ガンホー、情報化社会時代のゲーム会社としての常識を語る | ゲヲログ2.0

ガンホー、情報化社会時代のゲーム会社としての常識を語る



ガンホーがそのHPにある『よくいただくご質問』という欄で、この情報化社会時代のゲーム会社として常識を語っている。簡潔にまとめてみよう。

・韓国視察に伴い、プラットフォームに関わらずネットワークを最大限に生かす韓国ゲーム産業の在り方に驚嘆させられた。その経験からゲームを対応プラットフォーム問わずして実装していくことが求められると強く感じた。

・オンラインゲームと家庭用ゲームとの境界線がなくなっていくと考えている。ソーシャルゲームもより広い市場になるだろう。そのためIPを活用し、マルチプラットフォームを基軸としてゲームビジネスを仕掛けたい。

・M&Aも重要だと考えるが、それを通じ、M&Aそのものありきでなく、あくまでビジネスのパートナーという関係構築によって『お客様に感動を与える姿勢』を大切にしたいと考えている。

この欄はガンホーHPで提供されている『投資家情報』の項目下で語られているもので、Steamerにとっては、あたりめーだろッ!と思わされる反面、かなり重要なことが書かれていると思う。さらに、ガンホーは市場分析の結果もHP上の同情報下で公開している(おそらく社内のアナリストがまとめた資料だと思われるが…)。そちらも見てみよう。まず、『市場環境』の欄で書かれていることから。

・ゲーム産業はこれからも第三国を中心に拡大する。

・特にこれらの新興国ではスマートフォンのゲーム市場に期待ができる。

・反面、日本のゲーム産業は成熟期にある、と見ている。

続いて、『成長戦略』の欄ではどう語られているか?

・日本にこだわらずグローバル環境で通じるIPをリリースする方針。

・CS/PC問わず、世界のどこにいても通じるコンテンツをマルチプラットフォームで展開する。

・既存IPの最大限の活用とパートナー企業との協業による事業拡大。

・特にIPをグッズで展開するなどクロスジャンルで人気の幅を取りたい意欲がある。

・新規事業、特にAI/VR/ARへの投資および開発に積極性を持つ。

こうした真摯なゲームに対する態度は好印象。また、ガンホーはリスク分析というような情報も開示しており、特に大人気タイトル「パズドラ」IPの持つ競争性が下がったときのことをしっかり考えている、というような記載がある(『事業等のリスク』の欄)。曰く、「パズドラ」だのみになると、リスクを負いすぎる、というわけらしい。備えのためにいくつか考えられるリスク対策の具体例を挙げているが、それを再びまとめるあげると…だいたいこんな感じか。

・「パズドラ」IPに代わる新規キラーコンテンツの制作販売が急務であることを痛感している。

・グローバルな表現規制や域的規制に敏感になる必要がある。

・地政学的には韓国子会社との為替リスクについて敏感になる必要がある。

・ゲームはタイトルのライフサイクルが短いので、それを最大限の利幅で展開する必要がある。

これは奇妙にも、ケイブの経営にも当てはまる意義ある文言だと思う。ガンホーは国際的なIP戦略を敷けていて、早い段階から新規IPの開発が急務ということを痛感している(ほぼ原文ママ)わけだ。ケイブもIPが単一化し、市場が伸び悩んだ末、イノベーティブなゲームを生めなくなってきている。おそらく、HPを見る限りガンホーは次のキラーIP開発に備え準備をしている(これまた原文ママ)のだから、ケイブの轍は踏まないだろう、という見立ては容易につくのだ。そのほかにも些細な点で、特にビジネス法上のリスク・人材に関するリスクについてまで具体的かつ簡潔に具体例が挙げられている。

ゲーム会社にとってリスク管理は極めて重要なことだ、という社としての姿勢が、ガンホーのHP上で為されている情報公開からは如実に見えてくる。ガンホーの株は長期的な視野で持ってして決して損ではないのではないだろうか?と思わされるぐらい、基本を大切にしたアナリストによる分析だといえる。何はともあれ、ケイブ・バンナム、ガンホーの経営戦略を見習え。

(; ・`д・´)<決算文書のテキスト解析をするともっと深い見識が出てくる会社だと思いました。