集英社ゲームズはどこがダメなのか? | ゲヲログ2.0

集英社ゲームズはどこがダメなのか?



集英社ゲームズはどこがダメなのか?

まぁSteamでリリースされる世界に通じるようなタイトルの標榜も含めて、ゲームパブリッシングに集英社が就くっていう意味合いはすごく斬新だし、面白い試みだとは思うんですよ。こういう個人制作ゲームの時代の要請にも合致してる。でもね、一つだけ言わせてもらう。この類のゲーム発掘・マイニングってのは、集英社が培ってきたノウハウをしっかりと継承してゲームにできるのか?っていう点で大いに疑問有なんだよね。

出版産業のやり方がゲーム制作に通じるわけではないのは当然のことだ

元々、集英社は一般的に知られているように、出版・漫画産業っていうジャンルでノウハウを培ってきた歴史がある(あたりめーのことですが)。それをいきなりゲームに応用するってのはいただけないよ。というかぶっちゃけ失敗すると思うんだ。ゲームってのはね、背後にある大きな物語を消費してこそゲームなんですよ。そこに漫画主体の産業様様がいきなり参入してきて、そういう大きい物語を目指して、インタラクティブ・双方向性でもってしてクリエイターと密になって、ゲーミングの行き交うところの頂点目指せるのか?っていうと大いに疑問符が付く。なにもこれは理論的に示唆されたものなだけではない。結局のところ、インディーゲームのやりかたの王道を勘違いしちゃだめだよね。自由に産業が興って、それがイノベーティブに作用する。これがインディーのいいところだし、面接選考とかありていの縛りでやっているようではだめだと思うんだ。トップダウンの決定でいい作品をマイニングして、それを支援すりゃいいっしょ?これはアクティブゲーミングメディア社のPLAYISMもやってることだし、多くのゲームメーカがパブリッシング部門作ってやってることだよね。それこそLoLのRiotとかEAとか。ブランド作ってやってんじゃん。こういうゲームの専門商社がやってることにいきなり参入して対抗できると思いますか?あたしにゃそうは思えんね。結局のところ、日本の大手ゲーム産業の失敗の轍を再び踏もうとしている。

日本の製造業がIT化に失敗した理由と重なるインディー発掘方法論の方向的無理性

例えば、ぶっちゃけあたしはハイタカさんのゲームにはまったく興味がないし、ストーリーの欄を追っただけでやる気は出なかった。相当高度な技術力を使ってるんだろうけど、結局クラファン頼みになったんでしょ?ならなぜ集英社のバックボーンが必要なのか?[追記:ハイタカさんのゲームは講談社のパブリッシングでした(勘違いしてました)]という開発の環境にも疑問符が付くし、チーム体制でもないことにも疑問符が付く。数十年かけて作ったものがヒットしないってのは古典的な日本の技術産業の行きつく先だったやん、現にこれまで。半導体しかり白物家電しかり。ヒットするゲーム・面白いゲームってのは決して長期のスパンで作ったものだとは限らない。数か月で作ってもVSのようにメガヒットするゲームはある。コンセプトを抑え、技術の形式に工夫を仕込み、自由な環境でクリエイティブになれる人材や環境が最低限度整ったところでヒットタイトル生成の条件が出てくる。手の込んだゲーム作ったら売れるわけじゃない。日本の電機産業はハードウェアに拘り過ぎたが故、何を作れば売れるかがわからなくなっていった。そうしているうちにGoogleやAppleがソフトウェアを握ってしまい、ハードにも回帰されて日本の製造業はコテンパンにやられ長期停滞に陥っている。集英社のやろうとしていることもこれと根本的には同じ。

じゃあどうすれば良いのか?

もしあたしが集英社の側ならば、面倒な選考とかそういうモンは設けないです。むしろ、トップダウンで何かを作るかたを直接支援すればよいわけなだけなんだよね。クリエイティヴィティーで言えば、間違いなく世界トップクラスに属するポテンシャルを持つ国内IPも多い。すずきすずぞうさんのゲームnine-twoさんのゲーム蓮田さんのゲームがあるじゃん。itch.ioでの良作・シュマップクリエイターで作られた良作も昨今多い。こういうポテンシャルのあるゲームをトップダウンの決定力でもってして、直接支援して、利ザヤを稼ぐっていう方法は考えられんかったのかな?世界のゲームパブリッシングを主体とするゲーム産業はそういう風にしてる。ハードルを設ける必要ってないんだよね。PLAYISMもRiotもEAも独自のブランドを作るうえではそういう風にゲームの開発支援の勘所をおさえてきた。だからこそ、Steamでは好評なゲームがそれらのPの下で多い。自由なクリエイションを阻害する要素を多用しちゃ駄目だと思うよ。今回の記事の意見をまとめてみよう。

まとめ

・集英社ゲームズの個人開発タイトルのマイニングの試みはたしかに興味深い.

・なぜかというと『子会社の探索』という時代の要請に答えてはいるから.

・ただ出版産業のやり方を現代のインディーゲーム産業に適用するのは無理がありすぎる.

・ゲームを作るには自然なノウハウが必要で手間・カネを多く駆使すれば済むものではない.

・現に小ぶりすぎて”大きい物語”を背後に感じさせない”軽いIP”が目立つ.

・ゆえにこれでは市場を席巻するようなヒット作を多くマイニングすることは望めないだろう.


納得できないなら、4Gamer.netのEA Originalsのパブリッシングの方向性を示している項、読んでみてよ。PLAYISMのウェブサイトからも引用するけど、ここまで豪語できるんだぜ。集英社独自ブランドによるゲームクリエイションの方向性が間違っているっていうことの遠回しの指摘になっているとも思うな。

[追記:今回の記事の内容は集英社ゲームズへの批判になってますが、講談社ゲームクリエイターラボも内実は閉鎖的だという点で集英社ゲームズと同じように感じています(故にIPの開拓に失敗するというのがあたしの個人的意見です)]

There are games created by one person, or by small teams, simply because the creators wanted to. They are created because of the passion these people hold towards their art. This passion is not something that can be imitated with huge budgets and large teams. These are the games that we have supported for almost a decade. These, are Indie Games.

PLAYISM has, from the very beginning, been driven to deliver these games to as many players as possible. We began by creating a platform from which we could distribute indie games. From there we started localizing into multiple languages to overcome borders and then expanding into Steam and Console platforms.

Our hope, is for all gamers to play as many indie games as they can.

一人の人間が作ったゲーム・少ないチームで作ったゲームがあります。それらは情熱でもってして、『作りたかったから』作られたゲームです。大きい予算や大きいチームでできることを単に真似するだけでは、こうした情熱は生まれません。そうした情熱を持ったゲーム、それをインディーゲームと呼びます。

PLAYISMはこうしたゲームをできる限り多くの人に届けるため、より多くプラットフォームと密になってデヴェロッピングを支援してきました。そのためにマルチランゲージ化も進めてきました。Steamやコンソール機に、それらのゲームは活躍の場を広げていくことでしょう。

我々の望みは、こうしたゲームをより多くの人々に届けることなのです。

About | PLAYISM Official Websiteよりテキトーに和訳・引用.