伝説のフリーゲーム「魔壊屋姉妹。」は、ここ20年の間、なぜ傑作であり続けるのか? | ゲヲログ2.0

伝説のフリーゲーム「魔壊屋姉妹。」は、ここ20年の間、なぜ傑作であり続けるのか?



~画像:魔壊屋姉妹。 – Wikipediaより.(※作者higaによる著作権放棄済みコンテンツ)~

こんなこと今更書いて何言ってんだコイツって思われそうですが…まぁメモがてら書いてみます。

「オクトパストラベラーⅡ」は”バトルモダニスト”のゲーム

今日「オクトパストラベラーⅡ」をやっていて、ふと気が付いたんですよ。これって戦闘の√取りに様々な交絡要素を組み込んでるゲームじゃないですか。例えば、BPとか底力とか。こういう様々な、だが意図的なインシデントを多く組み込むことで、バトルシステムに可塑性をもたらしている。そしてその中で自由にコマンドを組み込み、それらのインシデントを制御することで、高い難易度のゲーム達成目標を現実的にクリアーできるようになっている。これって実は奇妙なことに感じられるけど、すごくモダンなバトルシステムのヤリクチですよね。さらに、行動順遅延攻撃などの要素もあり、バトルのスピードが、本来ターンベースバトルゲーなのにもかかわらず半手動半オートになっているという点も見逃せないです。

前座1:「オクトパストラベラーⅡ」はどこが凄い(現在系)のか?

「オクトパストラベラーⅡ」の場合だと、BPが貯まって底力が貯まっている状態で相手をブレイクさせることで、大ダメージのインフレーションが起きるっていうシステムじゃないですか。んでそのタイミングを先読みしてうまく推し量っていくわけですよね。この辺りスクエニのチームもやるじゃんって思うのよ(誰もがそう思うってるだろうけど)。BP・底力が上手く貯まるようにタイミングを推し量っていく&相手のブレイクシーンも考えて踏まえていくっていうことなんだけど、これ単純なように見えて、すごく刺さるシーンがあるとかなりの爽快感生みますよね。低レベルクリアー…なんてもう本質言っちゃいましたが、ヤリコミの要素も高いし、単純にRPGとして遊べる遊戯度も相当高い。いわばインシデンシャルジャストアタッキングゲームなわけだよね、「オクトパストラベラーⅡ」は。もちろん「オクトパストラベラーⅡ」はストーリーや2DHDのデザイン性も高い魅力がありますが、このバトルシステムの広義な演出方法がすごく顕著に優れているポイントだ、という面ではどのゲームの追随も許していない。すごく革命的なゲームだと思うのです(だからこそSteamでも「オクトパストラベラーⅡ」は”圧倒的に好評”をキープしている)。マジで7000円使って買うべきゲームに久々に出会いましたよ、っつのはみんなが思ってるところですよね!

前座2:「Star Renegades」はどこが凄かった(過去形)のか?

んで繰り返すように、「オクトパストラベラーⅡ」以前のゲームにもこのシステムのルーツを図ることって出来ると思うんですよ。もちろん正確無比にこのシステム・可塑性あるバトルシステムを備えたゲームの発端を捜索するってのはムズイです。ですが一定程度の目安として、挙げられるゲームに「Star Renegades」があるとあたしは感じています。この手の線形&非線形のバトルシステムの先達だと思うんですよね。「Star Renegades」…これね、バトルの行動順を最適化していくプロセスにいくつかの属性的な攻撃要素が絡んでいるゲームなんですよ。ここが「Star Renegades」のひっじょうに、おもろいとこなのです。敵を攻撃するじゃないですか。それで敵の行動をディレイさせていって、行動パターンを制御していくっていう特殊なローグライトで、この手のバトルシステムの先輩格だとあたしは感じておる次第です(もちろん初代「オクトパストラベラー」のほうが先だったかもしれんのでこの辺りの”先達”という意は詳細を調べる必要があるかも~これについては後述の通り)。つまり「Star Renegades」こいつもまた、「オクトパストラベラーⅡ」と同じように、『ゲーム速度の半オート制御』というバトルシステムのテーマ性を持っているわけだよね。

本論:「魔壊屋姉妹。」はなぜ傑作であり続ける(現在完了継続形)のか?

じゃあこういうアイデアが昔っからなかったのかっていうと”あった”と思うんですよ。そこで出てくる大先輩格のゲームがあるんです。それが、ツクーラーhigaによるRPGツクール製RPG「魔壊屋姉妹。」です。このゲームの特徴も、「オクトパストラベラー」シリーズや「Star Renegades」と同じように『ゲーム速度の半オート制御』というテーマ性を持っている。しかもランダム性というかなり奇妙なものを付加しているんだよね。行動パターンにむらのあるキャラが出てきて(”気分”をデジタル判断で解釈し、ランダムに行動パターンに制限がかかっていくシステムを採用)、バトルに可塑性をもたらしているわけじゃないですか。これぞ非線形というわけだよね。ニコニコ大百科から引用するけど…

コミカルなグラフィック、ほぼ一本道なマップに反し、気を抜くとザコ相手でもゲームオーバーになったりする事も珍しくない上、主人公の一人である宴馬の技が(気まぐれな性格ゆえか)使う度にコロコロ入れ替わる為技の管理に気を配る必要がある、更には通常戦闘での逃走コマンドが必ず成功したりボス戦を規定レベル以下でクリアする事によるボーナスアイテムといったあたかも低レベルでのプレイを推奨するかのような心配りがなされているなど難易度としては比較的マゾい部類に入るが、戦闘の戦略性そのものは非常に高く戦略の組み立て次第では低レベルのクリアも不可能ではなく、レベルさえ上げれば相対的に難易度が下がるようなバランスになっているので苦手な人でもクリアする事自体は可能。

魔壊屋姉妹。とは (マカイヤシマイとは) [単語記事] – ニコニコ大百科より引用.

というわけだよね。しかも、大百科にも記載がある通り、先駆的過ぎることに、”低レベルでクリアするとボーナスが出てくる”ってのもバトル内のシステムとバトル外のシステムを実に見事に融合させているんですよね…これってよくよく考えると「オクトパストラベラー」シリーズとか、「Star Renegades」とか、非線形バトルシステムを標榜する√取り多様なRPGゲームの先達だったのではないか、そういう提起があっていいのでは?というのがあたしなりの意見なんですよ。単に強い装備・武装を取得するだけでは飽き足らず、そのためにはゲーム的な困難を乗り越えなけりゃならない。これほど斬新すぎる、突拍子もないだけの思いつきではなくイデアルなアイデアに基づいたゲームが、2000年台から日本のツクール文化には根付いてたんですよね、驚くべきことに。世界でもすごく最先端のいく環境を作っちまってたわけよ。昔から、ゲームツールでACTゲームを多数作ってきたイキキにまで通じる、日本人だからこそできるゲーム制作、という論拠がここには確かに、存在論的にあったんだと思います。これを”過去のゲーム”として見逃してしまっていいのか?今でも通じる世界標準のゲームとしてリリースできなかったものか?日本風の惜しすぎるイノベーションだったわけだよね。もちろん、「オクトパストラベラーⅡ」同様ストーリーや登場人物も魅力的です。魔族たちの掛け合いもすごく魅力的だしキャラクターデザインもすごく魅力的。なんだけども、言っちゃえばそこは実は肝じゃないよね。あくまでバトルシステムの作り込み尽力に感心させられるものがある。誇張して言えば、「魔壊屋姉妹。」はバトル最適化の鬼たるIPであり、かつ、バトルのランダマイゼーションの鬼でもあるIPであったんだよね。

「魔壊屋姉妹。」が残した”ゲームをパターン認識的な方法で実装する”という業績

思うにこういうアイデアに基づいた、ダイスの目のように確率論をゲームにもたらすアイデアってのはすごく重要なことなわけだよ。繰り返すように、「魔壊屋姉妹。」は2006年の時点でこの達成目標をラクチンにクリアーしちゃってたんだ。今調べたけど、「Star Renegades」が2020年のリリースで「オクトパストラベラー」が2018年のリリース、さらに「オクトパストラベラーⅡ」が2023年のリリースですから、大体15~20年も前にこのことに作者のhigaは先駆的に気づいていたと思うんすよ。当時のRPGってのはドラクエ風の単純・一番シンプルなダイスクロールのTRPGだったわけで、ここにデジタルだからこそできる、デジタルゲーム・ビデオゲームなりの工夫・実装が事実必要とされていた。これを見事に2000年台の時点で解決しちゃったわけだよ、「魔壊屋姉妹。」は。確かにTRPGの奥深さをデジゲーに実装するってのは今でもさることながら当時は相当ムズカシイ技術力が求められてた。だが、それをツクールというデジタルの二項分布的な判断・いわばパターン認識的実装であっても、高い技術のマネジメントがあれば、そのダイスクロールの実装性を解決できちゃうんだ・実現できちゃうんだってことをhigaは示してたんだよね。2006年の時点でこれだけの配慮・工夫があったってのはホンマに驚くべきことですよ。単純な話ですが、だからこそ今更言わせてもらおう。


「魔壊屋姉妹。」は紛れもなくゲーム史に残る傑作なんだって。