生ける伝説のゲームクリエイターTim Schaferが語る日本人のゲーム感-カルト的人気作「Psychonauts 2」が日本語ローカライズに対応していない理由? | ゲヲログ2.0

生ける伝説のゲームクリエイターTim Schaferが語る日本人のゲーム感-カルト的人気作「Psychonauts 2」が日本語ローカライズに対応していない理由?



どうやらリリースされたばかりのゲームを超えたゲーム、”れっきとした映像作品”ともいうべき、生ける伝説のゲームクリエイターであるティム・シェーファーによる「Psychonauts 2」が日本語ローカライズに対応していないのは彼のゲーミングキャリアを通じた”深い理由”があるようだ。シェーファーは今から二年前のインタビューにて日本人のゲームについて語っている(Destructoid)。

このインタビューのタイトルは『MSによる買収・日本がシェーファーのゲームを好まない理由・ポスト「Psychonauts 2」の行方』という三連荘のようなものになっている。インタビューの中身を見ていくと、シェーファーが計算され尽くした天才ゲームクリエイターであることが素人でもわかる内容になっているが、その記事中でも、日本人ゲーマーとして注目すべきなのは、やはり”日本がシェーファーのゲームを好まない理由”というところだろう。シェーファーはインタビュ―の中でこう語っている。※以下、上記リンクより引用

Schafer: I love the Switch, and a lot of people at Double Fine are huge Nintendo fans and I think we always have been and will be. Early on in my career, Super Mario 64 was obviously very influential for me. And it always felt weird that I feel like I just cannot sell a game in Japan. Japanese games people would come to visit at LucasArts and they would look at Grim Fandango and they’d be like “Are these characters done?” One of them actually said that. I was like “Yeah, that’s the final art,” and he was like “They don’t have skin.” I always thought that we had very Japanese sensibility in our love of design and love of character. But, I guess our taste and aesthetic are more American than I realized. Some day we’ll have a game that Japanese people will like.

(誤訳があったらスマンけど抄訳)

シェーファー:ワイ、Switch好きやで、マジで愛してるぐらい。ダブルファインのメンツもみんな任天堂が好きなんやで。もちろん今も、これからもナー。ワイのゲームキャリアの中でも「スーパーマリオ64」は当然すごい影響力持ってんときてんや。でも不思議なことだけど、日本ではワイのゲーム売れんのや…日本人ゲーム関係者が LucasArts に来た時、ワイのゲーム Grim Fandango を見て「このキャラ完成品なの?肌がないじゃん」って言ったやつおったやけん。ワイらのほうからみても日本人はもっとセンシティブでワイらのゲームに愛着いだいてくれてると思ったんだけどやき。だけんども、アメリカチックすぎるってんだべしな。いつの日か、日本でもワイのゲームが受け入れられてくれることを望むんだべっちな。

(この訳で大体ニュアンスはあっていると思うんだけど…)

「Grim Fandango」はシェーファーのキャリアを飾る、名作ADVといっていいゲーム。たしかにビジュアルデザインは日本では受けが悪いが、あたしとしては日本人全員がそう言っているわけではなく、様々な感性を受け入れる素養のある文化圏であることを彼に逆に提示したいぐらいだ。Steamレビューでも日本人Steamerは多くが彼のゲームを受け入れ、ジョークとウィットとひねくれた芸術に富んだ彼のキャラクターを愛しているのは事実だろう。少なくともあたしにとって、ゲームの世界ではカリスマ的な存在がシェーファーのみであり、彼の作るゲームこそ、本来の創造的ゲームであることに判断の疑いの余地はない。願わくば多くの日本人ゲーマーにもそう思ってほしいものだ。

それでも、おそらく彼の中で日本に対する違和感はいまだにあるのだろうし、この上述の記事のコメント欄でも”なぜそうなのか?”だとか”日本人の感性”だとか、大げさに言えば”文化人類的な見識”がユーザの中でも述べられており、興味深い内容を呈しているといっていい。世界を狙う、日本人ゲームクリエイターならばこの記事、かなり重要なプレゼンスを持ちうるものなんじゃないかな…?なんにせよ、なぜ彼のゲームにローカライズがあまりないのかについては一定の答えがこのインタビュー記事に隠されているといっていいんじゃねえかなぁ…

※詳しくシェーファーのキャリアを知りたい方にとってはこの記事(VG Legacy)が一番わかりやすく出来が良いと思います。(なお 「Psychonauts 2」は現時点でゲーパス版もローカライズなし)