去る2024年8月16日、東洋経済オンラインにひとつの記事が掲載された。記事のタイトルは「ゲーム感覚で仕事を楽しめる人が成果を出す理屈」とあり、副題に「「もっとやりたい」と脳が自然にやる気を起こす」とある。独立してクリニックを営む、脳神経外科医の菅原道仁医師による記事らしい。読んでみると、面白いことが書いてある。
記事の一ページ目では、ドーパミンがゲーミフィケーションと強く結びついていることが書かれている。なんでも、仕事はゲーム感覚で行えば…もっと言うとゲーミフィケーションの感覚で行えば、より効率よく回すことができる、というのだ。この習慣づけ・サイクルの導入がドーパミン(脳が心地よいと感じるために出す神経伝達物質)と強く結びついている…そう菅原医師は言う。
次いで二ページ目にはリップル社(暗号通貨のほうの会社ではなくスペル違いの別会社みたいです)CEO:ダニエル・デボウ(Daniel Debow:Rypple社CEO)によるゲーミフィケーションの定義・言説を引じて、これ(ゲーミフィケーション)を解説している。デボウが曰くところによれば、ゲーミフィケーションとは”仕事を不真面目”に”ふざけて楽しむ”ことではない、という。”人の本性に訴求するその人を動かすための仕組みのことなのだ”という。
菅原医師は次いで、節電を楽しむというゲーミフィケーション的行為をTwitter(現X)で楽しんだ人の事例を引き合いに出している。東日本大震災後、節電が呼びかけられた時期に呼びかけられたTwitter上のキャンペーン#denkimeterという”アナログ”な節電ゲームを例にとっている。”節電戦闘力”(DBかよw)を競い合うゲーミフィケーションの成功事例だ、というのだ。脳科学的に見てもゲーミフィケーションがドーパミンと強く結びついているということは証明済みだと菅原医師は言う。
三ページ目では、米国の著名なゲームデザイナー:ジェーン・マクゴニガル(Jane McGonigal:ペンシルベニア州フィラデルフィア出身のゲームデザイナーでゲーム研究者でもある人物)によるTEDでのカンファレンススピーチの言説が伝えられている。ちょっと複雑なのではしょるけど、”楽観的な構造的・生産的意味づけ”が重要だ、ということらしい。物事をストーリーとしてとらえ、ゲーム的にビジョンをうちたてる…これが仕事をやるうえでも成果を保つコツだというのだ。四ページ目はちょっと蛇足っぽいのでさらに端折っておく…
総じて、”深み”はないもののゲーミフィケーションと仕事を巡る、興味深い記事にまとまっている。東洋経済らしい、斬新な観点から掲載されている記事だ。特に、ドーパミンとゲーミフィケーションとの関係性を紐解くうえで有力な脳神経外科医が書いた記事として、貴重なものだとあたしは感じた。菅原医師が言うように、”続ける”ためには”楽しむ”ことが必要である。”学ぶ”ためには”楽しむ”ことが重要なのだ、と。脳神経外科医は、常に未来の医学の形を見ている。
※クリニックのHPによれば菅原医師の専門は緊急脳疾患(救急医)だという
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