NFTを許可しているUltraが、NFTを排除したValveに勝つとき | ゲヲログ2.0

NFTを許可しているUltraが、NFTを排除したValveに勝つとき



2021年11月、Medium(Wikipedia)にNadaというUltra.ioのMarketing Managerの役職を持つ人物による記事が掲載された。正直、記事の出自はよくわからないが、NFTを積極的に共有財産とすべく活動しているゲームプラットフォーム団体(Ultra)の構成員による執筆物のようだ。記事の出自が不明確なこととは対照的に、言っていることはかなり明確。ズバリ、SteamがNFTをプラットフォーム上から排除したことへの批判となっている。このNadaというマネージャの言葉を引用しよう。

NFTとは、私たちブロックチェーンの人間がスマートコントラクトと呼んでいる画期的なプログラムで、デジタル資産の所有権を証明するために使われます。ゲーム用のデジタル資産にとってそれがなぜ素晴らしいのかはもう誰もが知っていることでしょう。Steamも知っていたでしょう。ですが彼らは、Ultraと違って革命の一端を担おうとしていません。

ネタバレ注意:SteamのNFTを禁止する間違った判断 – Ultra – Mediumより引用

よーするにゲームの発展性を鑑みたとき、NFTが早期に発案されていたらば、Steam(Valve)はどう考えたのか?という仮定の話を持ち出して、Steamプラットフォームを批判した記事になっているようなのだ(そして記憶に新しいのがNFTゲーム「Age of Rust」のSteamプラットフォームからの”追放事件”としている)。思うに、Winnyが発明されたのが大分昔であるから、同じような機能やスマートコントラクト(イーサリアムの主要機能のうちの一つ)といった技術がもっと早く発見・発案されていたら…という観点では、現実性もあるし、現代性もある、極めて興味深いテーマだ。

こうしたスマートコントラクトの機能があれば、ゲーム間の情報共有が緻密になることは素人目にも容易に想像できる。例えば、アイテムやレリックといった要素をゲームの垣根を超えて共有出来たら、ゲームを巡る話は極めて面白いものになる。Nadaは言う。『あるゲームを起動してプレイする.次の日には別のゲームを起動してプレイする.その時、従来からあったゲームの機能だけではゲームとゲームとの間でコミュニケーションは取れず、いわば【無駄な時間】を無作為に取捨選択するだけのお遊びにゲームが終始貫徹してしまう.』と。これは言うに正しい論だ。

NFTの仲介無くして、デジタル資産は残らず、ゲームは従来からあるゲームのまま、いわば【稼ぐことのできないゲーム】だけしか残ることができない。財産も資産もそして最低限の実りあるコミュニティも形成できず、NFTがNFTであるがまま放置されるだけなので、そういったゲーム体験は馬鹿々々しいということを言っているようなのだ。この人物は『UltraはValveのようなことをしない.であるからして競争的優位性はValveの側にあるのではなくUltraの側にある.』と喧伝している。

たしかにゲーム産業にスマートコントラクトやNFTの要素をもたらせば、非中央集権的にゲーム間のコミュニティーを構築し、それらの意思疎通を図ることが出来るようになるだろう。ゲームのデヴェロッピングに共有すべき情報を挟んだり、トークンを共通報酬としてゲーム間資産として実装したりすることが可能になる。非中央集権という名目さえあれば、なんでもできる~Ultraがそう主張するように~。Valveはそういう意においては中央集権の権化でありサーバの集権的権力のたまものなわけだ。そして、Nadaは言う。『UltraはValveのようにNFTをプラットフォームから追放したりしない.できることは無尽蔵にありデヴェロッパもプレイヤーもより多様な利益を享受できる.』と。

この人物が言うように、ValveがSteamプラットフォームの趨勢を世に見せてしまうときとは、
Valve自身がNFTの持つ真価に時遅しと気づいたタイミングにおけるものなのかもしれない。