「Quasimorph」にはなぜゲーム感がないのか?【ローグライト超辛口批評:フルボッコ編-ラウンド4】 | ゲヲログ2.0

「Quasimorph」にはなぜゲーム感がないのか?【ローグライト超辛口批評:フルボッコ編-ラウンド4】



ゲーム「Quasimorph」はデザイン面では百点である!

けっこう持ち上げてたIPですが、リリース後何回やってもこれについては酷評せざるを得ないです。まず言っておきますが、素材とかアセットやデザイン面ではかなり優れています。グラフィカルな訴求力は極めて強く、丁寧に描かれたドット絵はとても魅力的。デザインは素晴らしいです。てかそれに惹かれて買った次第です。おそらく多くのローグライトヲタが期待に胸を膨らませてこのゲームを手に取ったことでしょう。

ではなぜ酷評するのか?

ですがね、これローグライトなんだからゲームバランスのことはよく考えておいてほしかったんですよ。なんつか平衡感覚の点で没所が多すぎて、全体としてのゲームバランスが極めて悪い。クリアできないとか決してそういうこと言ってんじゃあないんですよ。このゲームね、クリアまでの道筋がつきにく過ぎるんですよ。超高難易度でも別にいいと思う。でもこれって難易度のわりに上達するための勘所とかを立てにくいし、なによりもハードルをクリアしていく達成感がまったくないですね。アセットの魅力は素晴らしいのに、こういうところを失念してしまってはダメです、という良い反面教師事例になっている。ちょっと詳しく見ていきましょう。

『ゲームバランスが悪いため、超高難易度である』これが最大の理由

ローグライトは周回プレイの中で上達事項を逐一押さえていって、そこをうまく乗り降りしながらもゴールに近づく傾向をつかむ、難易度の高いゲームジャンルなはずです。ローグライクよりのローグライトでもそれは同じはず。このゲームがまさにローグライクよりのローグライトっぽさのあるゲームなので。ただね、本作は難易度の高さとバランスの悪さとが混同されてしまっているんですよ。難易度が高ければ良いというのは、ローグライトのシステム上十分あっていい論理だと思う。むしろそういうゲームも多くあって、その裏で高く評価されているIPもおおくあるはずです。ただし、それ=バランスが悪いということであってはいけない。『ゲームバランスは良いのだが、超高難易度である』これならわかるが、このゲームは『ゲームバランスが悪いため、超高難易度である』になってしまっているんですよ。

「不思議なダンジョン」を想定してプレイすると痛い目を見る

なんつかスパロボ要素を高難易度ローグライトゲーにしちゃった感が強い。とにかくわしゃわしゃ敵をだして、叩きあう。それだけのゲームで、ミッションクリアしたうえで感じるものとか感慨深いものってのは地味なものですらないです。敵の数にともなう戦略性があるのか?というとなくて、それを練るための練習要素があるわけでもない。ローグライク/ローグライトよろしくの達成感がないんですよ。見た感じすごく達成感のあるゲームにみえるっしょ?それって間違ってます。「不思議なダンジョン」みたいなニュアンスで買うと、見た感じはそうであっても中身のシステム系がそうではないがため、損します。ダンジョンを徘徊するようなワクワク感がなければ、ゲームを始めてみると、唐突な敵キャラクターの襲来があるだけで、RL流儀の伝統的な上達感や達成感がまったくないんですよ。これではゲームとは言えない。

傑作ローグライク「Tangledeep」との比較

例えば、「Tangledeep」なんかはストーリーの中でもテリングの要素があって、キャラの個性もあって、システム面でもバランスの良さのなかに一定のひねりが利いていた。これはマジでいいゲームでした。舞台が宇宙に代わっても、こういうローグライク/ローグライトのいい点はうまく継承して発展させていく必要性って別のIPの中にもあっていいと思う。それが本作にはないんですよ。単にクローン兵を送り込んで戦わせる。これだけ。あまりにもバイアスがなさすぎて、ゲームバランスの問題はもとより、ストーリーや物語を彩る第三の要素要素もまったく存在感ない。これで現状、ゲームって言えるのか?充実感のあるゲーム内容がある、とホンマに言えるんだろうか?「Tangledeep」でさえ、終盤尻つぼみになってるって厳しい批評をするローグライクヲタも多くいるのに、これにはそれすらない。その兆候や予兆すらないんですよ。

ゲームをやらされている感ならあるがゲーム感はない

独自性が感じられるのはおどろおどろしさが若干にじんでいるところだけ。ちょっと進むと敵が変異したりするんですけど、これもなんか裏で意図的な乱数調整で行っているような感覚を覚える。ひどくバランスの悪い、TRPGの斬新”そうな”要素、その側面を見せられているだけで、『こいつ強敵だから次こそはぶち倒してやろう』と思うところがまったくもって皆無。良い意味での復讐心や燃える心というものを抱きづらい。そういう意で、ゲーム感がないんですよ。昔の未熟な三流ボドゲをやらされているようで、これではゲームとは言えないと思う。改善点が見極めにくく、次に経験値を活かそうとする試みの発見があまりに少ない。単にクリックしてアウトプットが出てきた、ハイ終わり。The End。こんな感じ。

色眼鏡でゲームを解釈すること自体が悪いわけではないが…

粗悪品なので、そうとう物好きにしか受けないと思う。たぶん、そういう層が買って支えてくれているんだろうけど、今後も改善される見込みがなさそうです。結論:達成感に欠けるゲームになってしまってます。開発はもうちょっとローグライク/ローグライトの本来の面白さを勉強しなおしてください。色眼鏡だけでものごとを解釈しても良いゲームとは言えません。色眼鏡でゲームを見る、それ自体が悪いことなわけじゃないけど。