ビジュアルアーツがテンセントに株式譲渡し、その傘下に入ることを発表した。7月27日付で社長の馬場隆博が同社公式ブログであるVISUAL ARTS BLOGにて詳細まで踏み込んで伝えている。そのブログ投稿から読み取れる情報をまとめてみよう。
・ビジュアルアーツはテンセントに株式譲渡し完全にその子会社となる.
・子会社化に伴うDD(デューデリジェンス)にかなりの労力を割かれとても大変だった.
・天雲玄樹が新社長になり馬場は社長を引退-新たに相談役に就き経営の第一線から退く.
・今回のM&Aはビジュアルアーツ本体の経営がうまく行っていないからではない.
・ビジュアルアーツの6月期の決算では過去約30年の間で最高の収益を記録している.
・後継者問題とIPの権利的継続性の問題を一挙に解決するために子会社となる.
・会社が今後継続して優れたIPを作り続け維持していくために巨大企業の傘下に入る.
・麻枝准を筆頭に優れたIPを作ってきたからこそ今のビジュアルアーツがある.
馬場の言っていることはかなり合理的。上場を目指すよりも大企業の傘下に…これは分かる論理だ。ただ、気になる点が一点だけあるとすれば無論、なぜよりによって中国企業のテンセントを親会社に選んだか?という点だけだろう。ゲヲログでもかってより伝えてきたように、テンセントは今、政治的に苦しい立場にいる。これについては過去記事で詳細にわたって伝えているので参照のこと。
他にもゲヲログではテンセントの出資先一覧をまとめた記事や単にテンセントが悪だとは言えないという旨の記事を上げてきた。ただ、ビジュアルアーツのファンとしてはなぜよりによって中国企業に?という懸念はぬぐえないと思う。問題の根幹は中国の政治的な問題だろう。政治的な狭間においてビジュアルアーツの安定的な経営が取り残される、あるいは停滞するという最悪なシナリオだけは避けてほしいという意見は至極あって当然のことだ。IPの中には成人向けゲームもある。
ここからはあくまで推測だが,,,おそらく馬場は政治的な問題をそれほど深刻には考えていないと思う。ブログの投稿からはそのような懸念が全くと言っていいほど見て取れないのだ。中台関係・米中関係・日中関係がとてもきなくさくなってきた現段階において、チャイナリスクを推し量ることはとても難しいと思うのも事実。いちファンとしては、今回の懸念が現実にならず、単なる杞憂に終わることをここ将来の20年間に託して願いたいところだ。