JETRO(日本貿易振興機構)、Steamで日本原産ゲームIPを売り込む | ゲヲログ2.0

JETRO(日本貿易振興機構)、Steamで日本原産ゲームIPを売り込む



記事の要約:JETRO(日本貿易振興機構)がGDCと協業してSteamで日本産のゲームを海外に売り込むハブとなる企画を行っている。金融庁が規制から育成にシフトしたことから端的に伺えるが、日本は経済・貿易の点で国際的無策ではないッ!よくネットなどで見受けられる自虐的な評論はそれこそ”お門違い”だ。

あたしが知ったのはついさっき。例によってゲムスパの記事からなんだけど、JETROがSteamプラットフォーム上で日本産のゲームのプロモーション企画を実施しているようなんだ。え?あのJETROが?って思うっしょ。当該Steamページを見ると、たしかに”JETRO(日本貿易振興機構)”の名前が踊っている。どうやらこの政府系機関が、音頭を取って、日本産ゲームの売り込みを世界規模のゲームプラットフォームSteamでしているようなんだよね。たしかにこの試みは面白いと思う。

JETROがGDC(Game Developers Conference)と手を組んで、しようとしている(また現にしている)この企画。実はJETROのHP上で公募がかかってたようなんだよね。ソースによれば、しっかりとした企画がされてて、面白いやり方やなと思う。詳しくは次の2ページを参照してほしい(ソースURL:https://www.jetro.go.jp/events/dna/d81322ac0435fd72.html,そのPDF募集要項URL:https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Events/dna/gdc2024bosyuyoko_2.pdf)。

これらの一次情報によれば、この企画に申し込みできる要件はけっこう複雑で、そんな簡単にはいかねぇんだな…とは思う。というのも、日本のゲームIP権利を持っている業者・特に中小企業優先で、かつ、英語で本格的に資料を持ち寄ってオンライン商談ができるぐらいの、体力のあるゲーム業者以外はこのJETROのプロモーション企画には参画できないようなんだよね。やはりJETROとしても、『日本産のゲームならばなんでもOK!』っていうわけにはいかないんだろう。

ハードルは高くて、個人の業者がJETROの求める水準、ここまでできるか?というと正直難しいと思うんだ。英語力も含め、JETROの企画アンケなどにフィードバックが出来ないと、無理っぽいし、公序良俗に反するコンテンツの業者はこの案件に採択されないって書いてあるね。つまり、18禁系のアダルトものや暴力性の強すぎるものに関しては、JETROとしても関わり合いを持ってはいけない…そういう名目が保たれているようなんだ。

ただ、今回JETROが重い腰を上げて、画期的なプロモーションをやっていこうとする、その行動に、日本のゲーム産業への望みや関連産業への投資・金銭のやり取りをはじめとする広域貿易的な望みは、やっぱあると思う。むしろこんなに早くCool Japan流のアプローチを、政府の機関が、Steamみたいな先駆的なエンターテインメントプラットフォームで行うことには多分な意味や意義があるよはずだ。その証拠にJETROは、ジェトロ招待バイヤー専用 オンラインカタログ“Japan Street”(説明ページURL:https://www.jetro.go.jp/services/japan_street/)という別の枠にこの企画の流れを起こそうとしているようなんだ。

“Japan Street”というのは、どうやら輸出強化の一環で世界市場に売って出ようとする国内産業業者のカタログを行うオンラインページみたいなもん。さらにこのカタログページは、「新規輸出1万者支援プログラム」というものを媒介する代表的なものなようであり、JETROが広域ハブになって、様々な日本原産IP商品の売り込みに尽力してくれるというものらしい。よーするに、『JETRO様がほとんど無料でハブになってやるから、君ら売り込む商品や資料を提出してくれれば、オンラインマッチングをしてやんべ』ということじゃな。

思うに簡単な企画だけど、その一環でゲームにも焦点のピントが合ったというわけなんだよな。まぁ前からゲヲログでも言っているようにゲーム・アニメ・マンガ(いわゆるMAG)というものは、互いにミックスして売り込まれるようなものであって、相互補助の作用を持つIPだから、売り込みにはうってつけ、というわけなんだろう。JETROがその商談を手厚くサポートしてくれる、というわけだ。さて、話をひとまずゲームの方に戻そうか。

Steamページによれば、参加企業43社による掲載ゲームタイトルが約100件あるそうな。その特設ページ内でセール(サムスピデートアライブなどが対象)やデモ版の配布(ヨハネクロステイルズなどが対象)も行われているようだ。これは、すでに上述したように、JETROによる国外への輸出・売り込みの序章に過ぎないわけだよね(それにしてはちょっとクセの強すぎるIPが多い気がしないでもないけど…笑)。

日本は国際的な場において、無策無策って言われることがなにかと多い。貿易はもとより経済面や外交面ですらな。そこには自虐的な意味合いも強いように感じてる。でもね、最近、金融庁が規制庁のほうから育成庁に大胆にシフトを敷いたり(この経緯はダイヤモンド・オンラインの記事に詳しい)、今回の件でもJETROがこういう施策をしてくれたりで、いろいろ政府や関連する公的機関もよくやってくれてると個人的には思うんだよね。規制より育成を。JETROの今回の試みもまた、その中にあるんだろうと思う。