この漫画は、そうしたように現実的平和、つまり【縮約の平和】とつながる【仮初の家族】という同様に動くスキームの、細やかに違っている部分・すなわち、ギャップを楽しむ痛快なファミリーコメディーだと思います。物語の流れとしてはこのあたりで大方収束していて、本来のスパイ・本来の暗殺者としてはあまりにも、現実に即してみると極めて不合格です。ちょっと偏見ですが、少年ジャンプ+で連載されているのも納得のいく漫画ですよね。ですが、その不自然さ・偏見の話が実際、話の第一話から~序盤で、すぐにアーニャという里子をもらい受け、次にヨルという妻をもらい受けるという形で、シームレスにつながっている。『不都合な真実』とは史実においては米合衆国副大統領のアル・ゴアがよくいったものですが、この「SPY×FAMILY」での現実的にありえないリアリティは、そこを補するように想像力で描くという局面に至り、ゴアの論理と同じ運命をたどっているのではないか。彼らの不都合な職種(スパイ&暗殺者)とは事実・真実という家族の形で紡ぎ繋がれ作られるわけです。
そうした経緯を経て、不都合な真実…つまり不都合なスパイと暗殺者(という職域)による、家族という真実の人間の繋がれ方へ辿る、というフローのある物語になっている。ここらのフローへの光のあて具合にこそ、「SPY×FAMILY」という漫画の真骨頂がある気がしてなりません。さらに突っ込んで言うと、アニメ版では映像でこそ作ることのできる表現が多く含まれており、漫画版との対比もかなり深くできそうです。

『ちち、と、はは…いちゃいちゃ…』
そのアーニャのことばにこそ、本来の純なる家族の見識を取り戻すための、
偉大な子供の力があるのだと俺自身は思えてなりません。
※画像はアニメ「SPYxFAMILY」(Netflix)より引用させていただきました.
<了>
