Steamに積極的に進出するエンターテインメントコングロマリット・マーベラスは、なぜ個人制作者エリック・バロンにIPの売り上げ数で負けたのか?【シャア専用ヲタバナシ】 | ページ 2 | ゲヲログ2.0

Steamに積極的に進出するエンターテインメントコングロマリット・マーベラスは、なぜ個人制作者エリック・バロンにIPの売り上げ数で負けたのか?【シャア専用ヲタバナシ】



まず、しょっぱなから言えるのはデザインの問題だろう。マーベラスの作るゲームは3Dに進化し、開発費だって手間だって豪勢にかけているはずだ。対してエリックは自分のデザイン、地味なドット絵で勝負した。そこがむしろ誰もが親しみを感じる、温かみをもたらしていることは決して外せないファクターだ。強い資本力を持つゲーム会社ではなくとも、コンセプトさえ抑えれば世界に通用するメガヒットタイトルを作れることを、エリックは証明したのだ。

また、ゲーム「Stardew Valley」はMODに対応しており、柔軟性・機敏性をタイトルの中で示したことも功を奏した。例えば、キャラクターポートレートだって、MODで改変対応させることができる。ゲームの拡張性に優れた面を「Stardew Valley」は示したのだ。その延長上で、ドンドンドカドカと長期的な視野の下アプデを繰り返し、より多くのコンテンツを実装することにも成功した。ファンに長期的に受けるサポート体制を個人レベルで構築してしまったのだ。DLC頼みではなくても、ワンタイトルの拡張性を個人レベルで、ハードワークさえあればできることを見事に示した。

対して、マーベラスは萌え系のデザインに徹してしまい、世界基準のデザインを踏み違えてしまった。ガラパゴス化した、日本のゲーム市場にある程度は迎合してしまい、さらには拡張性の要求に応じず、短期的に受けるゲームを連作のようなステージを設けて発売してしまった。うまく柔軟性・機敏性・ビジネス上の俊敏性を示せなかったのだ。これは組織のでかさによるところもあると思われるが、なんにせよ、このジャンルを発明したのがもともとマーベラスや和製デベロッパみたいなもんだから、随分ともったいないことをしたものだ、と今になって振り返ってしまう点が多くあるのは至極残念な点だ。

確かにマーベラスは統合的なエンターテインメント事業を柱にする準コンテンツコングロマリットだ。そこは素晴らしいと認めざるを得ない―誰もがそうだろう。ミュージカルなどを企画できる芸能力を持っているのも素晴らしい点だ。ただ、時代はどう考えても、コンテンツのデジタル化の方向を向いている。無論、マーベラスが準自社ゲームIPをSteamに積極的に売って出るのも素晴らしい点だが、もうちょいタイトルヒットの環境を長期的かつ国際的な視野で構築できていたら…ひょっとしたらミリオンヒットの20倍の売り上げとそれ相応の利益はマーベラスのほうにもたらされたかもしれない。元来のアイデアはマーベラスをはじめとする、日本の関連ゲーム会社にあったのは間違いないことを思うと、実にもったいないことだと思ってしまう…

ただし「天穂のサナクヒメ」ミリオンヒットの事例が示すように、明るいニュースもある。今後は同じ轍を踏まず、長期的なサポートを念頭に入れた上、コンセプチュアルなデザインをバランスよく実装することで、『バロン越え』を狙ってほしいと、あたしは勝手に思っておるのじゃ。