記事の要約:結論から言うと、新会社の人事や情報発信をつぶさに見る限り、関連各社の経緯を巡るガバナンス・内部統制の問題だと思われる。
ファミ通.comの記事によれば、ディライトワークスから「Fate/Grand Order」の開発・運営チームもとい同社ゲーム事業が、ラセングルに移管され独立、その上で、アニプレックスがその株式を100%買い子会社になった、と確かにある(ファミ通.com)。この複雑な社立経緯はなぜ起きたのか?というと…いわゆるそこには”大人の事情”に近いもんがあるようだ。
そもそも新会社ラセングルの代表取締役社長は元カプコンの小野Pが付くという人事になっとる。これには小野Pの力量故に期待されている面があるんだろう。もちろん小野Pが社長役員に就くことで、ファンとのコミュニケーションを密にはかる姿勢があるのは当然だと想定される。我々、Fater(笑)としてもそりゃわかることだし、そもそも新会社の命名は奈須きのこ氏によるものという面でも通じるところがある(上記ファミ通.comのリンク記事でもその確認が取れる)のは常識的に考えれば腑に落ちるところ。小野Pはe-Sportsなどはじめ企画立案でカプコンの顔といっても過言じゃない実績がある。これはWikipediaを見て彼の経歴を踏まえれば誰でもわかることだ(Wikipedia)。
小野Pの経歴を見ると一目瞭然。確かに、彼はカプコンでマーベルなど大ブランドとの渉外担当をしたり(カプコン)、e-Sports部門の事実上のトップ・顔の役割を担ってきた(YouTube)、経験と実績がある。新会社の社長として、超人気タイトル”FGOの中興”の職責を担うには最適…というわけだ。もっとも、ここまでカプコンの社内で偉くなってからいきなり離れて、まったくの無計画なわけないだろうから、大方の目途(輝かしい実績に値する将来のキャリア)はついてたんじゃないかなとあたしは思っておるし、カプコンのファンなどとしてもそういう見方が大勢だったと思う。間違いなく複数のお声はかかってたはず。そこから一番魅力ある社を選んだってことだろうな。
もともとディライトワークスのゲーム部門は評判が著しくなかった。その辺りは検索すればもうわんさかと出てくるし、わざわざここでその内容に踏むこむまでもない。だが、ちょっとだけふれておくと、検索に掛けただけでもこんなんが出てきた。
・「Fate/Grand Order」の運営としての問題ある姿勢
・セガとの共同タイトル「サクラ革命」の失敗
・噂されていた人事ガバナンスの問題
もちろん、ディライトワークスの努力も半端ないものがあっただろうが、”ゲーム”という事業はそれぐらいセンシティブな、接客業みたいな部門。ひとつ粗が出れば、それは顧客にとっては粗大ゴミに見えるし、内部統制の問題とみられてもしかたがない。この業界では、ひとつの失敗は100倍になって悪名になりうる一方で、ひとつの良いユーザ経験・厚遇はどう誇張しても等倍ぐらいの貢献にしか見られない。ディライトワークスはその面でネガティブさをファンに与えちゃったんだろうな…お疲れ様懸命に働いてくれてありがとう・これからも新規タイトル期待してるよ、なんであれ数十万課金しまくった友達も周りに多くいるし、あたし個人としてもそう声をかけたい。
それらの事情に加えて重要なのは、上文でもふれた、奈須氏の助力だろう。もともと新会社の社名”ラセングル”という名は奈須氏がつけたものらしいし、小野Pも公式でそれを認め歓迎している(ラセングル)。この辺りはファン重視という意味合いで小野Pのキャリアともガッチリとマッチングしていて、その傾向は奈須氏とも似通っている面があるのは、経営の素人でも、ごく自然とわかること。
奈須氏はこう小野Pの書いた記事に寄せたメッセージで、FGOの行く末を見守っている。
”これまでのFGO”をありがとう。
第6回 ラセングル始動にあたって | 小野義徳の『社長の机』 | 株式会社ラセングルより引用
”これからのFGO”も、どうぞよろしくお願いします。
結論から言ってしまえば、社の経緯を巡るガバナンスの問題だったのだろうな…
そう単純に考えるのが妥当じゃないだろうか。