デモ版の出来に感心する「ラスティッド・モス」 | ゲヲログ2.0

デモ版の出来に感心する「ラスティッド・モス」



これいいゲームですね、「ラスティッド・モス」。かなり凄いゲームバランスを持ってます。

「ラスティッド・モス」の勘所

たしか、あたしは以前、すずきすずぞう氏(Twitter)の作っているゲーム「Path of the Abyss」について(勝手に評し)こういいました。

ゲームに限らず、小説など他のエンターテインメントコンテンツにでもなんにでも適用できるロジックだが、『ストーリーはあたかもそこにあるかのように』作れ。そういう意味で現代のロールプレイングはジャンルを問わず、ボルヘスに倣うべきである。「Path of the Abyss」がその勘所をおさえる限り、同作はボルヘス的傑作になるポテンシャルを持つだろう。

と。ではシステム面ではゲームのコンテンツはどう作ればいいのか?これはかなりムズカシイ問題です。もちろん、「ラスティッド・モス」だって、ストーリーの筋の勘所はスバラシイ。極限まで切り詰めてストーリーは単刀直入に世界観の風呂敷を広げてしまい、あとはゲーマの想像に任せる…まさにボルヘス流の作り方であり、プレイズムがこのタイトルに着目したのも十二分納得できます。

そのシステム的流儀

まず、グラップリングフックのゲームへの導入が素晴らしい。これね、サムスみたいに何回もフックできるものじゃないんだよね。でもってして、かなりセンシティブに操作しないとなかなか先に進めなくなっている。でも仮セーブ地点がすごく綿密に設計されていて、ここが沸き場所か!という要点を抑えてるんですよ。だからリトライが何度もできて、(゚д゚)ウマーなグラップリングの作り込みを全体的なゲームコンテンツの中で実行できているすよ。だからストレスにならず、むしろ爽快感を醸し出してくれている。これスピードランの標的の絶好のタイトルになると思うんだよね。マウスとキーボード推奨のタイトルであり、実はかなりの本格派なわけよ。お手軽なグラフィックスに騙されてはいけない。繰り返しますけど、本格的なタイトルですよ。

アクションパターンの設計手法

加えて、このゲームでは、銃撃のパターンが限られてて、システムの無駄な部分はかなり切り取っている。要らない部分はかなーり切り取っているので、単純な攻撃パターンで最大限のシンプル美を醸し出している。しかも先に書いたように、世界観は『あたかもそこにあるかのように』作りこんでいるので(後述するけど)、パターン化されたシステムにも忠実であるといえる。つまるところ、基礎+応用の作り方がかなり巧妙に達成できてる稀有な日本産(でいいんですよね?)のゲーム{追記:日本産じゃないみたいです}だと思うよ。こういうゲームの作り方がわかってる人ってのは絶対数として間違いなく少ないですよ。開発者はプレイズムに認められ惚れられた才能があるんだろうねって強く思ったよ。

全体を統括するグラフィカルな世界観

その上、世界観は空中都市+ディストピアっていう上手いこと考えたなーと思わされる設計になっておる。しかもその世界観とは裏腹に語られるキャラクターの声やグラフィカルなデザインはある種ゆるめの表現で為されている。『そこにあるだけでゲーム的な魅力にあふれている』っていうことへの理解力が高い人が作ってるゲームなのよ。また、自然体のドット調のグラフィックスが全体を統括していて、この点でも全体的に魅力に見映える。言うなれば、広義の意味でゲームデザインがよく考えられて作られているし、しかも意図的な下手さはまったく出していない。隙の無いゲームデザインが2Dでこれだけの表現の巧妙さでもってして達成できていることに驚嘆せざるを得ない。


ということで、みなさんデモ版やって、製品版が出た暁にはぜひ買っちまいましょう!