「邪神ちゃん」、未来を創る。 | ゲヲログ2.0

「邪神ちゃん」、未来を創る。



記事の要約:ジャンルを超え、既存の多角的制作形態までをも超えている、DNA式の汎用性ある先駆的コンテンツ漫画作品、それがこの「邪神ちゃんドロップキック」である。

簡単なコメディ漫画ですけど、面白い。過激かつポップな残酷さを提示しているけど、素晴らしい出来です。何よりも絵が上手いです。漫画はもう評論され尽くしてますし、いいんじゃないかな…というわけで、ここではコンテンツとしての「邪神ちゃん」が優れている点を挙げていこうと思います。

まず、この手の漫画ないしアニメの『運営の優秀さ』というものは最近あまり目に見ません。本作三期はクラファンで追加作成され、さらには「千歳編」と題し、なんと世界でもあまり例を見ない”ふるさと納税”によるアニメの制作という画期的すぎるサクセスストーリーまで持っているそうです。率直に言って、これはすごい…単にコンテンツ、として優れているというよりかは、ある種の統治政治的にさえ優れているといったほうが正しいのではないかw

前、fameはノーツのゲームブランド「TYPE-MOON」を評し、このようにいいました…

今ここに三つの選択肢がある。

・財、サービス、コンテンツを売る。

・投機的ビジネスに走る。

・その双方を押さえる。

このうち「月姫」などの原案元である有限会社ノーツは”コンテンツを売る”方向を向き続けている。投機的ビジネスに走るというのは、子会社を多く持ったり買収したり、金融などの多角化に走ることだろう。ライザップはそうしているし、KADOKAWAはニコニコ動画やフロムソフトウェアを買い取って、ほぼ完全な持ち株会社になった。Appleのやり方を真似て孫正義はメディアアピールを巧みに駆使し、株価を釣り上げて投機で巨万の富を築いた。その”親玉”のいるソフトバンクもM&A戦略の一環でボストンダイナミクスをGoogleから買っている。将来性を見越して多くのスタートアップに投資・投機する方法だ。これらが二番目の”投機的ビジネスに走る”やり方だ。

ゲヲログ2.0より

コンテンツとしての「邪神ちゃん」はこれを凌ぐ勢いがあります。かいつまんで書くと、すさまじい勢いで追加追加制作される、いわばバブル式に膨らみ続けるコンテンツ・情報材として非常に興味深い示唆を我々に与えてくれているわけです。

確かに、はじめはユキヲ氏による漫画だったでしょう。それが、アニメ化され、ゲーム化され、YouTubeで部分部分の名シーン(迷シーン?)を無料配信するという明らかに意図した、それでいて未だかつて見ていないほどサービス精神が旺盛なコンテンツなんですね。繰り返すけど、”仕切られた市場”であるはずのアニメ産業でこう言ったことが可能なのは、なぜか?というとクラファンがベースになっている要因もあるし、ファン層が追加追加でコンテンツに継続的にアクセスするため、いわばブログで言う、リピーター率だとかPV/UU値の高止まりの影響の感覚に近いものがあるから、なわけです。

いくつもの財産形状で発現される、「邪神ちゃん」というコンテンツ。それらは優れているベースとなる漫画を”元手”に、新しいビジネスの形が種々の産業分野から提されているといっても過言じゃないっす。あまりにも『規則の汎用性(DNA)』が一貫しているんですよ。

サービスが無料化するのは必然という中、大手ITサービスの広告モデルすらあまり有効に作用しない現代の世で、採算を度外視できる形態をとっている。ファンも参加する”協創型コンテンツ”というジャンルをヒットさせた点でこそ本作は賞賛されるべきだとあたしは思っています。

他産業・金融分野で例えれば、なんでも今はテキスト器による考察がかなり盛んだそうですが、米国などではフィンテックの一因として育て上げられているテキストの器(うつわ)に”協創型サイト”というものがあるそうです。ちょーかいつまんで書くと、皆で参加してテキスト器を作ってルソーのような一般意思を抽出したうえで、クレンジングして、株価の予測に応用するという試みですね。それはまた、ここでもある種そうなわけwですが、その多角化といった産業展開をごく自然と膨らみ続ける想像上のコンテンツで実現しちゃってんですよ。

「邪神ちゃん」という漫画はこういった先見性・先駆性があり、応用コンテンツ上、極めて優れた消費形態をとっているといわざるを得ない。アマゾンは勃興当時、まったく成り立たないビジネスだと専門家の多くも見ていました。ですが、書籍の販売から多角化していった彼らの情報創出(ありていに言えばAWSが一番の好例でしょうけど)は大成功し、今では巨万の富を構築している…「邪神ちゃん」の場合もごく自然とファンのニーズにこたえるため、サービスは無料化されたうえで、多角化され、どんどん膨らみ続けている。それはアマゾンでの通販による漫画に留まらないわけです。それでは、結論から言っちまいましょう。

「邪神ちゃん」、未来を作る。

これだけでこのコンテンツの凄さは表せますが、途方もない膨張性こそが「邪神ちゃん」の肝ではないか。これがあたしのこの漫画発端の“全方向産業の向き方”を評して言える、ただひとつの表現なわけです、ハイ。