MSがEpic Games側についてAppleに対して共闘する複雑な事情 | ゲヲログ2.0

MSがEpic Games側についてAppleに対して共闘する複雑な事情



Apple And Epic Games Are Heading Back To Court Again — Here’s Why

これってMSがEpic Gamesの側についてるってのがミソだよなと。MSはこの件でEpic側について、アプリストアを運営するAppleとGoogleを共に批判しているわけだが、その実、MSはSteamを運営するValveと近しい。知っての通り、SteamはEpicのライバルだよね。つまり、MSはこの件ではEpicの側についてはいるが、いつでも反旗を翻すことができるスタンスを取っているようにも見える。前もってゲヲログでも伝えているが、MSはタイトルの独占的囲い込みに批判的なんだ。以下の文言を参照してほしい。

つまり、フィルが言いたいことはこうらしい。『補助金とかライセンス料とかバカみたいなこと言ってないで、どこでどんなゲームを買うか?ということはゲームユーザが自由に選択していいはず』だし、そうした場とか環境を『阿呆みたいに規定してしまって、自由な選択権をゲームユーザから奪うことは長期的に見て誰も得しないはず』だ、ということだ。つまりClosed Platformは元来意味がない。

SteamがXboxで動くようになるか?~Steam掲示板で”一抹の”話題が議論を呼ぶより引用

MSがEpicを援護射撃する理由はWikipediaにも書いてある。これを見る限り主張は一貫していて、【ゲームソフト作るのに金とか技術がらみの規制ばっかかけてっと、ゲーム制作者が困ることになるだろ?JKなことなんだから撤廃認めろよ】っていうこと。MSは自由にゲームを作って、どこでもいつでもどんな環境でも、ゲーマがゲームをプレイできる環境を今後にかけて模索するのは間違いない。その一方でSteamと関係性を強める姿勢を持つ以上、Epicほどフリーダムには動きにくい面があることがこの構図の複雑化に拍車をかけている。

マイクロソフトは「AppleのSDKやその他の開発ツールへのEpic Gamesのアクセス権を拒否した場合、Unreal EngineのiOSとmacOS上でのをサポートを妨げることになり、Unreal Engineだけでなく、Unreal Engineを使用してゲームを開発したことがある、もしくは開発中・開発する可能性のあるゲームクリエイターは、実質的に不利な立場に置かれることになる。」と述べた。

Epic Games対Apple訴訟 – Wikipediaより引用

4Gamerの奥谷は連載記事で【Epic GamesがゆくゆくはSIE MS 任天堂を訴え始めるのではないか】との文言を記事の中で盛り込んでいるが、このこと自体はまったく夢想的ではないと思う。確かにSONYとEpicは株がらみで関係性を強く持っている。これは大きなパイプだが、SONYがPSシリーズという結局のところApple Googleと同じような囲い込みのやり方を持っている以上、それが超えるべき壁となる恐れは常にある。金策でEpicストアが無料ゲームを配布しまくったり、NFTジャンルをはじめとしてゲームの販売規約を自由に変え、マージンの面でもSteamを運営するValveと対峙していることを見越すと、これも同じ構図だ。

続けて、Tim氏は次の段落にて「今、お前らくそったれどもは……(Right now, you assholes)」と強い口調で書き出した。“you assholes(くそったれども)”とはGabe氏らValve首脳陣やAppleも含めて対象とした言葉なのだろう。そこではAppleやValveのような“くそったれ”たちが、強いデベロッパーだけが有利な手数料条件を得られる状況を正当化していると主張。「なぜ小規模含めたすべてのデベロッパーに好条件を提示しないのか」と問い詰めた。なお、こうしたTim氏の熱弁に対して、Valve側のScott氏はGabe氏ら含むValve社内向けメールとして「おこってんの?(You mad bro?)」とシンプルなコメントを添えている。

Epic GamesのボスがValveのGabe氏らを「お前らくそったれども」と罵倒したメールが公開される。“ストア税”をめぐった激情 – AUTOMATONより引用

よーするに、問題の根幹は、公正な取引をどこまで線引きして認めるかということなんだよな。これを管轄するのが日本では公正取引委員会で、アメリカでは司法省と連邦取引委員会(FTC)になるわけだ。規制する法律は日本で独占禁止法と呼ばれ、アメリカでは反トラスト法と呼ばれる。国が違うので両者には当然差異があるが、もともと買い手が不利になるような、そんな市場を構築してしまうことがある悪い環境を規制する、という意では同じ制度設計なんだよね。