目を覚ます朝を迎えるためにトラウマと戦うことになる。目を覚ますためには、トラウマを倒して生じた光アイテムを集めなければならないのだ。そして光のゲージが100%になると、ワンステージクリアというわけ(体験版ではステージ1しかプレイできないようです)。基本的なシステムはこれだけ。

パリィとコリジョン

タマシイが行える移動以外では唯一のメイン行動であり、敵をスタンさせるというアクション、これが本作の肝であるパリィという概念だ。パリィをしていくとゲージが貯まって、一気にトラウマを一掃できるアクション(これをバーストという)をとれる。基本的に限られたパリィエリアでしかパリィはできないが、ゲージが貯まったらバーストACTでトラウマを一掃できる…というわけだ。逆にパリィできない局面でパリィするとこちら側に隙が生じることになるので、トラウマとの距離的バランスを保ちながら、パリィしていくことが求められる。つまり、このゲームは、そのタイトルでも示されているように、パリィがメインACT要素になっている。なお、デモ版でプレイ可能なステージは、肉壁に囲まれていて、人間の内部に入ったかのようなもの。ゆえけっこう狭苦しいので、逃げ場はあまりない。パリィする位置とタイミングが、タマシイとホンノウの運命のすべてを握っている。

タマシイとホンノウ(キャラの二重性)

一方でホンノウだけを狙って行動するトラウマも登場する。タマシイはホンノウのことも適切なパリィタイミングを計って守らねばならない。このホンノウが敵の攻撃を受けると、ホンノウ自身がスタンしてしまう。このスタンを解除しないと、ホンノウのサポートが得られなくなる(ホンノウのスタン解除は一定時間ホンノウの上に留まることで行える)。すると攻撃手段を失ったタマシイは行く当てが無くなり、ゲームオーバーに陥る。この”キャラの二重性”がゲーム「パーリィナイトメア」の肝要な実装部になっている。タマシイはパリィしながらホンノウのことを守る、このシンプルなタスクが本作の醍醐味を構成する要素になっておる。

グラフィックスデザインとゲームデザイン

全てにおいて完璧である。温かみのあるダーキーなデザインが凄く良くて、特にホンノウの”姉さん”的なスタンスがシンプルすぎて貧相な(とあえて言っておくw)ゲーム性にアクセントをもたらしている。人間の精神の中身・意識の本質をユーモラスにジョーク調に描けている。単純なグラフィックスデザインで、ストーリーも至極わかりやすい、その割にキャラ立ちなどのユニークさで売り飛ばすような印象を持った。システム部についてはもう解説したけど、こちらもシンプルなタスクをプレイヤーに課すわりには、その実ゲーム性は奥深い。そういう意味では大局的なゲームデザインがなんたるかってことを作者:チャレヒトさんは分かっていると思う。ああそういえば、本業は漫画家だっけ?兎にも角にもチャレヒトさんの持っているバックグラウンドの広さが大雑把な(もちろん誉め言葉である!)ゲームデザインに活かせている良い例だと思う。カネをあまりかけなくても…シンプルさでもってしても…物語が自然に発生してて、どこついても不自然さ、というか強引に作った感はまったくない。グラフィックスデザインの側面ばかりか、ゲームデザインにおいても今日のデジタル消費社会における教科書・お手本のような、凄みを持っているゲームだ!

音響・音楽

音響も素晴らしい。STGとかこの類のACTは爽快性ってのが重要で、例えば撃ち込んだ時とか、敵を一掃した時のその音的な効果ってのが、気持ちよさを体現させてくれないと、その爽快さが現実のものにならないっていう面あると思う。この点でも本作は秀逸。またそれは音楽・BGMについても言える。ジャズ調の音楽がステージ中に流れるのが、とても印象に残ったんだよね。テンポ感・リズム感が小気味良くゲームのデザインに合致している。本来、こうした音楽ってのは、ダークな世界観だと相性が悪いんだろうけど、妙にハイテンションなホンノウ姉さんの可愛さと相まって、プレイヤーのユーモアの感度を高めてくれる作用を持っていると思いました。これ、だれが作曲したんすかね?


久々に和ゲーで凄いゲームを見た。”シンプルな発想によるイノベーション”これに尽きるね。

<ホンノウ姉さん、可愛いZE!