ひとことで表すのであれば、本作「ANNO」はすさまじいゲームだ。あたしはデモ版だけで感動した。主人公アン(Ann)がエージェントとしてハッキングやバトルスーツを駆使して、この巨大SF都市に潜む不正企業・地下活動団体・生物兵器などに立ち向かうというゲーム。デモ版をプレイしたトコでは詳しいところまではツッコめず、これぐらいしかストーリーは追えない。物語の導入部分で、主人公アンは自分の装備調達を担当してくれるブレーン・アレン博士のもとを訪れることになる。成り行きで新型のバトルスーツを試す試験に参加。その後、行方をくらましたライアンを追っていき、その道中で出会った悪役のリーダー格のものを追い詰めるところでEnd. 意味深な演出とともに主人公アンに隠された過去を追うことがゲームのコアな部分になるようだ。
アンのおともにはアヤネというAIエージェントがつく。製品版では、アヤネの本格的なサポートや、SFによく登場するようなハッキング端末を使い、ストーリーの本幹・その謎に挑むちゅーゲームになるらしい。また、ストーリーを進めていく過程で行くべき点はひとつひとつ図示されていて、本作はオープンワールドとは呼べないぐらい、進捗が直線的だ。決して迷いどころが多いゲームではないし複雑なタイトルなわけでもない。どちらかというとコンパクトな印象を受けるが、引き出しが”深い”。
本作の大局的なデザインとしては、2Dの神レベルのドット絵を基調に3Dのようなモーション判定を追加している感触を受ける設計となっている。そして各種オブジェクトやマップもそれに準拠している。この基盤的な設計方針により、グラフィックスに一味ではない二転三転の風味が効いていて見ていて飽きがこないようなっとる。工夫が凝らされている分、独特なイメージを受けるもんなんで、世界観の作りこみがふつーの大作3DSFよりもずいぶん増しており、すさまじく広いレンジで、背後のうごめきを感じさせるゲームになっている。オープンワールドではないのに、これほど深い世界観を感じさせることができるのはすごいとしか言いようがないっす。
※画像:ゲーム「ANNO: Mutationem」より引用