[寄稿記事]アクティブビデオゲームは幅広い年齢層に効果があるのか『リングフィットアドベンチャー』から論じてみる[寄稿者:SERINA氏] | ゲヲログ2.0

[寄稿記事]アクティブビデオゲームは幅広い年齢層に効果があるのか『リングフィットアドベンチャー』から論じてみる[寄稿者:SERINA氏]



本記事は、SERINA氏に、ココナラ上で依頼し執筆・寄稿された記事です。他のゲヲログ2.0の通常記事と違い、著作権は今後も同氏にありますので、コピーレフトの原則に従わないこと・自由に使っていいわけではないことをご了承の上、お楽しみください。


Nintendo Switch専用フィットネスソフト「リングフィットアドベンチャー」。RPGの要素を取り入れたゲームとと運動を融合させた新感覚のアクティブビデオゲーム(AVG)は、世界累計販売本数1,000万本、国内だけでも400万本以上の記録を突破し、瞬く間にミリオンヒットソフトとなった。プレイに年齢制限は設けられておらず、幼児から高齢者まで気軽に運動できるゲームとなっている。とはいえWii Fitをはじめ様々な家庭用AVGは販売されているものの、実際の効果は不明だ。とくに成人用に作られているゲームが多いため子どもがプレイするうえでは様々な問題が露呈する。そこで、今回は子どもがAVGを通して得られる効果とそれらを生かすための本作の改善点を論じていきたい。

アクティブビデオゲームに関する文献は数多く発表されているが確実な効果があるとは限らないといった研究結果である。例えば「過体重および肥満の小児におけるアクティブビデオゲームのエネルギー消費の評価および性別による差異【JST・京大機械翻訳】によれば小児肥満と診断された子ども45人に対し、性別によって区別される運動と組み合わせたAVG介入の間のエネルギー消費を調査を行った。運動と組み合わせたAVG(多成分運動と組み合わせたAVG)によるエネルギー消費は、過体重と肥満の男児で5.68kcal/分、女児で4.66kcal/分だった。このことからAVGは過体重及び肥満の子ども及び青年におけるエネルギー消費を増加させるための効果があることが分かったと発表している。一方「健康な体重の小児および青年における健康関連体力および運動能力に対するアクティブビデオゲームの効果:系統的レビューとMeta分析【JST・京大機械翻訳】」では健常体重の子ども及び青年における健康関連身体的適応および運動能力に対するAVGの影響を検討するために、健康関連体力および運動能力に対するAVGプログラムの効果を検討する無作為化および非無作為化比較試験を行った。結果、18週以上長く持続すれば健康と関係した身体的適応および運動能力の幾つかの成分を改善する効果が得られたものの、いくつかの適応成分に対する影響は更なる研究を必要としている。確実な効果を得られるかは使用するAVGや対象となる子どもによって異なるといえよう。

AVGにおける一定の効果が得られることは様々な研究結果が出されている。こうした効果を「リングフィットアドベンチャー」で得るための改善点を提案したい。運動は持続的に行わなければ改善効果は得られないことから、子どもが「飽きない」「手軽で分かりやすい」コンテンツを行うとよいだろう。本作では敵をフィットネスで攻撃しながら冒険を進め、ランニングをしながらステージを進めていく。しかし、年齢が下がるほど指定されたポーズをとることが難しいため「走る」ことしかできないステージが出てくる。そこで大人がフィットネスを行い、子どもが走るもしくは手軽なミニゲームなど簡単な操作ができるようサポートプレイ/2人協力プレイが行える設定ができると手軽にAVGを体験できるだろう。また、スタンプ機能やシールを集めるコンテンツなど、コレクター要素もあると持続的な効果が期待できる。ちなみに、本作には製品に付属したリングコン・レッグバンドと別売りで子ども用が販売されている。子どもがプレイした際にコントローラー操作に支障が起こる場合はこちらの購入を検討するとより手軽にプレイしやすくなるだろう。本作は運動不足の成人に対するコンテンツがメインである印象が強く、子どもはあくまで補助プレイでしか進められない印象を持つ。AVG関連の研究結果で子どもにも一定の効果が期待できるのであれば、子どもがメインとなりうるAVGが登場することが必要であるといえよう。