連載:サルでもわかる漫画レビュー

書評アニメ評

【連載:サルでもわかる漫画レビュー】北斗の拳”南斗水鳥拳のレイ”

北斗の拳 5 集英社文庫(コミック版) - Amazon 昔作家の仁木が言ってたんですけど、仁木は幼少期にこの巻に収録されているレイのエピソードを見て泣いたことがあったらしいですね。仁木は信州大学を出て作家やりながら坊さんもやって私塾もやってるっていうすごく器用で優秀なかたで、子供のころ初めて、このエピソードを読んだらしいです。その時に仁木は、自分の劣等感とあわせてレイの死を悲しんで号泣したそうです。ただし、仁木の評論はすごいものでこれだけじゃありません。仁木が人生の段階を踏んでステージを駆け上がっていった先にやっぱりこの漫画のレイのエピソードについて再考するべきものがあると確信したそうです。それがなんだったのか? 仁木は人生において苦しいことや悲しいこと、そしてそれを乗り越える勇気が必要だということをよくよくわかってきた。苦悩もまたその通りにあるべきだとしたようです。そして、大人になった時にこの漫画のレイに学んだことがある、といいます。それが義星の役割だった。男として一人の女性を愛し、そのひとのことを思いながら、決してかなわない敵すなわちラオウ、拳王に定められた死の期限...
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【連載:サルでもわかる漫画レビュー】人気漫画「日常」~11巻発売へ

漫画家あらゐけいいちによる人気漫画「日常」の新刊11巻が7年ぶりにようやっと発売される。連載はエース誌にて再開されていることは周知の事実であり、あらゐ自身『夏が過ぎたころに11巻の告知が打てるようだ』とのツイートをしていたこともあり、新刊への期待が高まっていた。年末12月26日にその11巻は発売に至る、という。エースやPR TIMESなどが伝えている。 描きたくなっちゃったので「日常」、連載はじめます。 pic.twitter.com/fVO34SlsNf— あらゐけいいち (@himaraya) October 20, 2021 もろもろ告知抜けしておりますが、日常連載しております。夏過ぎたあたりに単行本告知が打てるのではないかと思っております。よろしくお願いします。 pic.twitter.com/LJq9uAamvZ— あらゐけいいち (@himaraya) April 3, 2022 また、あらゐの最近のツイートによれば、1~10巻までの既存の巻も新装版のような形で再発売されることが示唆されているほか、さらに、アニメ二期もファンの間で噂がされている状況にある,,...
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【連載:サルでもわかる漫画レビュー】完全版「金色のガッシュ!!」16巻

今日完全版の最終巻を買ったので。 ガッシュの人生論 絵的にはあんまり上手いほうではないと思うんだ。特に最近の絵上手い漫画家とは比較にならないと思うんだ。でも、もしそうでないならば「金色のガッシュ!!」じゃないと思うんだ。この絵柄は純粋な、無垢な感情の発露を、キャラクターの表情に見栄えるように作り込むために描かれている。純粋な心を持つキャラクターを芯から表現するために描かれている。だからこそ、バトルものなのに、エンドに近くなればなるほど、辛くて永遠に近い、キャラとの別れの際に泣けることができる。よーするに”家族”なんだよな。たぶん著者が言いたいことってのは”人生”そのものなんだよ。辛いことがあって、それをみんなの力で乗り越える。れっきとした”少年漫画”なんだぜこれ。でもそれは、その少年たちが人生の不さだめを巡って、青年に成長していく漫画でもあり、多くの人がその過程で味わう修行の心と辛苦の心を詰め合わせた、読者と成長する”人生”の漫画なんだよ。単純にそれに尽きるよね。 意外にも「封神演義」との比較は少ない? テーマ的には、バトルロイヤルの先駆っていうかたち...
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【連載:サルでもわかる漫画レビュー】「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」のもこっちが通うモデル校(高校)について

モデル校は実在する!”渋幕” 俺もあんまこういう話題好かないけど(漫画の中の高校レベルなんかどーでもいいので)リアリティのほうで書いてみる。もこっちの通うモデルとなっている高校ってのは渋谷幕張(通称渋幕)のことだね。千葉の学校事情に詳しい方ならわかるだろうけど、東のほうは比較的落ち着いてて、西の船橋・幕張・浦安にいくとたしかにヤンキーっぽいのが多いのは特徴(とはいっても単なるヤンキーではなく、「勉強もスポーツもできるヤンキー」であるパターンが多い)。 ”渋幕”の留学レベルの高さ で、渋幕がどれだけすごいかっつと、東大とか余裕で受かるやつが結構いるほか、ほかの高等学校で知られていないような海外有名大学への進学者もかなり多い。確かにcollegeへの合格者数も多いけども、きちんとした正規課程のuniversityのほうにトランスファーできるし、そもそもの高卒ですぐにuniversityのほうに入るひとも一定数毎年いる。 ”渋幕”OB/OG海外大学正規生留学先の実例 例を挙げると... ・ペンシルベニア大学(トランプの通ってた大学、ビジネススクールのほか...
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【連載:サルでもわかる漫画レビュー】もこっちに学ぶ黒歴史の作り方

これやっぱおもろいよwwwなんか笑ってて、んのたび読んで何回でも笑えるんだよな。その最大の論拠は、もこっちが黒歴史を作っていることが、俺らの黒歴史とともにあるからだ。この巻は「わたもて」の中でも中興の部分を描いている。つまり「わたもて」ファンならば、伝説級に面白い巻なのだ。そう!「修学旅行編」である。 中二病≒許容すべき”成長” 人間は誰しもが忘れたかった嫌な思い出や恥ずかしかったことなんかあるもんだ。書くに及ばないが、そんなんだれにだってある。そして、それ自体が悪いわけじゃない(反省から教訓を引き出せるから)。だからこそ、もこっちの黒歴史はもこっち自身の黒歴史であるのは当然だが、それが我々読者にうったえかけるもののある学生時代の黒歴史でもある。そうしていくうちに人間は成長し大人になっていく。伊集院が中二病とかそういう類の概念をうまい具合にギャグとして提唱したのと同じスタンスでいいんだ。全部が許容できる。 ネット上でのもこっちの評判 「体育祭や修学旅行でここまでせんかったやろ!」(実は俺は修学旅行に中高といっていさえないのだが...)と思うぐらい、もこ...
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【連載:サルでもわかる漫画レビュー】「マルクス&エンゲルス」 vol.1 vol.2~子供が共産主義入門として読むには最適な漫画本

記事の要約:専門書ではないだけにツッコミどころは満載。ですが、子供が共産主義入門・マルクスエンゲルス史入門として読むには最適な漫画に仕上がっている。執筆陣が徹底してツッコミどころを補した、超本格的な長期連載があったらば面白い企画になると思う(赤旗あたりにそれを望む)。 vol.1は、彼らが出会うまでを幼少期から主として描いています。vol.2は彼らが再会し、共産主義のスローガン「万国の労働者、団結せよ」を打ち立てるまでが描かれています。けっこう良く出来ている漫画だと思います。わかりやすさでいったらピカイチです。たしかに共産主義のような理論的な思想がなければ、社会民主主義も第三の道もなかったと思うのですが、そこまで発展的な体系は描かれていません。そこが穴でしょう。専門としている学識者から見ると、その点の甘さの指摘がマジでキッツく入りそうですが、あくまで漫画式のマルクス・エンゲルスの史実的入門に留まる故、そうした批判は本書に対してするのは妥当ではない気もします。 社会民主主義や第三の道への共通項を探る動きがない、とする批判以外にもいろいろと考えられそうです。例えば、な...
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白土三平「サスケ」―白土流マルクス主義思想と江戸幕府の武断政治と文治政治の分割点

白土三平の作品に「サスケ」というマンガがある。兄が学校の女性教員からもらいうけたものを私が家で受け継いでいるが、この作品は私にとっては白土の代表作品といっていい存在である。確かにほかの白土作品にも漫画評論の先達はあったし、その先駆けが白土の「忍者武芸帳」だったのは漫画ファンの間でではいまだに語り草だろう。その”白土漫画の評論ブーム”の後、白土自身がリアリズムとともに描き出したものがもう一個の代表作「カムイ伝」および今回紹介する「サスケ」だ。 兄の担任の女性教員は「漫画はけっこういい勉強になる」とおっしゃってくださって漫画へ理解の深い、優秀な国立大学出の教員だったのを印象的に覚えている。彼女は兄の弟である私に「(マルクス主義への理解が強い私を評して)なぜあなたのような人がやさぐれ不良になるのかわからない」とまで言ってくださったwwwちなみに「サスケ」はアニメ化もされているが映像の方は今では入手困難でキャストの把握すら難しいらしい...。それだけ忘れ去られた漫画だが、 今なお私の住む市内の図書館には堂々と置いてある。ふつー図書館が漫画を置くことってのはしないんだが、私の市の場合財政が比較...
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【連載:サルでもわかる漫画レビュー】「SPY×FAMILY」【縮約の平和と仮初の家族の物語】

『孤児院にいた経緯は分からんが、こいつの実の親はおそらくもう...』大粒の涙を流すアーニャの心に揺さぶられたとき、ロイドは”父”になるのだ。『ちち、と、はは...いちゃいちゃ...』そのアーニャのことばにこそ、本来の純なる家族の見識を取り戻すための、偉大な子供の力があるのだと俺自身は思えてなりません。~本文より~※画像はアニメ「SPYxFAMILY」(Netflix)より引用させていただきました. 「SPY×FAMILY」という漫画のふたつの主題 たしかに「SPY×FAMILY」は面白いです。小説版も出ていて、既刊9巻に過ぎないのに、アニメ化が決まり放映され、こちらも大成功。加えてファンブック・アートブックのようなものまで出ているようです。俺も当初はあまり好みの作画ではなかったことから避けてた漫画でしたが、アニメ版を見てこちらの本巻のほうを買いました。結論から言うと、素晴らしい漫画です。思うに、この漫画「SPY×FAMILY」はふたつの主題を持っているのだと俺なりに思っています。まず【縮約の平和】という主題、次に【仮初の家族】というふたつめの主題です。 ひと...
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「邪神ちゃん」、未来を創る。

記事の要約:ジャンルを超え、既存の多角的制作形態までをも超えている、DNA式の汎用性ある先駆的コンテンツ漫画作品、それがこの「邪神ちゃんドロップキック」である。 神保町に住む女子大生・花園ゆりねは魔界から悪魔・邪神ちゃんを召喚することに成功するも、悪魔を帰す方法がわからず、邪神ちゃんを自宅に住まわせることにした。召喚者が死ねば魔界に帰れることを知っていた邪神ちゃんは、ことあるごとにドロップキックでゆりねを殺そうとするが、そのたびに返り討ちにされるのであった。Wikipediaより 簡単なコメディ漫画ですけど、面白い。過激かつポップな残酷さを提示しているけど、素晴らしい出来です。何よりも絵が上手いです。漫画はもう評論され尽くしてますし、いいんじゃないかな...というわけで、ここではコンテンツとしての「邪神ちゃん」が優れている点を挙げていこうと思います。 まず、この手の漫画ないしアニメの『運営の優秀さ』というものは最近あまり目に見ません。本作三期はクラファンで追加作成され、さらには「千歳編」と題し、なんと世界でもあまり例を見ない”ふるさと納税”によるアニメの制作...
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「ケロロ軍曹」に見る漫画の模倣とオリジナルの発端

「ケロロ軍曹」はやはり面白い漫画。オマージュばかりという評も有るけど、あたしはそうは思わん。友人に言わせれば、わざわざ買う必要なくね?っていうマンガであるらし。また巷でもそのように評されることも多いようだ。でもこの漫画、一回ぽっきりの漫画の読み方で済むものではないんだよな。いわば、読後一回性という、コスパの悪い漫画ではないと思う。これにはいくつかの「ケロロ軍曹」なりの理由があると思う。 その第一の理由として挙げられるのが、『異文化もの』っていう性質のストーリプロットだろうな。いわば、メイドラゴンと同じように、人間の世界とは別世界から来たものが、異文化との衝突によってなんらかの形質獲得を為すという点で、まず特徴的ではある。そしてそのイメージがしっかりと確立されている面で「ケロロ軍曹」はとても優れている。それがデザインであり、しっかりしたコマ割りであり、漫画の設計力だと思うんだ。 まず、この漫画は登場人物の画がしっかり確立されてて、ブレがない。いわば作画に甘さが見受けられない。しっかりと基礎に忠実な、それでいてライトなデザインをしていて、絵の完成度がまるでアニメーショ...