【連載:クマでも読めるブックレビュー】「メタバース進化論」バーチャル美少女ねむ~下駄はかせることなくメタバース分野に挑んだ書 | ゲヲログ2.0

【連載:クマでも読めるブックレビュー】「メタバース進化論」バーチャル美少女ねむ~下駄はかせることなくメタバース分野に挑んだ書



書店に並んでたので…本書が新規性を提示できてるのは間違いなく事実です。内容を追いながら、なぜ本書にメタバースを論ずる新規性があるのか?という理由について書いてみる。

ねむ氏の来歴・書き出しの秀逸さ

ねむ氏は個人系のVTuberであり、この分野のパイオニアとのことです。序盤でそこらが解説されてますので、ねむ氏の来歴・なぜそう相成なったのか?ということを知りたいのであれば、まず必携の本だと思います。そして冒頭にコインチェック事件の追跡者に個人インタビューすることに成功したとあります。その事件性の解説については別所に譲りますが、冒頭から書き方がジャーナリスティックな風味を帯びており、それなり納得いく内容になってます。よーするに、事実に照らし合わせて書いておられなので誇張とかそういった表現が皆無。あくまでものごとの事実性に加え、若干書き方にジャーナリスティックな工夫をされておられなので、説得力があります。また、提示されている事実も暗号資産の世界においては歴史的な出来事を紹介しているはずです。いわば、STAP細胞事件で一躍有名になった匿名告発者である”11次元”にインタビューを試みるようなものの、ちょうど暗号資産版のようなものになっており、本書でしか世間では明らかになっていないことが書かれているのでしょう。ものごとの書き出しというのは、研究・創作どちらにおいてもかなり重要で、読み手にどこまでその中身を魅力的に提示できるかという、本としての根源的問題でもある。この点、本書は読者に飽きさせない工夫があり、その書き出しの完成度がすごく高いです。冒頭から読者を引きずり込む勢いがあります。あたし自身はFBをあまり高く評価していないので、FB⇛Metaへの転換についてはそれほど興味はそそられませんでしたが。

メタバースとは何か?

そして第一章が始まるのですが、まず、「メタバース」とは何かという基礎的な説明と勘違いへの丁寧な説明が書かれています。「メタバース」という言葉に潜む曖昧さに一石を投じている出来です。解説は初心者向けだけど、それでいいと思います。よく勘違いしやすいのはメタバース自身はオンラインゲームのことでもなければVRのことでもNFTのことでもないし、なんらかの明確な定義が為されている具現的なものではないという事実かもしれません。一言でいうならば『自分というからだの感覚にとって代わって抽象的な世界で生活圏が構成できるその世界』ということかもしれませんが、Wikipediaには具体的に載ってました。ま、さらに簡単に言い表すのであれば、人がかかわる現実とは異なる仮想空間への写像のようなものの現れ、といったところでしょうか…