【枯れた技術の】クレイトン・クリステンセンが見過した〈イノベーションの実務的盲点〉【水平思考】 | ゲヲログ2.0

【枯れた技術の】クレイトン・クリステンセンが見過した〈イノベーションの実務的盲点〉【水平思考】



ジョセフ・シュンペーターかく語りき

かつて、イノベーション論の祖として有名なジョセフ・シュンペーターはイノベーションを5つの種類に分類した。では、ゲヲログの提唱する新しい株式投資の方法によるイノベーションがあるとするならばそれはどのようなものだろうか?

①プロダクト・イノベーション…新製品によるイノベーションのことを言う。

②プロセス・イノベーション…製品の生産工程を改善することによるイノベーションのことを言う。

③マーケット・イノベーション…新しい販路開拓によるイノベーションのことを言う。

④サプライチェーン・イノベーション…原料・資源などの供給源を改善することによるイノベーションのことを言う。

⑤オーガニゼーション・イノベーション…組織改革によるイノベーションのことを言う。

では、このシュンペーターのイノベーション5分類に沿って、ゲヲログのイノベーションの在り方を探ってみよう。ゲヲログは、決して①新製品を生み出したり②その製造プロセスに改善によって顧客の満足度をより高めようとしたりしているわけではない。また、明らかに③販路拡大のための改善をしているわけでもなければ、原材料とは無縁の”虚業”に近い分野に該当するため④もあり得ない。しいて言えば、⑤投資環境のための組織改革をしようとしている、と捉える方が自然である。

ゲヲログはシュンペーターによるイノベーション分類のどこに分類されるか?

ゲヲログはAppleのようにiPodやiPhoneを作ってるわけではない。よって①プロダクト・イノベーションには該当しない。ゲヲログは生成製品の生産方式を革新しているわけではない。よって②プロセス・イノベーションには該当しない。ゲヲログは既存の株式で金融利潤を確保しようとしているだけである。よって③マーケット・イノベーションには該当しない。原料などの獲得資源のソースをイノベートしているかというとそうではない。ゲヲログの、株式という”原材料”に対するスタンスは旧来の投資手法からひとつとして変わっていない。よって④サプライチェーン・イノベーションには該当しない。ゲヲログは組織をイノベートする、⑤この項に該当する。ゲヲログは株式投資のための組織改革を確かに行っている。投資環境にまつわるイノベートを提起し、これを目標として、迅速に動こうとしている。…ゲヲログがイノベートしようとしているフィンテックの手法は⑤オーガニゼーション・イノベーションに分類されることがわかる。

クレイトン・クリステンセンかく語りき

では、経営学におけるイノベーションのもう一つの祖であるクレイトン・クリステンセンによる分類においては、ゲヲログの提唱する新しい株式投資の方法はどう分類・判断されるだろうか?クリステンセンはイノベーションを二つに分類した。

①持続的イノベーション…既存の製品の性能を高めるイノベーションのことを言う。

②破壊的イノベーション…新たなテクノロジーを駆使することで既存のマーケットを破壊するかのごとく振舞うイノベーションのことを言う。

クリステンセンは、既存の優良企業が①持続的イノベーションにこだわるあまり、新しい視点を忘れてしまい、②破壊的イノベーションに直面した時、市場優位性を失ってしまう現象を世界で初めて指摘した。これを「イノベーションのジレンマ」という。では、ゲヲログが志向するイノベーションはクリステンセンの提唱したイノベーションの種類のどちらに分類されるのだろうか?おそらくは①持続的イノベーションと②破壊的イノベーション、そのハイブリッドである、と判断するのが妥当だろう。

ゲヲログは「イノベーションのジレンマ」モデルに該当するか?

例えば、ゲヲログは既存の金融技術をあくまで用いているわけであって(つまり①持続的イノベーションに該当する)、まったく新しい着眼点からフィンテックを開拓しているわけではない(つまり純粋な②破壊的イノベーションには分類できない)。だが、一方でスモールデータ=小さめのデータセットを用いた機械学習をテーマにして、フィンテックを開拓した方法を提唱している企業は現在少ない〈その検証のための追記必須〉。純粋に②破壊的イノベーションに分類されるわけではないが、既存技術を上手く扱い、新しい観点からイノベーションに関わろうとしている、というのが妥当な判断である。繰り返すが、ゲヲログは①持続的イノベーション寄りの②破壊的イノベーションとの交絡的分類に該当するとしたほうが良い点を突いている。そうした観点から言うと、このクリステンセンの「イノベーションのジレンマ」理論に依るよりかは、単なる企業実務の問題と捉えるほうがずっと妥当である。

横井軍平の思想「枯れた技術の水平思考」が呈する〈イノベーションの実務的盲点〉

この点で忘れられないのが、任天堂の技術者であった横井軍平による独自のイノベーションの概念である。横井は「枯れた技術の水平思考」という概念を提唱し、ゲーム機開発を進め、ゲームボーイという画期的な商品を作り上げた〈どこが画期的だったのか?追記必須〉。横井の提唱するこの概念は”既存の技術でも新しい観点から新製品を構成すればイノベーティブなものを発明することが出来る”ということを表している。横井が提唱したのは、いわば、クリステンセンの盲点を突いた①持続的イノベーションと②破壊的イノベーションのハイブリッドであり、まさにゲヲログの提唱するフィンテックのモデルに極めて近い。そういう意味で、クリステンセン流のイノベーション・モデルに依らず、独自の経営判断に基づく、経営実務の問題としてこの議題をとらえる方が大筋で妥当である。その意で現代の複雑化したイノベーティブ環境においては、クリステンセンのイノベーション・モデルに明確に適合できない実務的ケースもまた多い。横井の提唱した概念「枯れた技術の水平思考」に忠実に従った結果生まれたアイデア、と判断するケース…ゲヲログがまさにそれに該当するわけだが…も現代では多い。そうした非境界な側面があることを、経営者・経営学者・イノベーション経済学を専攻する各々は忘れてはいけない(ことをゲヲログは提唱したい)。

※本記事は研究目的に使うため、コピーレフト方針の除外対象になります。