周知のとおり急激な円安が進んでいる。よって海外で稼ぐ(ドルで稼ぐ)体制を敷いている会社法人は、それを四半期ごとに決算し、円に換算して報告できるため、稼ぎそのもののパイがでかくなる。これはなにも輸出産業に関わる会社法人だけがそうなのではなく、例えば、海外でソフトウェアをドル通貨で販売する会社法人にとっても良い業績をもたらす。
今回ブルームバーグが報じるところによれば、東証Sに上場する日本一ソフトウェアもまたそうだ、という(Bloomberg)。日本一ソフトウェアの場合、海外で稼いでくれる現地法人(NIS)がある。しかも、その法人は実際開発を担当するわけではない。よって、販売業に専念でき、無駄なドルコストを支払う必要がない…というのだ。さらには、日本法人も、国内の地方に位置する岐阜県に本部を置く上場企業という立ち位置だ。よって、人件費を東京にHQを置く会社より抑えられるメリットもあるという。ゲーム産業はオンライン買い切りのIT産業なので、メリットのある立ち位置を確保するため、法人本部を日本のどこにおいても基本的には問題がない。
唯一課題なのは、「ディスガイア」シリーズ頼みの会社であるという点だろう。これはブルームバーグの同記事による取材で会社社長も認めている。記事によれば、IP「ディスガイア」以外のヒットタイトルが求められているという。なお、ゲーム「ディスガイア」シリーズは、最新タイトル「魔界戦記ディスガイア6」がSteamでも配信されている同社を代表するIP。ただ、レビュー評価は”賛否両論”となっていて、自動戦闘モードを搭載したがため、クリッカーのような放置ゲー感が否定的意見を巻き起こしている…という。既存IPに代わるような大ヒット作が求められるところだ。為替のシステムもゲーム会社そのものがコントロールできるファクターではないので、あくまでゲーム会社はゲーム開発で名を上げなくてはならないわけだ。
日本一ソフトウェアは従業員数200人程度、スリムな体制で開発に臨む。いずれにしたって、円安の勝ち組が日本の地方上場企業だなんて、いささかロマンある話ではないだろうか。