Cygamesが独自の奨学金制度を始めるという。詳細を4Gamer.netが伝えている(4Gamer.net)。奨学金は通常の大学学部(通信制・夜間学部除く)の1回生および2回生を対象にした、返済する必要のない給付型奨学金。月に10万円が一年間にわたって給付され、Cygamesの関連組織の見学やインターンシッププログラムなども付与サービスに含まれるそうだ。なお、大学院生は奨学金プログラムの対象とはならない。詳しい情報は専用サイトへのリンクを参照してほしいが、ここではあたしなりに考えたことをちょっとば言わせてもらいたい。
もともと、Cygamesは実力主義の会社風土で知られる法人で有名だし、ゲームAI研究でも国内の民間企業をリードする立場にある。しかも、社長は東大の院卒である。はっきり言うけど、通信制の大学や夜間学部をこの奨学金プログラムからしっかり除外しているということは、それなりの立場を求める制度なのは間違いないと思う。実際、PGに長けている能力を持つ開発者は、かなりの学識をもっているかたが多いから、単にボランティアやってましたとか、条件を満たすならばだれでも歓迎、みたいなゆるい奨学金制度じゃないのは間違いない。Cygamesの情報を見てみても、高い学歴を保有している幹部が多く名を連ねてるし、そういった方々は持っているキャリアも輝かしい人が多いはず。つまり、この奨学金はなぁなぁでプログラムされたサポート制度やない。間違いなく、イノベーションの中核になれる人材のポテンシャルを評価して、給付するタイプのものだ。
もっと言えば、技術の見学やインターンシップを対象学生に許可するということは、企業内の研究価値を大幅に開示する試みでもある。だから、守秘義務をしっかりと守る学生、つまり将来Cygamesや広い意味でCygamesの取引先も含め、関連する企業への採用へ繋がることを想定しているように思ふ。しかも、今トレンドなのは、ニュースでも紙面でも毎日毎日騒がれているように、”情報の保護”だ。特に、Cygamesは汎用性の高いゲームAI研究の分野で国内の民間企業をリードする立場にあるから、これを第三国(特に保守派の政治家が良く言うような指定国家)に勝手に持ち出されたりすることは当然避けるだろう。おそらく…だが、Cygamesのような高度な技術開発を社是とするような企業でのインターンプログラムは参加学生に厳密な守秘義務を伴わさせざるを得ないはずだから、それなりの学生…というか学歴の要件も含めて、相当の学力・特に情報処理能力を持ちうる学生しかこの奨学金制度は受けられないだろうな。
あと院生も除外している点にも注目しておきたい。今、国もドクターの人材育成・金銭支援、とかなんとか騒いでるけど、それって政府系のファンドがもともと実力ある研究計画を保持してる優秀な院生に多額のファンディングをする…っていうだけの話であって(参考リンク)、無条件で広く大学院生にカネをバラまくものじゃない。国の奨学制度でさえそうなのだから、民間企業のCygamesがそうそう甘い基準でこの奨学奨励プログラムを企画するはずがないと思う。これは国策と単純に比較してみての話に過ぎんけど、その段階ではっきりしていることもある。いわんや、その辺のゲーム好きの学生が飛びついて『はい、そうですか』と相成るような制度ではないことだけは間違いないだろうなって思うよ。
最も、民間のゲーム会社が関連分野の学生を直に支援する、という試み自体そもそも極めて珍しいことだし、ゲヲログ2.0の運営方針から見てみてもジャーナリスティックな意義があると思うので、こういう風にあたしが記事にしてみただけだけど…でもこれぐらいは簡単に誰でも想定できるレベルのことだよね。それを優に超えている人材を掘り当てたい、というハンティングの意味があるんじゃあないかな。