野球を愛する人ならばきっと誰もが感じたことがあるだろう。
( ゚Д゚)<あれ、どう考えてもボール(orストライク)じゃね?
こういう微妙な球審の判断を助けるもしくは代替するために、導入が検討されているのが「ロボット球審」(英:Automated Ball-Strike System)だ。略称:ABSと呼ばれるこのシステムの導入に、野球の世界最高峰リーグMLBも賛成の意向を示している、という(CNET Japan)。その導入の理由は簡単だ。投球の結果、ボール/ストライク判定を正確かつ迅速にできるから。従来からの球審の判断は主観や直観に基づく齟齬を否定しきることはできない。MMsportsが伝える通りに、だ。MLBリーガー:ケブライアン・ヘイズはかつてこんな投稿をTwitterでしたことがあった。訳するのも面倒なので、要約すると…単純に「お願いだからABS導入してくれ」。
Some umpires really don’t care. 3-1 call not even close. I hold him accountable after the game walking off the field and his response is “🤷🏽♂️ I gave you a chance to hit a homerun” that tells me you don’t care at all. No accountability. Bring the ABS please @MLB pic.twitter.com/sgncakv8v8
— KeBryan Hayes (@KeBryanHayes) September 10, 2023
ゲームという観点からABSを見てみるとどうだろうか?あたしが思うに〈野球のゲーム〉ほど、ボール/ストライク判定が公正なものはない。こうしたスポーツゲームがある種、現実のスポーツ競技のシミュレーションであるのは当然のことだが、判定はすべてゲーム内に設定された厳密な規則に従って公正均等に行われる。当然、演出面での球審による判定要素はあってもいいだろうが、あくまで、”それはそれ・これはこれ”である。実はこのボール/ストライク判定は多くの人がそう感じているようにゲームの世界では、それこそ機械的に出来て、しかも前述したようなリアルのABSと同じく…むしろそれよりもより正確かつ迅速である。つまり、語弊を承知で言えば、”ゲームのほうが進んでいる”のだ。
だが、そうであっても人間の血の通っているスポーツがゲームの世界とまったく同等だとは思えないのもまた、事実である。例えば、テニスではビデオ・アシスタント・レフェリーのシステムの導入が主審の威厳を損ねる恐れがある、という意見があった。野球で同じ問題がないわけがないのだ。ABSがゲームの世界ヨロシク!な技術的なブツなだけで、ホンマのMLBに全面的に適用できるかどうかとは無関係かもしれない。旧来からの球審システムに批判的な監督であってその改革を強く望む監督であっても、実際の野球競技へのABS導入に諸手を挙げて全面同意しているものが多くいる現状があるわけでもない…これも並立する事実だ。ただし、ボール/ストライク判定は正確かつ迅速にするべきだ、というヘイズの意見と同じようにこの分野の機械化を進めることは、時代の要望・当然の流れのようにあたしには思える。
野球競技フリークがやるに過ぎないアマチュアなスポーツゲーム、しかもMLBの公認スタンプを押されて世へ販売されているゲームというシミュレーションのほうが、厳密に審判が下るのは本当に皮肉なことには違いない。また、それに一抹の悲しさを覚えないわけではない。だが、この問題は純粋な技術的な、二項分布・二項判断の問題なので、”ゲームのほうが進んでいる”という基準は正確なようにも思える。ひょっとして競技中、球審は寝ててもいいのかもしれない。この問題は正に〈マシン・ラーニング〉であるのだから。