「これからは大手ゲーム企業がインディーゲームに投資する!」っていう主張、すでに欧米の大手企業が立ち上げたインディーゲームのパブリッシング部門が軒並みレイオフ&閉鎖の危機にあることをご存じでない……?
— ぱソんこ (@passonco) July 3, 2024
これ面白い意見だなぁって思うんですよ。何で欧米でレイオフをバンバンやるかっていうと、事業規模を縮小してキャッシュフローを良くするためですよね。これはゴーン・スナールの日産ルノー連盟の事例を見てもよくわかるのですが、これしか選択肢はないんですよ、経営効率化のためには。ある程度成熟した会社、特に大企業の場合、さらなる成長をするために必要な企業内政策は、その成熟した時点で経営者が辛辣なコストカッターになることなんだよ。ニュートロン・ジャックってよくいったものですよね?
これが化学・製薬メーカの場合どうかっつと、似たようなことはいくらでもやっとるね。例えば、部材・薬剤原材料の探索は小さい子会社にやらせて、それ以外のマネジメントのことは(買収)大企業側がやるっていう経営モデルはかなり頻繁に見る。M&Aっていうハヤリだよな。ニデック傘下になったTAKISAWAの事例はそれを日本風に象徴しているのかもしれない(ただ永守さんはリストラはやらないんで人材に関する考え方はまったくゴーン・スナールのようなコストカッターとは違った側面もあるっちゃある)。
※ちなみに海外でリストラ(本来はリストラクションの略)って言っても通じないし、元の言葉のリストラクションつっても経営効率化という意味なんであって日本で言っているような意味で使われるものでは本来ないっす。
んで、このご意見は最近巻き起こってるインディーゲーム開発ブームに便乗した講談社とか集英社とかガッツリそういう系の会社のこと言ってんだろうけど、こういう言葉の定義の違いとか雇用に関する文化的背景の相違があるから、欧米のゲーム会社と日本のゲーム会社を混同してはいけないという反論はひとつの論としてあると思うんだよね。まあこの論者が本当にそういう経営文化の違いを誤解・混同をしているのか?というとそうではないので論点が違っている…とする再反論もまた考えられる。論は通っているんだよね、このお方の。だからこそ意見として面白いw
観点を変えるとスタジオ閉鎖危機!つっても欧米の場合クローンゲームとかリスペクトゲームみたいなフェアユースのような論の意味合いでIPが複雑に復活することもまま多いじゃん。そういう意味では、レイオフとかスタジオ閉鎖=人気IPの完全終焉ってイコールで結ぶのは間違っている、という反論も考えられるよね。そういう問題提起になっている点が素晴らしい。あちら(欧米)ではレイオフされるっつってもそれほど人生\(^o^)/オワタではないんだよね。なぜかっていうと人材流動化のシステムがあって、再就職先にそれほど困らない。だが、日本の雇用環境が単に悪いという意味でもない…。
世界にとって日本のそうした経済感覚は有益だ、とする意見もあれば、人材流動化こそが太陽政策だ、とする学者もいる。どっちとも論は立ってるし、それぞれの良さはあると思うんだ。コアコアな意味で言うと、この問題はスタジオが閉鎖される絶望で語られるべき問題じゃないんだよな。むしろ、スタジオの環境とか人材育成の方針とか会社の人材に対する基本的なポリシーというようなソッチ系の議論が本質なんだよ。だからこそだけど…もうちょっと深く言及してほしかったな!