第六章からです。ズバリ言うと、ストーリーの種別ですね。ゲームのインタラクティブさがどうストーリー構成に影響するのか?という点が書いてあり、図解の形で解説されます。どこまでをプレイヤーに委ねるか?という一言でいえば、いわば俯瞰図ですね。それを元に類型分類しており、それぞれの特徴を解説しています。例えば、一本道しかないストーリー・分岐するストーリー・プレイヤーよってそれが委ねられる完全分岐型ストーリーなどといったように、いくつかの場合分けがされていて、それぞれに分類される事例も挙げているのでわかりやすいです。第十三章までこの解説がくどいほど書かれています。
第十三章「プレイヤー」が主導するストーリーをオススメしない理由
これは第十四章からですね。より緻密に設計するため、ユーザニーズの把握は重要です。これぞ統計という点です。というのも、円グラフなどのエクセルライクの形で統計情報が解説されるので、わかりやすく、ユーザニーズの把握に努めることができる。好きなゲームジャンル/ストーリーフォーマット/何を重視してゲームを求めるかという基礎統計から始まっているので、統計のアヤにとらわれることなく、傾向分析が自前でできる、というわけです。そうしていって第十五章のエンドまで落ち着きをもってして、一歩引いて俯瞰する形で本の幕は閉じます。
…というように全体のかたちが型取りされています。
あたしはゲームクリエイターではないので、ぶっちゃけて言えば、作り手の側面・その点ではまったく参考にはなりませんね。ただし、レポートとかそういう類の書き物を考えるうえであったとしても、ストーリーの描き方の大局図を思考に盛り込むにあたっては大変有益な本だと思います。本書、決してゲームクリエイター向けだけの専門書ではなく、汎用性ある、ゲームの客観的俯瞰図を呈してくれるという点で、ゲームジャーナリストなどのゲームに関わる周辺領域の職種の方々にぜひ手に取ってもらいたい一書になっている。やはり、論述にはフォーマットはあっても、これといった妥当な答案はひとつではないのですから…。