ゲーム開発者はどこまで配信を許可すればよいのか? | ゲヲログ2.0

ゲーム開発者はどこまで配信を許可すればよいのか?



記事の要約:ネタバレ/スポイラー含む”ゲーム配信時代”が到来した今、それを超える魅力あるコンテンツ性持つタイトルを世に出すのは極めて難しい。RPG「OMORI」はそれを達成したが、VN「月姫」リメイクバージョンでさえそれは達成できなかった。

ゆえに今後、VNの分野でそれ(『”ゲーム配信時代”を踏まえたより魅力あるエンターテインメントコンテンツ』)を達成するタイトルが現れたならば、それは画期的なイノベーションを達成したタイトルになるだろう。ただし、そのために突破すべき壁はとてつもなく厚いといわざるを得ない。

これねぇ…とってつもなく難しいんですよ。こういうゲーム作るのは。

というのもね、理論的な背景もある。アメリカではなおのことなんだけど、法的にゲームって配信して活用していいっていうユースの原則があって、チョー端折って言うと、あちらではオリジナリティをいくつか加えれば、著作を自由に活用していいってことなんすよ。だからNDAすなわち秘密保持契約ってのがおざなりになってるんすよ。もちろん、契約上はダメなんだけど、結局秘密保持契約ってのはユースの原則によれば、それを克服できる法的な条項ってあるんですよ。日本は二次創作先進国なのに、この辺りが遅れている。であるからして、漫画家の赤松先生とかが政界出てきたのはフツーに我々にとっては(ぶっちゃけたハナシ)いいことだと思うんですよ。

我々はゲームの配信時代に生きているデジタルネイティブなオタクなわけで、NDAだろうがなんだろうが、無視してやってるじゃないっすか。例えば「月姫」リメイク版、こちらは実況プレイ禁止ってなってんじゃん?じゃあなんで、「OMORI」では実況プレイ禁止にしないのかっていう問題は当然のように提起できる問題であって、ゲームの開発者としては双方とも(「月姫」と「OMORI」)に大打撃じゃないっすか。でもね、ちょっと考えてほしい。VN(ヴィジュアルノベル)だとこれ打撃度が半端ないんだよね…だって読ませるのがすべてで、そこを公開されると売り上げに影響するのは当たり前なわけっすよ。

それに対して、「OMORI」はよく考えて作られているよね。RPGゆえのロールプレイの意味合いにしっかりと理解を示せている。よーするに、「OMORI」はネタバレがあってもやりたいゲームなんだけど、「月姫」はネタバレがあってはそもそもいけないゲームなんですよ。「OMORI」の場合ネタバレがあってもスポイラーがあっても、それでもなおやりたいぐらい『魅力あるゲーム』という限界突破したゲーム・総合的コンテンツになっている。ゲームのエンドには直接影響しないものの、ストーリーすべてを知りたいのであれば全部集めておきたいブラックキー・戦闘システムや魅力的なストーリー、それをプレイしているから味わえる演出も含め…それらRPGの特性を十二分に理解しているからこそ、達成できた傑作なんですよね「OMORI」は。

既に書いたようにこれはRPGゆえの工夫ができるわけであって、これをVNで同じようにできるようにしろ!って「月姫」(をはじめとするVNゲーム)に言うのはゲームジャンルとして、そもそも、その存在の根幹としてかなり難しいことなんすよ。だからこそ、ヴィジュアルアーツの新作は別ゲーのジャンル・メメントを盛り込んだ新ジャンルVNという体裁を取っているんでしょうね。

つまり、RPG「OMORI」ができたこと、『ネタバレあっても魅力なゲーム』という原則をVNの世界に持ち込むってことはめっちゃくちゃ難しい…だがそれがだれかが達成したとき、ゲームの革新的な作り方ってのがやっぱ新たにその時点で出来ているとは思うんですけどね…ただ、この提案はかなり悲観的な提案です。ゲームはほぼほぼ完成されちゃっているジャンルでもあり、過当競争の結果、イノベーションが失われる負のポテンシャルも持ちうる、『厚い壁のある』エンターテインメントコンテンツですから…