漫画家がゲーム作りに奔走するようになることを最近よくよく見かけます。例えば、真島ヒロがゲーム制作の様子をつべで公開してたり、ご自身の大人気漫画である「FAIRY TAIL」のゲーム化案を募ったり、萩原一至(伝説の漫画家・冨樫義博と「セーラームーン」で知られる武内直子の結婚に至るまでの互いの紹介人として知られる)がSteamで独立系のインディーゲームブランドからゲームリリースしたり、あるいは漫画家のアシがゲーム制作会社にフリーから転籍するということがまま業界で見られたりと、かなり具体的な事例がありそうです。思えば漫画家ってのはゲーム制作に親和性が高いんだと思うんですよ。
これは当然のことなんですが、漫画描きが漫画家として成功するのは当然めっちゃくちゃムズカシイはずで、どっちかというとゲーム制作に向いている・特にプランナーに向いているというのはあながち間違っている論理ではない気がします。漫画は統合的なエンターテインメントで、複雑怪奇な世界だと思うのです。例えば、絵が上手いだけではだめで、話の作り方が上手いとか登場人物の描きかたが、作画のレベルだけでなくすべての面で魅力的ではなければならない。例えば、「侵略!イカ娘」で有名な安部真弘は絵が上手かったがハナシづくりが下手だったことで有名ですが、後「侵略!イカ娘」という漫画作品が任天堂の「スプラトゥーン」とコラボしたのは偶然ではないとあたしは思います。部分部分コンテンツとして魅力だったからこそ、応用性も利いたというわけです。一方、漫画家になるにはすべてのピースを当てはめていかねばならずしかもそれらが統合的に小説のように話をごくごく高度に構成してなければならない。これではムズカシイ。小説家になろうと夢を志すようなものです。
逆にゲームではどうか?最近は開発環境、特にPGの敷居がUEやUnityで下がっているということもあり、新規参入は比較的しやすい分野です。原資を元にして技術者を雇ってもいいし、有志を募ってゲーム制作に高じてもいいと思うのです。加えて今は生成系AIの時代なので、今後はAIがいくつかのゲームシステムを自動的に生成してくる時代がそう遠くない未来に来るでしょう。あるいは「Multimedia Fusion」や「GameMaker」のようなゲームの制作専用ツールを使っても良いかもしれない。RPGだったら「RPGツクール」を使えばよいし、もっと簡単なアルゴリズムで構成されているゲームジャンルのSTGなんかは「SHMUP Creator」を使っちまえば良い。そして、このクリエイターの在り方が再考されるその時求められるのは、ゲームの主戦場であるプランニングに長けた、漫画家的なマネジメンターの存在だと思うのです。特段、デザイン面では活躍できるでしょう。絵が得意なので。それ+αを漫画家として・クリエイターとして持っていればこのゲーム制作に通じる潮流は、本職である漫画屋とは矛盾あるものではないはずなのです。
漫画家として成功するには、その雑誌でナンバーワンを取らなければやってはいけない。これではチャンスが限られているというのは誰がどう見ても当たり前のことですよね。だけれども、ゲームで成功するには、スマッシュヒットするIPを作れれば良い。AAA級のゲームができる可能性すらある。少なくとも可能性は漫画家一本でやっていく以上の賭けのリーチ・ポテンシャルはずっと高い。例えば、マーベルに代表されるアメコミなどはその典型例ですよね。スパイダーマンやヒーロもので有名なアメコミがそうであるように、漫画から始まりデジタルゲームにIP転生させることができるわけですから。あくまで、この数値はあたしの推測に過ぎませぬが、今や世界一のコンテンツァーであるディズニーに買収されたマーベルブランドは、ゲーム参入することで、その利益を数百倍に増幅させることができたことでしょう。配信だけじゃなくて自社株まで”世界一のネズミ”相手に売り込めた。否、数百倍じゃとてもとても済まないほどの額が舞い込んだんじゃないですかね…。ここまで来ると、漫画☞ゲーム☞総合エンタメ☞金融というスキームが出来てしまうわけですね。