ゲーム概要
クッソ面白い。新しいメカニズムを持つゲーム。普通、ダイスクロール系のデッキビルドものっていうと、単にダイスの目の出具合を逆手にとっただけの”借り物”みたいなゲームが多い。しかし、同じダイスクロールデッキビルドものでもこのゲームは、本当に素晴らしい設計性を持っている。そこを中心に説明する。
具体的にどこが素晴らしいのか?
単に『サイコロの目にランダム性があるよ!』っていうだけではなくて、6面に戦略面を割り振っていく点とかバフアイテムをサイコロ自体に仕込む点などが斬新で面白い。また、ダイスは、『振っただけで終わり!』ではなく、リロールの概念があることで、”回数制限付きのやり直し”を実現していて、絶妙なバランス性や落ち着いた緊迫感を生むことに見事に成功している。シールド値とか決意値とかがその周辺に位置していて、従来からあったデッキビルドものの要素も受け継ぐことで、イノベーティブなゲームになっている。もちろんアイテムゲッツの要素もあるで(振れるダイス増の要素もあってインフレーションの味もあるようです)。
良い意味で薄味ローグライト
ローグライトとしては、薄味な方だと思う。というのも悪い意味ではなくて、良い意味で。ライトというと、リプレイの中で強化していくっていう名目があるけど、本作の場合、ローグライクに近いと思う。ライクに近いライトということ、です。ローグライクとローグライトの違いについては過去のゲヲログの記事を参考にしてほしいが、このゲームはキャラのアンロックとかが主領域にあるだけで、劇的なプレイ回数改善が設定面で組み込まれているわけじゃない。つまり、ゲームプレイを改善するには、自ずからゲームプレイの練度を上げていく必要がある。ローグライトとしては薄い。だがそこが良い。
良質かつ風景画風のグラフィックスを全面に押し出した世界観
もちろんグラフィックスは素晴らしいね。Steamページ見た限りでは、なんだ、なんか手描き風のわしゃわしゃしたデザインだな、って思った方も多いと思う。でもね、大画面でプレイしているとわかるけど、手描き風であることはその通りだが、めっちゃくちゃ精細に正確にデザインされてるんだよね。風景画を参考にしたらしいが、たしかにグラフィカルなニュアンスとしてはそういう面もあると思う。けど、プロ中のプロが絵描き担当なはずなんだよね。このレベルで統合されている統一感のあるグラフィックスはホンマに魅力的です。
”あえてそうしている”貧相なストーリー性
これも良い意味で言っている。あんまりストーリーには革新的にふれてない方だと思うんだよね。秘密結社の一員になって、モンスターの住まう森に遠征に出かけるっていう筋らしいけど、あんまり押し出されてないニュアンスがある。つまり、ストーリーはあんまりコア的な設計になっておらず、あくまで世界観の確立を助力するだけですね。ストーリーはあえて多く語らず、むしろ既にあるような感覚のある世界観でゲームの本筋を構成している。戦闘が主だけあって、感動するストーリーとかがあるわけではないけど、ダイス的な緊迫感と妙につじつまが合っていて、矛盾してるところ、だとか、明後日の方向をゲーム自体が向いている、ということとは無縁。そういう意味でもバランス感覚に優れている。
結論
素晴らしいゲーム性を持つ、カジノ的なローグライク・ローグライトものとして賞賛できる。完成度は極めて高い。今のところ、Steamでの評価が賛否両論(なんか環境面で批判されているのか英語圏以外のレビュアーが酷評している印象を持つ)だけど、素晴らしい設計性を持っていると思うよ。ちなみに日本語のローカライズは完璧なので、ゲーム性を理解するのにそう時間はかからん。ゲームの方法論自体は、初回プレイでテロップが出るんで、実践(実戦)形式でそこを学んでいける。ライクはまだしも、ローグライト好きならば、ぜひ、買うべき一作。てか、買え。