アメリカで実際に起きた銃乱射事件のノンフィクションゲーム「The Final Exam」が被害者の遺族の手によってリリースされたという. このノンフィクションゲームは公式ウェブサイトからDLできる(関連リンク). 公式ウェブサイトのゲームパッケージをかたどった画像から推察するにSteamでもリリースされるのではないか. このゲームについては和文の主要ゲームニュースサイトのうち4Gamer.net(関連リンク)とdoope!(関連リンク)が詳細にわたって伝えている. ゲームニュースサイト以外ではギズモード・ジャパンが伝えている(関連リンク).
ゲームでは学校で起きた銃犯罪の現場から10分の間で安全な場に身を移すことが求められる. プレイヤーは銃犯罪の現場となった学校で隠された資料~銃規制法案の資料~を収集し短い時間で犯人から逃げ遅れないようにする. 本作は実際にアメリカで起きたマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件をテーマにしている. Wikipediaによればアサルトライフルが使われた同事件~米国史上最悪の銃乱射事件のうちのひとつ~では17人の死者が出たという(関連リンク).
なぜこのようなゲームが作られたのか. 銃規制の問題に消極的な政治家に抗議する目的があるのだという. 特にアサルトウェポン(英語:Assault Weapon)という対人殺傷用の銃~半自動式ライフル銃などの殺傷力の高い銃~やハイキャパシティマガジン~装填量の多い弾倉~が事件の被害状況をより凄惨なものにしているとしてこの規制実現のために作られたゲームであることも明らかになっている. そのほか身辺調査の義務付けや購入制限年齢の引き上げなども求めているようだ.
同事件の遺族であるホアキン・オリバーさんの両親が手掛けたゲーム. ウェブサイトを見る限り共和党の右派~ドナルド・トランプやテッド・クルーズ等~に属する人物名を中心としたユーザ名宛付で銃規制を訴えるべくしてされる定型ツイートの拡散も推奨しているようだ. 4Gamer.netが伝えるようにオリバーさんの両親はこの件にまつわる寄付~銃規制のための圧力を実行に移すための寄付~も募っている.
実際に起きた犯罪のノンフィクションゲームをリリースする…というのは日本では倫理的にも条件的にも考えられない. だが他方アメリカでは実際の兵士のリクルートのためにFPSタイトルが合衆国陸軍の手によって作られたこともありゲームで社会問題や政治問題に対して深刻になって訴えかけるそのハードルは高くないのだろう. それが不謹慎と評されることが容易に推察できる日本ほどではないようだ. これもまたゲーミフィケーションの実例のうちの一つ,と言っていいのかねぇ…