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【連載:VR探訪記】「BOXVR」はダイエットの本質的問題を指摘するソフトウェアである | ゲヲログ2.0

【連載:VR探訪記】「BOXVR」はダイエットの本質的問題を指摘するソフトウェアである

ダイエットで問題なのは、実は減量自体ではない。本質的な問題は、減量した体重を維持すること(リバウンドしないこと)だ。筑波大学の中田由夫准教授が研究論文内で主張する研究背景にはこのリバウンドの問題が指摘されている(関連リンク:研究論文のプレスリリース)。以下、同プレスリリースより引用。

肥満は世界的にみても大きな健康課題のひとつです。わが国においても、肥満やメタボリックシンドロームに対するさまざまな対策を講じていますが、状況は改善されていません。減量後の体重維持はさらに難しい課題であり、どのようにすればうまく減量後の体重を維持できるか、世界中で検討されていますが、有効な解決策は明らかになっていません。

結局のところ、減量したのちにリバウンドしては意味がない。健康体重の状態を恒常的に維持しなければリスクが高止まりするからだろう。つまり、メタボ⇒非メタボもしくはデブ⇒非デブになることが問題ではない。メタボ⇒恒常的非メタボ・あるいはデブ⇒恒常的非デブを達成するか否かが本質的問題なのである。これは上記の論文が指摘するように、多くの研究者が研究題材に取っている事例だが、その具体的手法の開拓は明らかな道筋がついていない難問である。

そのうちの有効な解決策となるのがVR機器かもしれない、という示唆は世界中の研究者から指摘されている。例えば、米国のカリフォルニアポリテクニック州立大学で肥満の問題を研究するSuzanne Phelan教授がこのことを指摘している(関連リンク:研究論文)。肥満の状態から抜けだそうと努力した人間はなぜか、減量した(過去の)ことよりも、減量状態を維持する(未来の)ことに本質的な困難を見つけるのである。以下、論文のアブストラクトから引用する。

Background Behavioral weight loss interventions promote clinically significant weight loss over 12 months, but weight regain remains problematic and a substantial proportion of participants do not achieve long-term weight loss maintenance. Novel methods are needed that instill habit strength for sustaining weight control behaviors long term.

論文の要旨は冒頭の中田先生が研究背景の項でおっしゃっていることと同じだ。そしてDrはさらにこう続ける。

Virtual reality (VR) has the potential to provide opportunities within behavioral treatment for patients to practice desired weight control behaviors in the frequency and magnitude necessary to build durable habits.

VRはエンターテインメント的な楽しみを追及するはずのデバイスである。だが、それが結果的に体重減と減量体重の維持に活用できるとしたら…どうだろうか?面白い試みだとは思わないだろうか?「BOXVR」が画期的なのはこの点に限る。面白さと体重減、果てはシェイプキープまでを一括で達成するポテンシャルがあるからだ。

ゲーム内では、ノーツの刻みに応じて、それを叩くことでリズムどりが進む。しかもオリジナルなmp3を指定して、ノーツを機械的に生成することも可能だ。そして、その減量効果を単純な方程式によって、年齢・基礎体重・性別などの情報入力を通じて簡単なビジュアルにできる。消費カロリーをはじき出せるのだ。つまり、「BOXVR」はゲーミフィケーションという概念に至るまでこの減量体重維持の問題を提起する点にこそ意義があるソフトウェアなんである。粗がないわけではない。たしかにノーツの刻みは音ゲーとして、適切な精緻なコンマ感覚で正確なものではないし、ステージ進行が単純でエンターテインメント性に欠けるという問題はあるだろう。

多くの研究成果やメディアが指摘するように、健康問題という別局面からセグメンテーションしてきたタイトル、それがVRだとしたら…

<夢がひろがリング♪

と感慨深く言えないだろうか?