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ファインマンに学ぶ人間の生きる意味について | ゲヲログ2.0

ファインマンに学ぶ人間の生きる意味について

今回は路線を外して、ちょっとファインマン(Richard Feynman)の逸話を紹介しましょう。いろいろと事件が続いたので、落ち込んでいる人もいると思いますが、こういう時だからこそ、人間の生きる意味を考えてみよう。

ファインマンは数度人生において結婚したけれども、数回離婚している。二回目に愛した妻、メアリーさんは考古学の専門で、物理学専門のファインマンとはうまくいかなかった。数回結婚したけど、やはりうまくいかず離婚しました。ファインマンの奥さんは最終的にはグウェネスさんだったけど、アーラインさんの思い出も実著であげています。これはそんなファインマンとアーラインの物語です。

ファインマンはロスアラモス研究所で働いていたとき、このアーラインさんを病気で亡くしています。彼はアーラインが死んだとき、すぐに研究所に戻って、同僚の問いかけにこう返したそうです。「妻は死んだ」とだけ。その後ファインマンは原爆製造の仕事にすぐ戻るわけです。なぜファインマンほどの人格者が妻を亡くした直後すぐに人殺しの道具を作ろうとしたんだろうか?

ファインマンはアーラインを亡くした時まったく泣けてこなかった。ただ、そこにアーラインが死んだときとまったく同じときにそばにあった時計が同じ時刻で”止まっていた”んです。ファインマンはその後アーラインはどういう存在でそれに原爆がどういう相対する問題を抱えるか悩み苦しみ鬱になります。広島や長崎に落ちた爆弾は間違いなくファインマンの多大な貢献があったからこそです。ファインマンはもし原爆がマンハッタンに落ちたらと想像し、それに恐怖する。すべてのビルは壊れ人は多く死ぬ。地獄図です。

ファインマンがアーラインのことでふと思い出されたのは彼がその辺のウィンドウモールで服が飾られていたときだったそうです。あれを見て、「アーラインの好きそうな似合いそうな服だな」と思った。ここで決定的に自分のした過ちを認めた。それは一生かけても償いきれず、しかも追及者も全くいない”穢れなき”罪です。そして決定的に泣けてきたのはその辺の原っぱを歩いていたとき、なぜか、ふと泣けてきた。「アーラインが死んだ…いずれみな死ぬのになんでむなしいことばかりするんだろう」

でも、彼は後々になって述懐しています。みんなビルを建て橋を架け道を切り開く意味があってこそ進歩性だということをファインマンは自分の中で証明する。そのときファインマンのような人物が原爆を作ったこともすべて受け入れられた。人間の生きる意味や生きる輝きをファインマンはこのときに見つけたそうです。確かにアームストロングは月に行って偉大な一歩を踏み出したでしょう。ただし、地球にいたファインマンは実直で素直でユーモアあふれる人だった、日本が好きで愛していた。特に京都の町並みの美しさに胸打たれた。日本人は彼のことを歓迎して、アメリカでもそうだったように、日本でも彼は愛された。そういう人が生きる意味を見つけ、確かに生命の輝きを目にしたんです。宇宙に行ってアームストロングが踏み出した偉大な一歩よりも、実は地球にいるファインマンのほうがずっと賢明で偉大なことを感じれたんです。

たしかにこれは主観論で客観性なき問題だから感情論といわれればそれまでです。ですが、今になってこそほら吹きで嘘つきである人格者のファインマンの真の実話に迫れたといっていいでしょう。私はたしかにどんな人生であっても生きてほしいという権利を見た気がします。そういう中でファインマンの感じたことは、人間の生きる輝きであるような気がしてならないわけです。

ファインマンの人生最後の言葉は「生まれ変わりなんて信じたくないよ、もう一度人間に生まれるなんて面倒だからね」というものだったそうですが、それは真意ではなかったと私は思います。ウィトゲンシュタインは「素晴らしい人生だったと伝えてくれ」と最後に言った。ラッセルは「もし生まれ変わりがあるとすれば、苦しくても人間にもう一度生まれたい」と最後に言った。ファインマンもまた、ウィトやラッセルと同じようにそうありたかったはずだと、私は思います。

ワシントンに行くと、季節外れの桜並木が通りを彩っているのを私達はテレビでよく見ます。ただ、ワシントンの桜の花びらはぶ厚く、日本のそれと比べるとまるで比較にならないほど儚さは感じられず、はっきりいって汚い(笑)。だが、アメリカの桜はそれでこそアメリカの桜なのだと、納得がいく。「それがアメリカの桜なのだからそれでいいのだ」と。「日本の桜とは違うけれども、それがアメリカの桜の個性なのだ」と。戦前に送られた桜並木をアメリカ人もまた自国の領土として立派に守った。ファインマンが人生をかけて守るべき美しさに対するこころがあったよう、ワシントンの桜は日本とアメリカとの絆だったわけですね。