【連載:ローグライト探訪記】「Ship of Fools」~破綻的ノイラートの船を操舵する神ゲー | ページ 2 | ゲヲログ2.0

【連載:ローグライト探訪記】「Ship of Fools」~破綻的ノイラートの船を操舵する神ゲー



その独自色と発展性

一見、ポップなタイトルだと勘違いされるだろうけど、そのシステムはかなり硬派にまとまっている。例えば、敵の出現種類とその組み合わせによっては、かなり柔軟かつ冷静に対処しないとうまいこと全敵をノダメで撃退できないように設計されている。というのも…

・敵が船の周りにいて自由自在に船周辺を移動しいくつかのパターンで攻撃してくる.

・その組み合わせは非常に多彩であり攻撃のコンビネーションにも富んでいる.

・進海に伴いその組み合わせが変幻自在に変貌していくため高度な対応力が求められる.

という一連の洗練された流れがあるので、デモ版配布中の現段階でも、かなりの難易度を誇る。同じ船物ローグライトというと「Abandon Ship」のような作風のものもあるが、本作「Ship of Fools」は攻撃的対応力が重要になっている。シビアで難易度自体は高いが、全体的なバランス感覚に優れていて、”これぞ!”という一本道攻略法だけに絞られ最適化されないがゆえに、『ローグライトとしてかなり良く出来ているタイトル』だ、と言える。

ゲームシステムは理解しやすいもののそれと同時に奥深さもある. 大局的なマップでは、ノードのように進海していくことが求められるがゆえリプレイ性も高く、ゲームプレイ自体に飽きにくい工夫・配慮がある.

また、道中のステージ進行は多角形で示された各エリアに分化していて、ルート取りを選択し最終的なボスステージにたどり着くことになる。よって、局所的に単調なプレイにならないゲームになっているほか、大局的にも単調なプレイにならないゲームになっている。つまり、各エリアで戦うその対応力は線形的でなく、さらに、進海のスキームもまた線形的でないので、多様なプレイが可能になっている。さらに甲板を治すアイテムをゲッツできるエリアや、特殊効果をもたらすレアなエリアも多く配置されているので、『考えぬいて海を凪いでいく』という最近ではあまり見ない”新種のゲーム”になっている。この世界観と実装力はマジで凄いです。

まとめ

端的に言うと、工夫があるのでコピペとかクローンゲーとしてのローグライトタイトルに終始していない。多様な決めごとを各エリア・各ポイントで選択していき、最も効率良い方法を自ら開拓する姿勢が求められるので、単調でリニア=直線的なゲームプレイになりがちではないのが最大のポイントな気がする。破綻しがちなローグライトというシステム上で、破綻しがちな”ノイラートの船”を操舵していき、自ら新しい発見を追及していくようなプレイ感覚がある。近年まま見受けられる典型的なローグライト止まりの作風ではない。オリジナリティに溢れていて、クローンやヴァニア系のゲームにはなっておらず、しかも今後プレイアブルキャラクターを増やしたり、特殊な効用を持つイベやアイテムを実装したりできれば、Steamerにはウケの良い長期にわたってサポートが続けられる傑作になるポテンシャルが十分あると思う。独自色と発展性、この二点で独特な路線をゆく奇抜かつゲームバランス調整に優れた一作になるとあたしは思っています。


邦語は完璧に訳されているし、Remoto Play Togetherにも対応しているので、友人と盛り上がりたいときにやるべきタイトルでもある。若干暗めだがポップなデザインセンスが光るのも好印象。可愛らしく入り込みの敷居も低いわりに、硬派なプレイ性があり、”ローグライトとしてこうあるべきだ!” ”新しいローグライトとはこうあるべきだ!”という方向性がしっかりしている。ゲームの設計方法の基礎と応用の両面でかなり優れているタイトルだと感じた。本リリースが待ち遠しひ、まことにオヌヌメなゲームです!

※画像:ゲーム「Ship of Fools」(プレスキット)より引用.