かつての債券王ビル・グロース、”妙味”がついてきた債券市場を語る | ゲヲログ2.0

かつての債券王ビル・グロース、”妙味”がついてきた債券市場を語る



債券王ビル・グロース
常勝の投資哲学

実はあたしもビル・グロースとおんなじ意見なんだよね。本書が解くように『なぜ投資・投機家が債券そのものの運用メリットを重視しないのかがわからない』という常識的な問いかけは、昨今の国家金融の世の中において重要なメメントになると思う。書はその点で時代が巡っても、いまだなお鮮明で画期的だ(特に個人投機家にとっては)。

例えば、金利、と言っても明らかにそのメカニズムよりもその影響下における株価やオプションデリヴァティブに力点が置かれていて、【債券(国債)そのものの投機的利用】は今まで…グロースが世界に降臨するまではなかった。否、なかったどころか、今現段階においてもほぼほぼない。現に今、債券価格を調べようとしても、あまりにか細い統計しか出回っておらず、債券そのものを取引するという”含み”が市場関係者には皆無であるといっても過言じゃない。これは一体なぜなんだろうか?

金利が下がれば、相対的に、債券価格は上がる。つまり、単純に関係性を紐解けばこうだ。小学生でも幼稚園生でもわかるように、不景気になれば、カネの巡りを良くするため、各国中央銀行は金利を下げることになるわけよね。不景気になった段、市場から(安全・安定性を加味して)債券に逃げたカネが債券価格(債券需給の均衡点)を押し上げれば、その需給の度合いによって金利は変動する。つまり、不景気になればカネ巡りを良くするために各国中央銀行は金利は下げざるを得ないし、不景気になれば国債をはじめとする債券の需要が高まるため、その債券自体の価格は上がることになる。だから、特に金融市場が好景気に沸いている中で下げ止まった債券価格を持ち続け、不景気が本格的に臨まれれば市場に供給された債券の取り合いが始まるためその価格が上昇したときに売却すれば良いのだ。

GoogleやMSがレイオフに入ったのは、何も偶然ではない。今後、不景気がガチでやってくるからだ。だからスリムアップしておいて、不景気に備えカネを貯めておく。貯めたカネを大胆に活用し、景気の上澄みを更新し続ける。その兆候がレイオフとして敢行されている、それが今なのだ。御年78になり、既にピムコ投機会社から隠遁している、かつての債券王ビル・グロースはブルームバーグのインタビューにてこう語っている(ほぼほぼ言っていることはあたしが上述したことと同じだと思う)。

かつて債券王と呼ばれたグロース氏(78)は、「インフレは現時点で、米金融当局にとって唯一の焦点に見えるものの、経済成長と金融安定も近く同等に扱われる可能性がある」と分析。「レバレッジのかつてないほどの高まりが問題の原因だ。米国や他国の経済はさらに多くの利上げに耐えることはできない」と説明した。

ビル・グロース氏、PIMCOの債券強気派と一致-利回りはピーク – Bloomberg

グロース自身、債券に毛嫌いしたからこそ、今は隠遁したのだろうけど、彼が言うように『債券に”妙味”がついてきている』という指摘は時代がひとめぐりして妥当だとあたしは思う。時代が変わっても投資・投機の基本は変わらないはずだ。

各国の金利上昇はひとまずは出口戦略であり、インフレ対抗の措置だし、一時の引き締めに他ならない。リセッションがやってくれば、中央銀行は金利を下げざるを得ない。その一介・末端が為替取引なのかもしれないし、金取引かもなのかもしれない。だが、グロースもいうように、”妙味”がついてきているのは、明らかに債券市場だとあたしは思う。たしかに、債券はゴミだ。だがその真価は未だ見て取れやしない”不思議なチョコレートボックス”なのだ。

※画像:Amazonより.